情報は「数値化」して伝えると話が早く進む
仕事が速い人と遅い人の違いのひとつに、情報の「数値化」があります。日本のサラリーマンはあまり情報の数値化をしていませんが、少し意識するだけで、たくさんのメリットが生まれます。
「昨年の売上げは過去最高を記録しました」と言うよりも、「昨年の売上げは対前年比2倍で過去最高を記録しました」と伝えた方が、相手の理解が深まるだけでなく、質問の余地を減らすことができます。
数値化できない「定性的」な話は抽象的になりがちですが、数値化や数量化ができる「定量的」な話は、リアルに相手に届くのです。
会議や商談、電話やメールなどで相手に何かを伝える際には、情報をできる限り数値化することで、会話のキャッチボールやメールのラリー数を減らすことができるため、時間の短縮にも役立ちます。
数値化のもうひとつのメリットは、何かと何かの比較が容易になることです。
例えば、ラジオで競馬中継を聞いていたとします。「一番人気はAボーイで、二番人気はBスターです」と伝えられるのと、「一番人気のAボーイは単勝オッズ2倍で、二番人気のBスターは単勝オッズ10倍です」と伝えられるのでは、聞き手の理解の深度に大きな差が出ます。
数値化された情報が入ることによって、「一番人気と二番人気では、賭け率にどのくらいの差があるのか?」という疑問の余地がなくなり、2頭の間に5倍の差があることがすんなりと理解できます。判断基準を数値で明確化することで、比較検討の時間が短くなるのです。
できる限り情報を数値化することで、お互いの理解が深まり、Q&Aのラリーが減ることによって、ミーティングや説明の時間が短縮できるでしょう。こうした小さなことの積み重ねが、仕事の時間を短くしてくれるのです。
知らないことはすぐ調べたほうが時短になる
自分が知らないことや、わからないことがあったら、そのままスルーするのではなく、すぐに調べる習慣を持つことも時短につながります。現代はスマホが手元にある時代ですから、仮に会議中であっても、辞書を調べるくらいの感覚できちんと検索することです。
自分が知らない「専門用語」や意味のわからない「横文字言葉」を放置すると、思考がフリーズして、その後の話が頭に入って来なくなります。「会議が終わってから、後で調べればいい」と思うかもしれませんが、思考が停止したままでは、会議の時間が無駄になります。
「会議中に失礼なのでは」と感じるならば、「お話をきちんと理解したいので、恐縮ですが、今の言葉を調べさせてください」とひと言添えることです。人に気兼ねして会議を無意味なものにするよりも、その場できっちりと理解しておけば、後になって会議の内容を復習するような余計な時間を省くことができます。
知らないことを放置せず、そのとき、その場所で調べて解決しておく姿勢を持つことが時間の節約に役立つのです。
取引先の担当者などと1対1で話している場合でも、事情は同じです。それまで真剣に話をしていた人が、「すいません。ちょっと確認させてください」とスマホを取り出して、「なるほど、こういうことなんですね。理解が深まりました」と言っても、それだけで相手が不快な思いをすることはありません。
どうしても気が引けるようならば、相手に電話がかかってきたり、トイレで中座したりなど、何らかの隙間を利用して知らないワードや事柄を検索する手もあります。
こちらがきちんと話を理解できれば、効率的に面談が進みますから、相手の貴重な時間を無駄にすることも抑えられます。
無遠慮に、「今の言葉はどういう意味ですか?」と聞いたり、知ったかぶりをしてスルーしたりするのではく、その場ですぐに検索することは、時短だけが目的ではなく、相手と誠実に向き合うためでもあるのです。
仕事を「短くやる」習慣(著:山本大平)より
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