上司からの指示が数日のうちに変更になって、不満に思ったことはありませんか? 方針に従って仕事をしてきたのに、今さら変更になると手間と時間がかかって大変ですよね。ここでは、優柔不断な上司に悩んでいる人、方向転換に振り回されがちな人にぜひお勧めしたい考え方をご紹介します。
「考えがブレている」のか、「姿勢がフレキシブル」なのか
会社のトップや直属の上司が方針を転換すると、「考えがブレている」とか、「軸が定まっていない」、「気まぐれ」と否定的に受け取って非難する人がいます。
非難するだけでなく、それに引きずられて仕事が進まなかったり、やる気をなくしたりする人もいますが、もう少し冷静にならなければ、仕事は前に進まないと思います。
変化の激しい現代のビジネスでは、「東へ行け」と指示を出していた会社のトップや上司が、いきなり「やっぱり西へ行け」と方針を変更するからには、それなりの理由があるはず……と考える必要があります。
新たな情報を入手して、東に向かうと崖に落ちることが判明したのかもしれません。西に向かえば、新たなお宝を入手できることがわかったのかもしれません。日本では、社長や上司の「朝令暮改」を優柔不断と受け取りがちですが、それを「柔軟性がある」とか、「フレキシブルな姿勢」と見ることができれば、新たな方向性の仕事に素早く向き合うことができますから、仕事を短くやることにつながります。
今の時代、「初志貫徹」は褒められることでない
現代のビジネスでは、自分の経験値や固定観念にとらわれず、状況の変化に応じて、素早く対応を変化させていくことが大切です。それはトップや上司だけでなく、最前線で働く人たちにとっても同じです。
ある大手のグローバル企業では、採用面接の際に、「先入観に縛られることなく、曖昧さを受け入れるかどうか」を合否のマスト要件にしています。液体や気体のように、置かれた状況に応じて臨機応変に対応できるような柔軟性を身につけることが、現代の仕事には必要なのです。
日本には「初志貫徹」を尊重する風土が根付いていますが、これからのビジネスに求められているのは、何があっても信念を曲げない意志の強さではなく、状況の変化を冷静に見極め、それに迅速に反応していく柔軟な姿勢です。
自分の会社を意味もなく振り回したいトップはいませんから、トップや上司の「朝令暮改」に動揺していても、時間が無駄になるだけです。
「説明が足りない」と怒っていても、トップが最終ラインの末端にまで説明することはありえないので、自分が主体と勘違いしていることに気づく必要があります。トップや上司の朝令暮改を肯定的に受け止め、柔軟に対応することができれば、無駄にストレスを抱え込むことなく、仕事と向き合うことができます。
こうした発想の転換も、仕事を「短くやる」ためには欠かせない要素です。先入観に縛られることなく、曖昧さを受け入れることが大切になります。
仕事を「短くやる」習慣(著:山本大平)より
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