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血圧が高いけど、塩辛いものが食べたい! さて、なにを飲む?

日本人はそもそも食塩を摂り過ぎている

 血圧が高めの人は食塩(塩化ナトリウム)の摂取を制限する必要があります。一般に日本人は食塩を摂り過ぎているので、血圧が高めの人はさらに意識して食塩を避ける必要があります。

 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では成人男性7.5g、女性6.5gという数値になっていますが、これはもっと少ないほうがいいという考えのうえで策定されていて、WHOでは5.0g未満を推奨しています。しかし、一般の日本人にとって5.0gという数値はハードルが高過ぎるせいか、食事摂取基準では現実的な数値目標として、前述した数値を掲げています。

 血圧が高めの人にとって、ナトリウムを摂ると一番困るのは血圧が上がることです。その解決策としては、摂ったナトリウムをうまく捨てること、そして、上昇するであろう血圧を下げることの2つがあります。

 飲み物でナトリウムを捨てるには、カリウムを摂ることです。ナトリウムとカリウムは互いに同じ場所を占拠し合うような性質があり、カリウムをたくさん摂ると、その分、ナトリウムが出て行ってくれて、摂り過ぎたナトリウムを少しはチャラにできます。

カリウムを摂ってナトリウムを追い出す

 カリウムはたくさん食べたほうがいいので、1日当たり男性は2.5g、女性は2.0g以上摂取するとよいでしょう(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」)。可能ならば、血圧のために3.5gは摂りたいところです。

 カリウムは野菜や果物にたくさん含まれています。そのため、野菜ジュースや果物ジュースがオススメです。通常の野菜ジュース200mlには、およそ0.5g程度のカリウムが含まれており、十分満足できる量だと思います。

 なお、果物はその種類によってカリウムの含有量に幅があり、たとえば、ブドウは果物のなかでカリウム含有量が少なく、ブドウジュース200mlのカリウム含有量は0.06g程度です。

 ミックスジュースは材料がまちまちなので、当然ながらカリウム含有量に大きな幅があります。カリウム摂取目的でジュースを購入する場合は、ラベルを見てカリウム含有量を確認してください。ジュース1本当たり0・5g以上のカリウムがあれば合格と言えます。なお、野菜ジュースには味を整えるために食塩を添加したものもあるので、血圧を下げるために「食塩添加の野菜ジュース」を飲むのは正しくありません。

 腎機能が正常なら、過剰なカリウムはすべて尿中に捨てられるので、カリウムに摂り過ぎはありません。よって摂取上限量は設定されておらず、摂れば摂るほど体にいいと思ってください。

 ただし、腎臓が悪い人は過剰なカリウムをすべて捨て去ることができず、摂り過ぎると体内に蓄積してしまい非常によろしくない場合があります。腎臓が悪い人がカリウムの摂取、すなわち野菜や果物を摂取するときは医師とよく相談してください。

その他の血圧を下げる効果のある食品成分

 さらに、血圧を下げる効果のある食品成分としては、酢、GABA、ペプチドなどがあります。

 ペプチドとはアミノ酸が数個結合したものです。昔の栄養学では、食べたたんぱく質は腸で1個1個のアミノ酸にまで分解されてから、アミノ酸単体のかたちで吸収されると考えられていました。しかし、よくよく調べてみると、アミノ酸が2〜3個結合したかたち(これがペプチドです)でも腸から吸収されることが明らかになり、モノによってはそのペプチドが人体によい作用を示すことがわかってきたのです。そのひとつの例が血圧を下げる特殊なペプチドです。

 このペプチドだけでなく、酢やGABAにも血圧を下げる作用があります。

「なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?」(著:田中越郎)より

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