みなさんは、「やる気」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
“やる気スイッチ”という言葉があるように、
・自分自身で意図的に生み出すもの
・行動するモードになれば動けるもの
このようなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
実際、「やる気」は、自分から動き出さなければ芽生えません。
しかし、この「自ら動き出す」ということが、なかなか厄介です。
先ほど、“やる気スイッチ”という表現を使いましたが、ボタンを押せばすぐにやる気が湧いてくるほど、簡単なものなのでしょうか?
おそらく、多くの人が「違う」と感じるはずです。「そんな簡単なアクションでやる気が出るなら、とっくに始めている」と思いますよね。私もそう思います。やる気とは、それほど単純ではないのです。
やる気が起こらない理由は、実はとてもシンプルです。
「やらないから、動けない」。
逆ではありません。「動けないから、やらない」のではなく、「やらないから、やる気が出ない」のです。
「そんなの当たり前では?」と思われるかもしれませんが、やらない限り、脳の“やる気を生み出す部位”は働き出さないのです。
電動自転車の電源ボタンを押しただけでは、前に進みませんよね。ペダルを踏み込んではじめて、車体は動き出します。
人間も同じです。便利な“やる気スイッチ”のようなものは、私たちには備わっていません。簡単に脳のやる気モードをオンにしてくれるボタンなどないのです。
自動車のエンジンも、最初は電気で無理やり始動させます。
昔の飛行機は、人の手でプロペラをぐるぐる回してエンジンをかけていました。
人間も同じで、スイッチを入れればパッと始動するのではなく、最初に「無理やりでも動く」ことでようやくやる気が発動するのです。
コマだって、最初に回さなければ回りません。しかし、一度回ってしまえば、遠心力で自然と回り続けます。
やる気は“スイッチ”ではなく、“エンジン”。そう考えてください。
大切なのは、まず動き出すこと

「最初の5秒だけ動いてみましょう」
たとえばソファーで寝転んでいるとき、「よし!」と声を出して立ち上がり、5秒間だけ何か行動する。この動き出しこそが、やる気エンジンを始動させるポイントなのです。
とはいえ、たった5秒でさえ体が言うことを聞かない――そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。やる気というのは、私たちが思っている以上に厄介なものです。
それでも、この「5秒」を我慢してやるべきことに向き合い、行動を起こすことで、脳のやる気エンジンは動き出します。
勉強や仕事に取りかかるなら、とにかく机に座って参考書やパソコンを開く。掃除をするなら、掃除機を手に取り、電源を入れる。
この“最初の行動”のために、「5秒」だけがんばってみてください。
「やりたくない」という本能的な感情を司る大脳辺縁系に対して、それを抑え込む役割を持つ前頭葉が働き出すまでには、5〜6秒かかるといわれています。
「がんばりましょう」と精神論で押しつけるつもりはありません。
ただ、この「5秒」は、人間の本能に打ち勝つための時間だと思うと、とても意義深い時間に思えてきませんか?
「この5秒で、自分は本能に勝つんだ!」と考えると、より行動しやすくなるかもしれません。
想像してみてください。部屋の片づけやお風呂掃除――最初は気が進まなくても、やり始めると「あれ、こんなに掃除するつもりじゃなかったのに!」と感じるくらい夢中になった経験はないでしょうか?
脳には、一度始めた行動にのめり込む性質があります。
この正体こそが、脳内にある「淡蒼球」という部位です。
「淡蒼球」を活性化させるには、まず体を動かし、行動を始めることが必要です。
つまり、自分自身でプロペラを回すしかないのです。
しかし、一度回してしまえば、あとは「淡蒼球」がやる気エンジンを活発に動かしてくれます。
やる気は「生まれるもの」ではなく、「自分で回すもの」。
そう意識して、まずは「最初の5秒」、動いてみませんか?
世界最先端の研究が導き出した、「すぐやる」超習慣(著:堀田秀吾)より
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