仕事には「人」、「モノ」、「カネ」、「時間」など、さまざまな要素が関係するため、プロセスが進むにつれて、次第に複雑化するのが一般的です。スタート当初はシンプルな道筋であっても、気がついたときには迷路にハマり込み、「あれれ、どっちに進めばいいんだっけ?」と大混乱することもあります。そうした事態を避けるためには、最初の段階で仕事の「幹」(主軸)は何かを見極めておくことが大切です。
もう迷わない! 仕事の手順の立て方
あなたに与えられたタスクには、必ずその理由や目的が存在します。そのタスクが存在する本質的な「意味」を自分の頭で考え、しっかりと理解することが「幹」を見極めることです。売上げを伸ばすことなのか、コストを削減することなのか、あるいは、会社の新たな可能性を広くアピールすることなのか……。
タスクの幹は必ずしもひとつとは限りませんが、「何を実現するために、このタスクを与えられているのか?」という「根っ子」の部分をグリップすれば、これから進むべき方向が明らかになります。
仕事の幹を見極めるとは、「何が重要で、どこにこだわりを持つべきなのか?」を判断するということです。仕事を進めていくと、幹だと思って全力で取り組んでいたことが、実はどうでもいい「枝」や「小枝」であったり、逆に最優先すべき大事な事柄を「枝」と勘違いして、後になって対応に追われたりすることがあります。
最初に幹を見極めておけば、迷ったときにその原点に立ち戻ることができますから、何が無駄なことで、どこに重点を置いて取り組めばいいのかなど、仕事の優先順位を明確化することができるのです。
やることがわからなければ、データと情報収集
ところで、上司から、「考える前に動け!」とか、「動きながら考えろ!」と指示された経験はありませんか? それで失敗をしても、その失敗が経験になるのだから、「とにかく動け!」とハッパをかけられるのは、それほど珍しいことではありません。
この指示の出し方は、半分は正しくて、半分は誤解を招く表現だと思います。
データや情報が圧倒的に不足しているならば、考える前に動くことによって、検討材料を集める必要があります。 「考える前に動け!」と指示されたら、「どう動けばいいのか、わからない」と悩むのではなく、考えるためのデータと情報を集める動きを始めればいいのです。仕事を進めるためには、実際に動かなければ手に入れられないデータや情報がたくさんあります。
担当先の要望やニーズ、考え方などは、その代表格ですから、具体的なプランを立てる前に、情報収集に動く必要があります。それが「考える前に動く」の正しいアクションです。
仕事を「短くやる」習慣(著:山本大平)より
『仕事を「短くやる」習慣』 (クロスメディア・パブリッシング) |