仕事を「短くやる」ためには、「無駄なことをしない」という視点を持つことも大切です。無駄なこととは、「忙しくて時間がないときならば、絶対にやらないだろうな」と思えるような事柄を指します。
パワーポイントを使って会議資料を作成する際に、必要以上にカラフルに仕上げたり、返信メールの文面に妙にこだわってみたりなど、誰も望んでいないことに時間を浪費している人が、意外と多いのです。
本当にやるべき仕事は、次の2種類だけです。
①「MUST WORK」(必ずやらなければいけない仕事)
②「WANT WORK」(やる方が望ましい仕事)
この2つに属さない仕事は、「NO VALUE WORK」(やらなくても誰も困らない仕事)ですから、勇気を持って切り捨てる必要があります。
そのためには、「この仕事は本当にやるべきことなのか?」と客観的に考えてから、「最低限、どこまでやる必要があるのか?」を見極めることです。
叩き台の段階で相談してスピードUP!
仕事が遅くなる原因のひとつは、日本人の「完璧主義」にあります。仕事は完璧であることが理想ですが、多くの場合、それは自分の「完璧でありたい願望」を満たしているだけで、「100%」完璧な仕事というのは、意外と存在しないものです。
上司にレポートを提出するケースでも、完璧なレポートを書こうと思って仕事を始めると、そこに膨大な時間を費やすことになります。あまりにも時間をかけてプランを練っていると、上司から、「あのレポートはどうなっている?」と催促されることになり、焦って提出したら、見事に却下されて書き直しを指示される……。こうしたことの繰り返しが、仕事を遅くしているのです。
仕事が速い人は、最初から完璧を求めていません。自分の中で「70%」くらい考えがまとまったら、その段階ですぐに上司のチェックを受けています。「まだ途中経過なのですが、この方向性でどうでしょうか?」と聞いてみましょう。何か問題があれば、「ここは、こうした方がいいね」とアドバイスをもらえますから、それをプラスすればレポートは完成に向かいます。
自分だけで100%を目指すと時間がかかりますが、プロトタイプ(叩き台)の段階で上司の指示を受けてしまえば、遠回りせずにタスクを終えられます。最初から100%を目指すのではなく、最終的に100%にたどり着ければいい……という発想をすれば、仕事は短くできます。
神は「細部」ではなく「スピード」に宿る
変化の激しい現代のビジネスでは、「神は細部に宿る」ではなく、「神はスピードに宿る」と考えることが大切です。完璧主義は細部を詰めるためには有効ですが、仕事のスピードを上げるためには逆に「足かせ」になります。
仕事の目的は、必要以上に細部を詰めることではなく、あくまで成果を出すことにありますから、最終的なゴールをイメージしながら、そこに到達するための最短のルートを探し出す工夫が求められるのです。
仕事を「短くやる」ためには、必要な仕事と不要な仕事を取捨選択して、不要な仕事を切り捨て、必要な仕事をするための時間を確保して、成果の数をできるだけ増やしていくことが重要です。
仕事を「短くやる」習慣(著:山本大平)より
『仕事を「短くやる」習慣』 (クロスメディア・パブリッシング) |