部下への態度に悩んでいる上司必見! 褒めるか叱るか、公平さか明るさか、部下のやる気を上げる上司の行動を解説します。
Q「褒める」と「叱る」、部下のやる気が上がるのはどっち?
→褒めて伸ばす部下と叱って伸ばす部下の違いを見極めよう!
私たちのやる気が上がるのは、次の3つの条件のうち1つでも当てはまるときです。
①うれしい出来事が起きるかもしれないと期待しているとき
②予期していなかったうれしい出来事が起きたとき
③うれしい出来事が確実に起きると予想されたとき
そして、やる気が持続しやすいのは次の2つの条件のいずれか、もしくは両方を感じているときです。
①自分はできるという期待値が高いとき
②喜びを感じる報酬が期待できるとき
この3 + 2の条件から考えると、設問の答えは「褒める上司」が部下のやる気を上げるになります。褒められた喜びで、部下の脳内にはドーパミンが分泌され、モチベーションが高まるからです。あなたが上司なら、部下をどんどん褒めてやる気にさせましょう。
しかし、なかには褒めてもドーパミンが分泌されない人たちがいます。
褒められることに慣れているタイプや、過去の失敗の記憶が強すぎて、少しぐらい褒めても反応しないタイプです。
彼らの脳は褒められても快感を覚えないので、褒め上手の上司は苦労するでしょう。そんなときは、反対に叱ってみるのも手です。
叱るといっても、ただ感情に任せて叱るのではなく、改善点を明らかにした上で、具体的にアドバイスすることが必要です。アドバイスを受けた部下が、「次はうまくいく」と思えれば、前ページ「3つの条件」の①と③に当てはまるため、部下の気持ちも前向きになるはずです。
Q「明るさ」と「公平さ」、部下のやる気が上がる上司はどっち?
→圧倒的に「公平さ」!
「パレートの法則」曰く、会社の売上げの8割は優秀な2割の社員が生み出しているため、リーダーは成果に応じた報酬を彼らに提供して、組織に定着してもらう必要があります。
有能な彼らが組織に残り結果を出せば、会社が大きくなり全体の給与も上がるなど、残り8割の人にも恩恵が行き渡るのです。
一方、明るい上司が部下のやる気を高める効果は、限定的といえます。明るく振る舞い、部下の気持ちを盛り上げてくれる上司が職場にいたら嬉しいですが、「その上司のためにやる気を出して頑張ろう」とまではモチベートされないのではないでしょうか。
それでも、組織に明るいリーダーシップが求められる場面があります。業績が低迷しているときです。
業績がふるわない会社には、暗いイメージがあるかもしれません。業績が悪いから職場が暗いのか、職場が暗いから業績が悪いのかはさておき、こうした会社や職場で上司が明るい性格だと救われることも多いはずです。
ただ裏を返せば、明るい上司が評価されている組織は、それ以外にメンバーのやる気にポジティブな影響を与えるものがないということでもあります。
最近、急に明るい性格の人が出世し始めたとか、入社してくるのは明るい人ばかり、という会社や職場は、トップやリーダーが他に打つ手がない可能性もあるので注意が必要かもしれません。。。
『自分のやる気が上がるのはどっち?』(著:田中伸明)より
『自分のやる気が上がるのはどっち?』 (クロスメディア・パブリッシング) |