糖質を摂ったら血糖値が上がるのは当たり前です。
血糖値が上がると動脈硬化のリスクが高まります。
動脈硬化を防ぐには、食後の血糖値カーブのピークをなるべく低く抑える必要があります。カーブの裾野が広がることよりも、ピークの高さを下げるほうが重要です。つまり、なるべく平べったいカーブになるようにします。
そのためには、糖質の吸収速度をできるだけ遅くする必要があります。糖質と一緒に何か糖質以外の成分を摂ると、消化器は余計な仕事が増え、糖質の消化吸収に専念できず、その分、糖質が吸収されるまでの時間は長くなります。
ということは、お茶だろうとコーヒーだろうと何でもいいので、何かが糖質と共存すれば、その分、少しは糖質の吸収速度が遅くなり、血糖値のピークは少し下がることになります。
この糖質の消化の妨害作用が割と強いものに食物繊維があります。消化器内に糖質と一緒に食物繊維が存在すると、糖質の消化が遅延し、吸収までの時間が長くなり、血糖値のピークが下がることになります。
血糖値の上昇を抑える作用を謳っている飲料で、食物繊維がその主成分の場合、その食物繊維は「難消化性デキストリン」が多いようです。
デキストリンとはデンプンが少し分解されたものです。デンプンは基本的に人間の消化酵素で消化可能ですが、デンプンのすべてを完全に消化できるわけではなく、デンプンのところどころに消化できない部分があります。この消化できない部分を集めたものが難消化性デキストリンです。
難消化性デキストリンがあると、糖の吸収を遅延させて、血糖値のピークを下げることができます。総カロリー量の低下を期待するのではなく、血糖値のピークを下げることで動脈硬化は予防できるのです。
肥満や糖尿病がなぜダメなのかというと、動脈硬化を起こすからであって、動脈硬化を防ぐ難消化性デキストリンは、その目的に合致しています。
難消化性デキストリンは、ごはんやパン、甘いお菓子などに対して有効ですが、ブドウ糖や果糖が主成分のコーラなどには無効です。
なぜなら、難消化性デキストリンはデンプンやショ糖のような糖が2個以上結合した化合物に対してのみ効果を示し、これらがブドウ糖や果糖といった1個の糖に分解されるまでの時間を遅延させるからです。
すでに1個の糖になってしまっているブドウ糖や果糖の吸収には影響しないため、残念ながらコーラのようなぶどう糖果糖液糖に対しては、難消化性デキストリンは無効です。このことは飲料メーカーも理解しており、ほとんどの難消化性デキストリン入り飲料にはブドウ糖や果糖が入っていません。
量も重要ですが、それよりも重要なのは飲むタイミングです。空腹時ではなく食事と一緒に飲むことが重要で、食前、食後、食事中はどれでも大丈夫です。
血糖値が高い人は難消化性デキストリン入り飲料を上手に利用してください。
「なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?」(著:田中越郎)より
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