部下にどこまで口を出していいものか、上司として悩んでいる人もいるかと思います。上司として部下にどのくらい裁量を与えればいいのか、ご説明します!
Q 細かく教える上司、好きにやらせる上司
どっちがやる気が出る?
→部下の成長ステージ、能力に合わせて上司の役割を使い分ける。
結論から言うと、部下の能力や経験値によります。仕事を覚える時期の新入社員や、他部署から異動してきたばかりの若手社員、異業種から転職してきた中堅社員など、今学びの段階にいる部下には細かく教える上司が必要です。
部下が仕事に不慣れなうちは、マイクロマネジメント(部下の行動を細かく管理する過干渉ぎみのマネジメント)で接してくれる上司に安心感を覚えます。
そして、細やかに指導してもらうことで、クリアすべき課題がはっきりし、やる気も高まるのです。
一方、同じ部署に長くいて仕事に精通している社員や、他業種から専門性を買われて転職した社員、能力的に上司よりも優れている社員など、自主性に期待できるステージにいる部下には、好きにやらせる度量のある上司が必要です。
彼らは上司からマイクロマネジメントを受けると、やる気を失います。その状態が続くと、指示通りの以上のことはしなくなるでしょう。能力がある分、仕事をこなすようになってしまうのです。
人の成長には「守破離」の段階があります。
学びを守る段階、学びを破って模索する段階、指導者のもとを離れて自立する段階。上司の関わり方が正しければ、部下は段階的に成長していきます。
「守」の段階では有益だった細かく教えることは、「破」と「離」の段階に入った部下には必要ありません。足かせのように感じ、やる気を下げるだけです。
部下が仕事に慣れてくると、細かい指示は彼らからやる気を奪います。仕事が単純作業のように感じられるからです。
そうなったとき、上司がすべきなのは、より難易度の高い仕事を割り振ることです。もしくは、相手からアイデアを出してもらい、新たな仕事をつくっていくことです。
自立し始めた部下には、好きにやらせることです。
自由にやらせる分、大きな失敗をする可能性がありますが、上司はそのリスクをわかった上で見守り、失敗したときはサポートするという姿勢を示せば、部下の能力はそこから一気に伸びていきます。
見てはいるけど、基本的に口も出さないし、手も出さない。そんな心地良い距離感が信頼感となり、部下のやる気を高めます。
部下の能力や状況を的確に判断し、「細かく教える」「好きにやらせる」のいずれにも対応できるのが、部下のやる気を高める上司だといえるでしょう。
Q 隙がない上司、隙が多い上司、
部下のやる気を上げるのはどっち?
→部下の性質に合わせて使い分ける!
似たような話となってしまいますが、部下にどの程度隙を見せるかという問題もあります。
自分で考えて動ける自主性の高い部下が揃っているなら、隙の多い上司でいるべきです。そのほうが部下は自由に動くことができるので、自分の行動に対して裁量権、決定権がある環境はやる気を持続させます。
一方、経験の少ない若手が部下の中心だとしたら、細かな指示を出す隙のない上司でいるべきです。次に何をすればいいのかわからない部下に随時、指示を出し、行動を適宜フォローしていくことで彼らの不安を取り除いてあげるとよいでしょう。
『自分のやる気が上がるのはどっち?』(著:田中伸明)より
『自分のやる気が上がるのはどっち?』 (クロスメディア・パブリッシング) |