現代のビジネスはスピードが命。会議資料や上司に提出する提案書なども、簡潔ですぐに理解できる内容であることが重要です。
最近では、A4やA3用紙1枚にコンパクトにまとめる「1枚資料」が重視されていますが、この方法論には注意が必要かもしれません。
大事なのは、1枚に内容を凝縮することではなく、「どのような手順で相手が素早く理解できるように伝えるか?」にあると考えています。
いくらコンパクトに書いてあっても、読んだ相手がスッと理解できなければ、1枚にまとめた効果は半減してしまいます。無理に1枚にまとめるのではなく、読んだ相手が「1分」で理解できるようにまとめることの方が、圧倒的に実用性が高いのです。
「要約力」が身につけば、資料作りは早くできる
「1分で理解できる資料」を作るためには、手に入れたさまざまな情報を整理して、コンパクトにまとめるチカラ―「要約力」が必要です。むしろ要約力がなければ、仕事を短くやることは、限りなく不可能に近いです。
最初は難しく感じるかもしれませんが、考え方のコツさえ理解すれば、誰でもスピーディにできるようになります。
【手順①】まず最初に「何の話か?」を書く
【お題】とは、「何についての話か?」というメインテーマのことです。
会社の新人研修などで、「資料は結論を先に書く」と教えられたかもしれませんが、相手が忙しい上司であれば、結論よりも先に「どの案件に関する提案なのか?」を伝えることで、理解がグッと早まります。
【手順②】「どんな判断を求めているのか?」を書く
続いて、上司が「何を判断すればいいのか?」という【依頼内容】を2番目に書くことで、この提案書の目的を明確に伝えます。
【手順③】ここで初めて「結論」を書く
お題と目的を明らかにしてから、ここで初めて【結論】を伝えます。
自分が、「どのようにしたいのか?」をスムーズに理解してもらうには、お題→依頼内容→結論の順番で伝えることが大切です。
【手順④】「論拠」を提示する
の結論に至った【論拠】を箇条書きにして提示します。
あまり多すぎると論点がブレるので、3つくらいに絞る必要があります。
【手順⑤】必要に応じて「補足」を加える
上司に伝えておきたい有力な情報があれば、参考のために、箇条書きで一番最後に添えておきます。
資料作りに不可欠な3つのチェックポイント
資料を作成する際には、次にお伝えする3つのポイントに沿って、必ず最終チェックをすることが大切です。
【チェック①】伝える順番を入れ替えない
「お題」→「依頼内容」→「結論」→「結論に至った論拠」→「補足」の順に伝えることで、読んだ相手はスムーズに理解できます。
この順番を間違えないように注意する必要があります。
【チェック②】できるだけ文字数を少なくする
文章が長くなると、相手が理解するのに時間がかかります。
基本は「箇条書き」で、短く書くことがポイントです。
【チェック③】難しい用語は使わない
難しい「専門用語」や意味が曖昧な「横文字表現」は避け、平易で簡潔な文章でまとめることが、読み手の素早い理解につながります。
資料の作成は手間のかかる面倒なタスクの代表格ですが、このノウハウをマスターすれば、相手に伝わりやすい簡潔な資料を短時間で作ることができます。
仕事を「短くやる」習慣(著:山本大平)より
『仕事を「短くやる」習慣』 (クロスメディア・パブリッシング) |