あなたは普段、どのようにして飲み物を選んでいますか? 単なる水分補給のほかに気分を切り替えたり、体の調子を整えたりする効果を期待して選ぶこともあるのではないかと思います。
では実際、どの飲み物を選ぶのが最適なのでしょうか。この記事では医学栄養学に基づいて、シチュエーション別にどんな飲み物を選べばいいのかをご紹介します。
〈眠ってはいけないとき、目を覚ましたいとき〉
仕事中や会議中にとても眠くなることってありますよね。そうした場合はとにかく目を覚ますのが最優先です。強い刺激があれば一瞬は目が覚めます。キンキンに冷えたものや強い炭酸水だと一瞬びっくりして目が覚めます。加えてカフェインが追加されると、しばらくの間は興奮状態が続きます。ということで、眠ってはいけないときはエナジードリンクやお酢飲料がオススメです。
〈残業続きで疲労回復したいとき〉
体力的な疲労を回復したいとき、摂るべき重要な栄養素はたんぱく質です。ただし、たんぱく質が疲労回復に効果を発揮するまでには多少時間がかかります。即効性の疲労回復には糖分です。つまり、たんぱく質をたくさん含んでいて、さらに糖分を少量含んでいれば、残業続きの疲労回復に非常に適した飲料になります。具体的な飲み物としては豆乳と牛乳ですね。
〈運動や真夏の外回りで汗をかいたとき〉
汗をかいたら当然、その分の水分補給が必要です。汗にはナトリウムも含まれていますが、一般的なビジネスパーソンの外回りやスポーツジム内での運動程度なら、発汗量は大したことがないのでナトリウム補給は不要です。つまり、大量の汗をかかない限り、水だけ補給すれば十分だということです。
普通の水が飲みにくい場合は、少し味がついていると飲みやすくなります。たとえば、炭酸水、お茶、麦茶など、食塩と糖が入ってない飲み物なら何でも構いません。
ガチな運動や炎天下の長時間作業などが
- 1時間以上続く
- 暑熱環境下(熱中症のリスクが存在する環境)
- 1L以上の汗をかく
3つのうちのどれかに該当する場合は、熱中症になりやすいので注意してください。
重要なのは早めの水分補給を心がけることです。運動や作業のメニューをつくるときは、途中に水分補給タイムを入れることを忘れないでください。
〈寒い冬に温まりたいとき〉
寒い冬などで体が冷え切っているときには温かい飲み物がほしいですよね。自販機で買えるホット飲料には飲み物というよりは食べ物に近いものも多いです。
同じ温度で同じ容量なら、単なるお湯よりもポタージュやおしるこのほうが、物理学的に熱容量が大きく、体は温まりやすいです。さらに、消化が必要な成分が含まれていると消化器や体内の代謝系が動いて、その分、熱を産生(運動と似た原理)し、体がより温まるという生物学的な効果もあります。熱産生はよく噛んだり、ゆっくり食べても強くなるので、相手が液体でもよく噛んでゆっくり飲むことをオススメします。
〈会議や講演で長時間、話し続けるとき〉
オフィスが乾燥してのどが痛いときや、会議や講演で話し続けるときには、のどを保護するために水分を補給しましょう。水分は水、お茶、麦茶など何でもいいのですが、声帯の保護という観点からは、余計なものが入ってない水がベストです。プロの歌手は声帯保護のために、常にミネラルウォーターを口にしている人が多いです。
話し続けると、ぜん息のように息が荒くなってしまう人にはココアがオススメです。病院ではぜんそく患者の発作を抑えるために「テオフィリン」という薬を使います。ココアにはテオフィリンと化学構造がよく似た「テオブロミン」という成分が入っています。テオブロミンにも呼吸を助ける作用があります。
そのため、話し続けるときにココアを飲むと、脱水補正とテオブロミンの作用でうまく話し続けられると思います。もちろん、本当のぜん息の人はココアでごまかさず、きちんと病院に行ってください。
ここまで5つのシチュエーションをご紹介いたしました。飲み物をうまく活用してみてください。
「なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?」(著:田中越郎)より
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