大手文房具メーカーのコクヨが発表した調査結果によると、ビジネスマンが1日に書類を探す時間は平均で約20分、1年(労働日数240日)に換算すると、実に80時間も探しモノをしているといいます。
この80時間が確実に仕事を遅くしていることは明らかですが、探しモノばかりしていると、イライラして感情が不安定になったり、集中力が途切れたりなど、脳の働きにブレーキをかけることになります。
たくさんのタスクを抱えていると、目の前の仕事に追われて整理整頓を後回しにしてしまいがちですが、「ハサミがない」とか、「USBメモリがない」と探し回っていたのでは、いつまで経っても仕事を短くすることはできません。
デスク周りの整理整頓をルーティン化するためには、考え方のアングルを変えれば、意外と簡単に自分の脳をダマすことができます。
「片付ける」→「元の場所に戻す」と発想を転換する
「散らかっている文房具を片付ける」と考えると面倒臭くなりますが、「使ったモノを元の場所に戻す」と発想を転換するだけで、片付けをする必要がなくなります。
次のようなフローが、最も簡単で実用的な整理整頓の方法です。
①使用頻度の高いツールの置き場所を決める
↓
②使ったら元の場所に戻す
↓
③デスク回りが散らからず、モノ探しの必要がなくなる
↓
④整理整頓をする必要がなくなる
↓
⑤集中力を維持して、仕事に向き合うことができる
「使用頻度の高いツールの置き場所を決める」→「使ったモノを元の場所に戻す」という習慣を繰り返すだけで、無駄な時間を消費することなく、脳の働きを鈍化させる心配もなくなるのです。
人間関係も仕事に手がつかなくなる要因の一つです。悩み始めると、心が折れそうになって、仕事が手につかなくなります。悩みを抱えたままでは、脳が正常な働きをしてくれませんから、無理に仕事に取りかかっても、効率よく進めることはできません。人と人が関わっている限り、摩擦を避けることはできませんが、それを最小限に抑えることはできます。
周囲の人たちとの関係が悪化する原因を考えてみると、ほぼ例外なく、「何かを言った」とか、「何かを言われた」という発言内容が発端になっていることがわかります。昔の人が、「口は禍の元」と言った通り、お互いに何も言っていなければ、トラブルに発展するようなことはありません。
仕事であれば、人と何も会話をしないわけにはいきませんから、人間関係のトラブルを避けられるようなコミュニケーションを心がけることによって、心が折れるようなシチュエーションをできる限り減らすことが大切です。
周囲との摩擦を最小限に抑える会話術とは?
人間関係を悪化させないためには、次のような2つのポイントに注意を払う必要があります。
・思ったことをすべて口にしない
・言わなければいけないことは、端的に伝える
言い換えれば、「余計なことを言わない」、そして相手の「ツッコミどころ」となるような状況を作らないということを意味しています。
この2つを意識して会話を交わせば、次のような効果が得られます。
①ある程度はトラブルを防御できる
②ある程度は交流ができる
③ある程度は人間関係を保てる
必要最小限の会話を意識すれば、相手を無駄に刺激することはありません。仕事を短くやるためには、控えめでコンパクトな発言に徹することが大切です。
仕事を「短くやる」習慣(著:山本大平)より
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