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「1日2食」と「8時間睡眠」でハイパフォーマー|最高の体調-パレオな男に聞いてみた-

Written by 鈴木祐

「最高の体調を手に入れて、もっとパフォーマンスを高める」には? 『最高の体調』著者・鈴木祐氏(愛称:パレオな男)のアドバイスをもとに、ビジネスライフ社長がさまざまなミッションにチャレンジしながら情報をお届けします。 第7回は「連載総集編」。約9ヶ月間の連載期間を通して小早川社長に起こった変化とは? 鈴木氏&小早川氏の睡眠データ・食事も大公開! 

■前回の記事はこちら

「疲れたら糖分補給」はウソ?|最高の体調-パレオな男に聞いてみた-

 

ビジネスライフ社長がよりハイパフォーマンスなビジネスパーソンを目指し、「アタマ・ココロ・カラダ」の面からさまざまなミッションにチャレンジしてきた本連載。企画開始から半年以上が経ち、小早川社長はどのように変わったのだろうか。

 

連載を振り返る

連載第1回2回でまず取り組んだのは睡眠習慣。睡眠サポートデバイス「Oura ring」や飲み会での深酒を防ぐ「if-thenプランニング」を紹介した。

第3回では脳機能を高める筋トレ「HIIT」で運動量を増やし、第4回ではメンタルと睡眠の質を改善する「筆記開示」を紹介。

第5回6回では1日1kgの野菜をとる「サラダファイト」や16時間の「プチ断食」で食事面の改善を目指した。

6回の連載で「睡眠・運動・メンタル・食事」という4つの視点からコンディショニングに取り組んできた小早川社長。生活の変化を知るため、まずはその1日を追ってみよう。

 

社長のとある1日(午前〜昼)…「楽しんで食べる」


小早川氏の1日(午前〜昼食)

6:30〜  起床。家では食事をとらずに出勤

8:00〜  コーヒーを飲みつつ仕事開始。この日はバナナで栄養補給

〜14:00    空腹状態で仕事

14:00〜 カフェで著者とランチミーティング


 

小早川「女性の著者に合わせて、「ごまごま豚しゃぶ冷麺」を選びました」

 

細マッチョになるべく、1日1kgのサラダを食べる「サラダファイト」のミッションを出されていた小早川氏。「昼食にサラダだけ食べる」という目標を立てていたが、結局は「食べたいものを楽しんで食べる」に落ち着いたという。

 

小早川「デリバリーサービスなどを利用してサラダをとるつもりだったんですが、思いのほか面倒だと感じてしまって」

 

よく食べるのは、主菜が肉もしくは野菜の「和定食」。主食・主菜(肉や魚)・副菜(野菜のおかず)・汁物がそろった和定食は栄養バランスが整いやすく、仕事のパフォーマンスをあげるのに適している。

■「仕事のパフォーマンスを上げる食事とは?栄養バランス重視の食事で「できる人」に!

 

小早川「会社の近くに高島屋など百貨店がたくさんあるので、物産展でランチすることもありますね。平日昼にご当地ラーメンや寿司を食べるのが楽しみ。今のところ生きがいと言ってもいいくらいです!

 

鈴木「生きがいになるほど楽しみなんですか?」

 

小早川「それがしあわせのひとつと言っていいくらいです!」

 

社長のとある1日(午後)…「会食が減った!」

続いて、午後の生活スタイルを見てみよう。


小早川社長の1日(夜)

18:00   退勤。

19:00〜 経営者仲間と会食(※会食頻度は週2回)

 

小早川氏「この日の夜はお鮨屋さんで会食。仕事の話ばかりですね」

 

21:30〜 Barで二次会。今日は、ビール中ジョッキ1杯、日本酒2合、焼酎ソーダ割1杯、バーボンソーダ割1杯を飲む

 

小早川「お酒の量はいつもこれくらいですね」

23:30  帰宅

24:30     就寝。気絶するようにすぐ寝入る


小早川「連載開始前とくらべてはっきり変わったのは、会食の頻度でしょうね。飲み会は着実に減っている。誘われること自体が減ったのは健康志向のイメージがついたからかもしれません。翌日のパフォーマンスを意識するようになって、深酒もしなくなりました

 

しかし、社長業ともなると人脈作りも大事。会食の頻度が減ったことで仕事や人間関係に影響はなかったのだろうか。

 

小早川「悪い影響は特に感じないですよ。最近は会食よりランチミーティングを望む取引先も増えています。仕事後の時間に影響が出ないので、お互いメリットがあるんじゃないかな」

 

鈴木氏も「ランチミーティングの方がいいコンディションが保てるのは間違いないでしょうね」と好意的な見解を示す。

 

「誘われてから飲む」スタイルへ

連載第2回では、「翌日に響かない飲み方」を期待して質問した小早川氏に

「飲みに行かなければいいんですよ」

と提案した鈴木氏。「お酒はほんの1杯でも健康に悪い」という見解からすると、週2の飲み会も望ましいとは言えないのだが……。

 

小早川「飲み会を週2より減らすのは難しい。著者や取引先と関わる機会があるんです。

例えば500人の著者のうち、50人と年1回会うとします。それだけで会食の日数が1年で50日になる。さらに新しい著者や昔からの友人との時間を含めると、簡単に365日中100日は埋まります」

 

鈴木「それは仕事上仕方ないことだと思います。酒を回避するあまりに人間関係が悪くなるのはダメですね。地中海式ダイエットなら酒を飲むのはOKとされていますから、うまく折り合いをつけることが大事」

 

小早川「飲まなきゃいいことなんだけど、酒がない人生は味気ない。だから、「完全に飲まない」という選択はできないと思う。

 

でも、鈴木さんの「飲まなきゃいいじゃん」のスタンスを知っているのと知らない人では意識に差が出ると思いますよ。実際にストイックな人がいるのを知ると「禁酒できるんじゃないかな」という気分が生まれる。

その立場に立つのは難しいけど、「飲まない」という選択肢が頭にあるのはいいですね

 

飲み会減少→睡眠時間回復へ

連載を通じて変化を感じる点を小早川社長に聞くと、

「1番の変化は飲み会の頻度。それから睡眠時間が改善された」

という答えが。

 

 

小早川「睡眠をきちんととらないと翌日が怖い。12時就寝を目安に、最低5〜6時間の睡眠は死守しています。飲み会が減って睡眠時間を確保しやすくなったということもあって、今は睡眠に最もこだわっているんです。

ただ、その分「運動」「食事」の優先順位は低くなりがち。「やたらジムに通う期間」「やたら食事を制限する期間」はあるんですが、それぞれの習慣を継続できません。だから最近、運動面を続けられていない」

 

鈴木「睡眠はコンディショニングの中でもフィードバックが早い部類に入りますからね。効果がすぐにわかりやすいから、より習慣化しやすいんでしょう。

小早川さんには細マッチョになるための運動メニューとしてHIITをお薦めしましたが、これを継続できないのは仕方がないと思います。HIITは習慣化するには一番きつい項目。そもそもパフォーマンス維持の面だけでいえば、HIITほどの運動強度は必要ありませんから。

連載第3回でも言いましたが、一つの習慣が身につくには最低66日から128日はかかる。1つの習慣を身につけるのに、月替りでミッションを変えるサイクルは短かったですね

 

超ストイック! パレオな男・鈴木氏の食事・睡眠データ

連載を通じてコンディショニングへの意識が高まった小早川社長。果たして「最高の体調」にはどれほど近づいたのだろうか。

そこで編集部では鈴木氏にも1日の食事・睡眠・運動データを見せていただき、小早川氏と比較。すると、「最高の体調」体現者である鈴木氏のストイックさが明らかになった。

 

12:00 鈴木氏の昼食

「12時の昼食・19時の夕食」の1日2食がパレオ流。


・鶏肉

・ブルーベリー


昼食はこの2つ以外何もなし! というシンプルさだ。

写真は調理前の素材というわけではなく、食べる直前の状態だという。

 

19:00 鈴木氏の夕食

夕食は昼食に比べ品数が増えた。素材をそのまま活かす姿勢は健在だ。


・山盛りサラダ

・鶏肉

・ゆで卵2個

・ブルーベリー

・サツマイモ


タンパク質と野菜を優先してとり、残りのカロリーをサツマイモやブルーベリーで補っているという鈴木氏。「パレオダイエット的に最強の食材」だというブルーベリーとサツマイモの存在感が大きい。

 

■参考記事

パレオダイエッターの具体的な一週間の食事例」(パレオな男)

パレオダイエット的に最強のフルーツ、それはブルーベリー」(同上)

パレオダイエット的に最強の炭水化物、それは「サツマイモ」」(同上)

 

1日の活動量

「ACTIVITY」(太枠部分)が1日の活動の総合スコア。鈴木氏はこの数値で1日を判断するという。1日の歩数(細枠部分)も16929歩と高い。

ランニングマシンと仕事机を組み合わせた「トレッドミルデスク」で作業する鈴木氏は、仕事をしている日でも十分に運動量を確保できるのだ。

■参考記事「時速2kmで歩きながら原稿が書ける「トレッドミルデスク」を自作してやったぞ」(パレオな男)

 

23:44〜翌朝8:07の睡眠

この日の睡眠時間はなんと8時間25分

睡眠の質は太枠部分の総合スコアで判断する。画面下部のグラフは青色が濃いほど眠りが深いことを示す。

鈴木氏が「この日は浅い眠りが少し出てしまいましたね」と示したのはグラフの白い部分(細枠部分)。「AWAKE」と判断された22分を除いても、「僕はきっちり8時間は眠らないと頭が働かない」(連載第2回より)と言っていた通りの時間を確保していた。

 

 

小早川「食事、運動、睡眠……。こうして比べてみると、僕には改善すべき点がたくさんあるなあ。でも、「細マッチョなカッコいい社長」になることはあきらめません! とりあえず、71kgの体重が68kgになったらご報告します」

 

鈴木「目標設定は大事です。いい報告、お待ちしてます!」

 

——「最高の体調」は遠いものの、新たに決意を固めた小早川社長。ハイパフォーマーを目指す道のりはまだ始まったばかりだ。

 

 

鈴木「ところで、朝英会話はその後どうですか?」

 

小早川「オンライン英会話ですか。まだやってませんね……」


今回で小早川社長が「最高の体調」を目指すこの連載は完結。次回からは編集部や読者からの質問に鈴木祐さんが答える新連載が始まります。

鈴木祐さんへの質問はビジネスライフ【公式】ツイッター(@BusinessLife_JP )へのリプライで募集しています。「朝起きられない」といった健康の悩みやメンタルの整え方、筋トレや仕事術など、幅広い質問をお待ちしています! 

第1回の質問締め切りは2019年9月16日(月)まで。


生活習慣・ストレスを改善したい方へー「過去最高のコンディション」を目指す実践型プログラム

『最高の体調』は科学ジャーナリスト鈴木祐氏による、科学的根拠のあるコンディションを改善するためのテクニックが集約された書籍です。2018年の発売以来、10万部を超えるヒット作として多くの方にご愛読いただいています。

この度より多くの方に効果を実感いただくための実践型オンラインプログラムを開発しました。

いろいろな書籍・記事を読んで内容に共感したのに実践できなかった・続かなかった経験はありませんか?当プログラムはそんな「忙しい方」「習慣化が苦手な方」「改善点が多い方」にこそオススメです!

 

『最高の体調』実践プログラムの特徴

・必要なツール(実践ワークシート・オリジナルレシピ集・観葉植物など)はスタータキットとしてご自宅にお届けします。

・学習は会員専用ページからいつでも可能です!

・会員限定のコミュニティページでは、最高の体調を目指すユーザー同士で目標の共有、実践報告、アドバイス、質疑応答などができます。

ときには鈴木祐氏がコメント・回答することも!

ここでの投稿で話題になったテーマや要望のあったテーマについて、鈴木氏がメルマガで回答したり、オリジナルイベントや商品を企画したりと、みなさまの声を吸い上げてプログラムがアップデートされています。

 

書籍:「最高の体調」(鈴木祐 著)

『最高の体調』(鈴木祐)

【目次(一部抜粋)】

第1章「文明病」

「文明病」が心と体を蝕んでいく
かつてないレベルのカロリーを摂取している
古代ではあり得ない「肥満」という現象
都市部の若者とヒンバ族では集中力に大差が!
豊かになればなるほど鬱病が増えるのはなぜ?

第2章「炎症と不安」

《炎症編》
長寿な人の共通点は、体の「炎症レベル」が低い
炎症が長引くと全身の機能が低下する
内臓脂肪が減らない限り、体は燃え続ける

《不安編》
不安障害の患者は15年で2倍に増加
「ぼんやりした不安」と「はっきりした不安」
不安は記憶力、判断力を奪い、死期を早める

第3章 腸

現代人の腸はバリアがどんどん破れている
衛生的な生活が免疫システムを狂わせる
抗生物質を使うと腸内細菌が大量に死ぬ
発酵食品の凄い効果─ロンドン大学の研究
このサプリを使えば症状は改善する

第4章 環境

人は環境に影響を受ける─グーグルの実験
自然を失い、友人を失った人類の末路
疲れたらマッサージ? もっといい方法がある
孤独だった人に友人ができると寿命が延びる
〝偽物の自然〟にもリラックス効果がある

第5章 ストレス

過剰なストレスが全身を壊していく
ストレスを感じたときに効くひと言とは?
寝不足が続くとダメージを修復できない
優良ホルモン「メラトニン」が増える眠り方
40分の昼寝で完全回復─NASAの研究結果

第6章 価値

ぼんやりした不安を解消するたった1つの方法
未来に目的があれば迫害すら乗り越えられる
原始人にとって生きる意味は単純だった
あなたの人生における価値観とはなにか?
ミシシッピ大学の「価値評定スケール」とは?                

第7章 死

死を想うことでより良い生き方を選べる?
無意識に死への不安を感じている
死の不安に対して原始仏教が示した解決策
畏敬の念をもつと体内の炎症レベルが下がる
自然、アート、偉人、嘆するのはどれ?

第8章 遊び

もし「遊び」を奪われたら人はどうなる?
娯楽があふれているのに楽しくない
ルール化することで〝いまここ〟に集中できる
幸福感が上がりやすくなる「3のルール」
現在と未来の心理的な距離を縮める方法

          

詳細はこちら:「最高の体調」(Amazon)

About the author

鈴木祐 

サイエンスライター

サイエンスライター。1976年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。また、ヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』『科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)他多数。

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