前編では、健康によい食べ物・悪い食べ物を5つのグループに分けてご紹介しました。まずは復習です。
(1)複数の信頼できる研究によって「健康によい」とされている食品
魚、野菜、果物、茶色い炭水化物、オリーブオイル、ナッツ類
(2)少数の研究で「健康によい可能性が示唆されている」食品
ダークチョコレート、コーヒー、納豆、ヨーグルト、酢、豆乳、緑茶や紅茶
(3)健康へのメリットもデメリットも報告されていない食品、あるいは「よい」という研究と「悪い」という研究結果が拮抗している食品
上記以外の多くの食品
(4)少数の研究で「健康に悪い可能性が示唆されている」食品
マヨネーズ、マーガリン
(5)複数の信頼できる研究で「健康に悪い」とされている食品
ハムやソーセージなどの加工肉、じゃがいもを含む白い炭水化物
これらを栄養素別に見てみると、炭水化物では「茶色いもの」が健康によいとされています。これは、精製されていない全粒粉、玄米、雑穀類、そばなどの未精製な穀類を指します。「白い炭水化物」は、精製された小麦粉や白米などのことです。
あるメタアナリシスによると、茶色い炭水化物を多く食べている人は、食べない人と比べて、死亡率や脳卒中、心筋梗塞のリスクが低いとされています。一方で、白い炭水化物は血糖値を上げ、動脈硬化による疾患(脳卒中や心筋梗塞)のリスクを高めることが知られています。そのため、できるだけ白い炭水化物を茶色い炭水化物に置き換えることが望ましいです。
たんぱく質については、「卵は1週間に6個まで」「加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージ)を減らし、鶏肉や魚に置き換える」という点が大切です。
かつては「コレステロール値が上がるので、卵は1日1個まで」というのが定説でしたが、その後、食事でとるコレステロール量と血中のLDLコレステロール値に強い相関がないとわかり、この摂取目標は撤廃されました。
しかし、メタアナリシスによると「卵を1日1個以上食べる人は、週に1個未満の人と比べて糖尿病を発症するリスクが42%高い」とされています。ほかの研究から見ても、週に6個までに抑えたほうがよいと考えられます。
バターや牛乳も摂り過ぎはNG
また、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、「加工肉には発がん性がある」「牛、豚、羊、馬など赤い肉にはおそらく発がん性がある」と発表しています。
メタアナリシスでも、これらの摂取量が増えると、脳卒中のリスクや脳卒中・心筋梗塞による死亡率が上がると結論づけられており、注意が必要です。
脂肪については、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸が心臓病のリスクを高めるため、避けたほうがよいとされています。飽和脂肪酸が多いバターについては、近年「それほど健康に悪いわけではない」と再評価されていますが、小さじ1杯(4g)摂取するごとに死亡率が1%上がるという研究もあり、注意が必要です。
また、牛乳は1日にコップ1~2杯が上限とされ、それを1杯超えて飲むごとに卵巣がんのリスクが13%上昇すると示すメタアナリシスもあります。一方で、ヨーグルトに関しては、摂取量が多い人ほど糖尿病のリスクが低下する可能性があると示す研究もあります。ただし、総合的に見ると、大人は1日450グラムまでにしておくのがよさそうです。
健康的なおやつとして定番となっているナッツ類については、「1日に28グラム以上のナッツを週2回以上食べる人は、食べない人よりも死亡リスクが約15%低い」というエビデンスがあります。また、死因別に解析した研究では、1日に55グラム以上のナッツを食べていた人々は、がん、心臓病、呼吸器疾患による死亡リスクが顕著に低下していました。
ほかにも、ビタミン・ミネラル・酵素・食物繊維を豊富にとれる果物については、「果物を食べている人ほど糖尿病のリスクが低い」「とくにブルーベリーやブドウを食べている人ほどリスクが低い」「1日の果物の摂取量が1単位(バナナなら1/2本、リンゴなら小玉1つ)増えるごとに、全死亡率が6%減る」といったメタアナリシスがあります。ただし、「果物はよいが、ジュースは食物繊維が取り除かれており、血糖値を下げる効果がないためNG」とされています。
すべてをいきなり実践するのは難しいかもしれませんが、自分の体のために、できることから少しずつ取り入れてみてください。
「男のヘルスマネジメント大全」(著:石川雅俊)より
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