動脈硬化などを促進してしまうコレステロール
悪者になりがちですが、コレステロールは人間の体にとって非常に重要な物質です。
コレステロールは口からも摂取しますが、肝臓でも合成され、その合成量は食べ物から得る量の数倍です。それでも、血中コレステロール濃度は食べた量にある程度は比例するようで、やはり、たくさんコレステロールを摂った人は血中コレステロール濃度がそれなりに高くなります。
血中コレステロール濃度がすごく高いと、動脈硬化などを促進することがわかっています。コレステロールが高めの人がまず気をつけたいことは、コレステロールや脂肪を多く含む食品を控えるということです。
コレステロールを多く含む食品には卵黄、イクラ、レバー、肉などがあります。1食当たりの量で見ると、ステーキや焼肉はお腹いっぱい食べることが多いので、摂取コレステロールは結構な量になります。
なお、牛乳には意外とコレステロールは含まれていませんし、植物系の食品にはコレステロールはまったく含まれていません。
コレステロール濃度を下げそうな飲み物
さて、食べてしまったコレステロールをリセットしたいあなたのために、血中コレステロール濃度を下げそうな飲み物と、そのメカニズムを解説します。
肝臓で合成されたコレステロールは胆汁とともに腸に分泌され、食事で摂ったコレステロールと一緒に腸でゆっくりと吸収されます。そして、腸から吸収されたコレステロールは再び肝臓に行き、肝臓から胆汁とともに腸に分泌されて、腸から吸収されて肝臓に……とグルグル回っています。
腸から吸収されるコレステロールは小さな油滴になっている必要があります。この油滴を「ミセル」と言います。もし、ミセルからコレステロールを追い出したら、そのコレステロールは食物繊維などにくっついて、腸で吸収されずにそのまま便として排出されます。
つまり、ミセルからコレステロールを追い出す物質はコレステロールの吸収を抑える働きがあり、結果として血中コレステロール濃度を低下させるわけです。
なお、わかりやすくするために「ミセルから追い出す」という表現を使っていますが、実際にはもっと複雑なメカニズムになっています。
繰り返すと、腸内に食物繊維があると、コレステロールはミセルから追い出され、食物繊維とくっつき、便として体外に出ていきます。そのため、食物繊維が含まれる野菜や果物にはコレステロールを下げる働きがあるのです。
コレステロール低下効果を検証して、トクホとして認められた飲料もあります。その作用のしくみは食物繊維と似た機序です。
結論としては、コレステロールが気になる人がステーキや焼肉、イクラなどを食べたときは、トクホ飲料、もしくは野菜果物ジュースを飲むとよいでしょう。ただし、野菜や果物はジュースにしてしまうと食物繊維の量が減り、その作用の強さも当然、減弱します。でも、飲まないよりはマシですね。
なお、コレステロールは動物だけが持っている油です。植物はコレステロールを持っておらず、代わりにコレステロールによく似た「植物ステロール」と呼ばれる別の油を持っています。つまり、料理用の植物油にはコレステロールという物質はそもそも含まれていないのです。
なお、植物ステロールにもカテキンなどと同様に、人間の血中コレステロール濃度を低下させる作用があります。
「なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?」(著:田中越郎)より
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