ケトジェニックダイエットとは、難治性のてんかんを治療するために、1920年代に確立された食事法です。
現在までに、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経の病気に有効なのではないかと注目されているほか、糖尿病におけるインスリン抵抗性や、緑内障、さらには胃がんを含めた悪性腫瘍にも効果があるのではないかと言われています。また、ダイエットのための食事法として注目されつつあります。
ケトジェニックダイエットは、高脂肪&低糖質が基本です。糖質からの摂取エネルギーを、消費エネルギーの10%以下に減らします。すると、体のエネルギー源がブドウ糖からケトン体に切り替わります。体脂肪と、食事から摂取した脂肪酸が分解され、ケトン体が合成されます。もちろん、健康的なダイエットのためには、たんぱく質、糖質、脂質のバランスも大切です。
ケトジェニックダイエットのポイントは3つ。
①糖質摂取を1日100g未満にし、体内の糖質を枯渇させます
②食事から得るエネルギーのうち、60〜80%を脂質から摂ることが目安です
③良質な油を摂るようにします
注意点としては、それまで糖質メインの食生活を送っていた方の場合、急にケトジェニック食にすることで糖質が減少することによる変化に体がおいつかず、だるさや頭痛、気持ち悪くなるなどの症状が出るおそれがあることです。
また、ふらふらする、気が遠くなるなどの低血糖症状が出る場合もありますので、糖質をいきなり減らすのではなく、少しずつ減らしていくのがよいですね。
また、糖質を極端に減らす場合は、甲状腺機能に影響が出る場合がありますので、慎重に行いましょう。そして、持病がある方や通院している方の場合は、まず主治医や担当者に相談してから試してみること。そのほか、もし何か困った症状や体に異変がおきた場合は、無理せず元の食事に戻したり、医師や栄養士に相談してみるのがよいかと思います。
良質な油とその摂取方法
それでは、脂質を良質な油を摂るにはどうしたらよいのでしょうか。おすすめは、エクストラバージンオリーブオイルと魚油、アマニ油、エゴマ油です。
おかずをつくるとき、炒める場合は油を使いますね。ただ、体によい油でも、高温で調理するとどうしても酸化してしまいやすく、過酸化脂質など体に悪い成分に変わってしまう恐れがあります。
酸化しづらい飽和脂肪を多く含むごま油やココナッツオイルなどは、飽和脂肪が多いので実際焦げにくくてよいのですが、オメガ6がオメガ3より圧倒的に多く、あまりおすすめできません。
基本的には炒め料理はせず、煮物料理に、また、野菜はなるべく生で食べるのがいいですね。そして、おかずができあがったら、あとから良質なオイルをかけてどんどん摂取しましょう。意外と美味しいです。
魚油は、必須脂肪酸で血液サラサラ成分のDHAやEPAを効果的に摂取できます。サバ、サケ、ブリ、サンマ、イワシなどの青魚はとくにこうした良質な魚油を多く含むのでおすすめですね!
サバは17%、サケは4%、ブリは35%、サンマは17%、イワシは11%が脂質です。おかずに取り入れたり、あるいはオイル煮にしたりするなど、積極的に摂取してください。また、イクラやタラコ、カズノコといった 魚卵もDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸が豊富でおすすめです。
医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣(著:CHIEKO)より
![]() | 『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』 (クロスメディア・パブリッシング) |