毎日毎日、忙しい! ただ時間に追われているうちに、気づけばまた1日が、1週間が、1ヶ月が、そして1年が終わってく――そんな感覚に陥ったこと、ありませんか?
私、鈴木ふみ奈の読書コラム『道は開ける』も第11回。今回ご紹介する本は、『本当に必要なことはすべて「ひとりの時間」が教えてくれる』(著:横田真由子)です。
タイトルにある通り、この本は「ひとりの時間」を中心に、限りある時間の質を上げ、毎日をもっと素敵に、自分らしく生きるためのヒントを教えてくれます。
著者の横田真由子さんは、元・GUCCIのNo.1販売員で、現在は”ミニマムリッチコンサルタント”として、女性のキャリアやライフスタイルのコンサルティングで活躍されている方。”ミニマムリッチ”というのは“上質なものを少しだけ”という意味だそうです。
忙しい中でも、10分でもいいから”自分だけの豊かな時間”をもつことで、人生はもっと素敵になるんだということを、この本は教えてくれました。
そして今回のグラビアは、“優雅にひとりの時間を満喫中(喫茶店で読書タイム)”と“アクティブにひとりの時間満喫中(リアル脱出ゲームに挑戦!)”の2本立てでお送りします!
「アンダンテのリズム」を楽しむ
すごくハッとさせられる考え方や、納得する内容がたくさんあったんですけど、まず刺さったのが「アンダンテのリズムで歩いてみる」こと。
私、どちらかというとカツカツ生きちゃうタイプなんですよね。電車とかも、「一本早く乗れるんだったら乗りたい」と思って、仕事終わったあとに、「すみません私は走るんで!」ってマネージャーさんを置いて帰ったりして。笑
ちょっとでも時間ができるんだったら他のことしたい!って思って焦っちゃうんですよ。
著者の横田さんもそういうタイプで、いつも音楽用語の「アレグロ(快速に)」のようなリズムで過ごしていたそうです。たまに実家に帰って田舎で過ごすと、「アンダンテ(歩くような速さで)」のようで、「遅いな」とイライラしていた。
私、音楽をやっていたので、この表現はすごくわかりやすかったです。「テンポ80くらいだな」みたいな。だから確かに私はアンダンテじゃなくてアレグロだなって。笑
でも横田さんはある日、「早すぎるリズムでは、人の気持ちやあたたかさも見えなくなる」って気づいたそうなんです。駅のホームで急いで電車に乗ろうとして、同時に乗り込もうとした白髪のご婦人が「どうぞ」と微笑んでくれた、その笑顔にハッとした、と。
これ、すごく共感しました。確かに、急いでるとついつい「早くして!」「先に行かせて!」みたいに思っちゃうけど、そこで他の人が余裕をもって譲ってくれたりすると、心が洗われるし、急ぎすぎてたかもって気づかされます。
乗り換えとかも急いじゃうタイプなんですけど、ホームに早く着いても、まだ電車来てなかったりして、結構待ったりするんですよね、結局は。それだったらあのときあんなにスタスタ歩いて他の人抜かすより、どうぞって言えばよかったな、って思ったりして。私も、アンダンテのリズムを楽しめる自分でいたいな〜。
スマホから離れて、時間と自分を取り戻す
あとは「時間を食い荒らすスマホとの関係を見直す」というところ。
やっぱり現代ってスマホを手放せなくて、常に脳の何%かがスマホに使われてるような生活になりがちだと思います。でもこの本は、たまにはスマホから離れて過ごしてみることで、「大切なことに集中する時間」と、ネットの情報や口コミに頼らず「自分の感覚で判断する軸」が取り戻せる、とあります。
以前、知人が「急に入院することになって、10日間スマホがない生活をしたけど、それがすごく優雅だった」と言っていて。病院に置いてあった小説を読んだりして充実した時間を過ごせたそうなんです。
やっぱりスマホがないだけで時間の過ごし方って結構変わるから、私も意図的にやっていきたいなって思います。
私、前まではスマホ依存症気味だったんですけど、最近、読書とか集中したいときは離れた場所に置くようにしてます。前に取り上げた『最高の体調』でも、「デジタルデバイスが目に入るだけで効率が下がる」っていうことを学んだので。読書メモもずっとスマホでとってたんですけど、紙とペンに変えました。そしたら、確かに集中して効率良く読めるようになったし、より優雅な時間を過ごせるなって感じましたね。
「アナログな時間」が癒やしをくれる
紙とペン、といえば、「アナログな時間」の大切さにも触れられていました。アナログな時間は、たとえば料理をするとか花を生けるとか、自分の手を使って丁寧に作業する時間のことです。
横田さんは、季節の絵葉書に手描きで書かれたお礼状を貰ったときのことを、「心を使っていただいた時間が最高のギフト」と書かれていて、すごく沁みました。
パッと思い浮かんだのは、ミス・ワールドのファイナリスト同士として仲良くなった鈴木柚里絵ちゃん。私がしてあげたことのお礼で、「ありがとう」ってお菓子をくれたんですけど、買ったものをそのまま渡すんじゃなくて、包装されたものをさらに自分できれいに包装し直して、お手紙までつけてくれてたんですよ。その一工夫が、「心を使ってもらえた」っていう感覚があってすごくうれしかったんです。
芸能のお仕事だと差し入れする機会とかも多いし、私もちょっとした一工夫をして、喜んでもらえたらいいなって思いました!
忙しくても素敵な部屋を保つ方法
最初に書いたとおり、著者の横田さんは元ブランド販売員なので、「モノとの向き合い方」についてもすごく具体的なアドバイスがたくさんありました。
たとえば、「忙しくても素敵な部屋を保つ方法」。よく「身の回りのキレイさは頭の整理整頓具合と一緒」ってビジネス書とかにも書いてありますけど、やっぱり忙しくなってくるとどんどん部屋も汚くなってきちゃうじゃないですか?
じゃあどうしたらいいかというと、「マイフェイバリットコーナーをつくる」のがいいと。たとえ一か所だけでもいいからキレイに保って、好きなモノしか置かないようにすることで、他が散らかってても、そのコーナーにいればくつろげるんですね。
これは私も実践しようと思って、自分の家だったらどこだろうって考えたときに、カーペットの上は、せめてモノを置くのはやめようって思いました。基本的に部屋はキレイなんですけど、どうしてもバタバタしてるときとかは「とりあえず一回置いとこう」ってカーペットにモノを置いちゃってたので、やめるようにしましたね。
床に置かないっていうのはやっぱり大事みたいで、「モノが病気になるのを防ぐ2つのルール」としても取り上げられていました。「目で確認できる数に絞る」と「床に置かない」の2つのルールなんですけど。
「モノを病気にしない」っていい表現ですよね。病気っていうのは、定期検査を怠っているせいで、ホコリを被ったり、クローゼットの奥で潰れていたりするモノのことです。お店でショッピングしてるときも、「あっ、病気になってるな」って思うモノがあるんですよね。すごく可愛いのにちょっとシワができちゃってたりとか、たまにファンデーションが試着したときについちゃったのがそのまま置いてあったりすると、それだけでモノの見え方はぜんぜん変わるから、もったいないなって。
「上質さは細部に宿る」―ミニマムリッチな買い物術
あとは「ミニマムリッチな買い物術」は響きました! たとえば「上質さは細部に宿る」から、ボタンや金具などのパーツにこだわるだとか、大切なところ1点だけでもお金をかけてメリハリをつけると「高見え」するだとか……う〜ん、なるほど!
おしゃれな人ってなんか全部高くて良いものを着てるように見えるじゃないですか。実はこういう風にバランスとってるんだなと、すごく勉強になりましたね。
私、普段高いモノはあんまり買わないんですけど、最近「これだけはこだわってもいいな」って思っているモノがあって、それがバッグなんですよ。バッグはいつも持ち歩くモノだから、良いものだとすごくテンション上がるなと思って、誕生日に自分でヴィトンのバッグを買ったんです。
そしたら、これまではあんまりバッグの中をキレイにできないタイプだったんですけど、ちゃんとキレイに保てるようになったんですよ! 良いモノを使うことで大切にしたい、キレイに保っておきたいっていう気持ちを持てて、結果的に長持ちもするしいいことづくめでした!
本当のセレブは時間とストーリーにお金をかける
買い物術で言うと、「本当のセレブは時間とストーリーにお金をかける」っていうのは、すごく素敵だし、共感しましたね。アンティークなどの「時間」が経つほど価値があがっていくモノや、使われている技法や素材の背景を知ったり、人生の節目で買ったりした「ストーリー」のあるモノには愛着が持てるといいます。
私が今使っているバッグも、実はちゃんとブランドについてしっかり調べて買ったんです。バッグってそんなにたくさん必要でもないので、どんな服にでも合う、王道の黒いバッグが欲しかったんですよ。それでヴァレンティノっていうブランドのモノにしたんです。ヴァレンティノって主に洋服のブランドで、「洋服に合わせたバッグをつくる」っていうコンセプトだし、イタリアのブランドだからちゃんとした革の素材で長持ちするんです。
すごく気に入ってて、普段から気分をあげてくれるんですよ。これからもそういう選び方をしていきたいです。
人生を豊かにするコツ「グレーを楽しむ」「中に入って面白がる」
さらに、具体的に行動に移せることだけじゃなくて、悩んでいるときに刺さるような名言も多い本でした。
たとえば、「悩んだ時や迷った時は、一旦、保留にしてグレーのままでいること」。この言葉、すっごく好きなんですよ〜! 白か黒かではなく、シルバーグレーのようにやや明るくなったり、チャコールグレーのように深くなったり、そんなグレーのバリエーションもよしとする。「これはこれで美しい」と思えるのも、経験値のある大人ならではの美意識だって。
白黒はっきりしないとイライラしちゃう人って結構いると思うし、私もそういうときもあるんですけど、「グレーな状態を楽しむ」ことができたら、たしかに幸せがふえるなぁって。
それから樹木希林さんの名言で、「楽しむのではなくて、面白がることよ。楽しむというのは客観的でしょう。中に入って面白がるの。面白がらなきゃ、やっていけないもの、この世の中」というのがあるそうです。
面白がるとは、中にどっぷり入ってみることだと。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」じゃないですけど、たしかに見て楽しむだけじゃなくて、中に入ってやってみると意外と面白かったりしますよね。スポーツでも観戦するよりやる面白さってあるし。
私も今まで、楽器とか麻雀とかバンジージャンプとか、何でも挑戦するようにしてきたと思います。「怖い」「できない」で終わるんじゃなくて飛んでみたから面白いってわかった……バンジーは面白くはなかったですけど、マジで怖かったですけど。笑 もちろん合わないこと、面白くないことだってあると思うけど、やってみなきゃわかんないし、まずやってみることでどんどん面白いことが増えるからいいなっていう考えはありますね。……バンジージャンプは本当怖かったですけど。笑 でも、経験できてよかったです。
年齢が気になるときのマイルールは?
新しいことをやってみたくても尻込みしちゃう……そんなときに効くのが、「10年マイナスルール」! ある人生相談の答えにあったそうなんですけど、これ、面白いんですよ!
年齢を言い訳にしちゃうときは、「私は今、10年前の自分に戻してもらっている」って自分を勘違いさせるんです。
そしたら、今40だったらまだ30、30だったらまだハタチだしで全然いけるじゃん!って思える。これは良いですよね! まったく自分にない発想でした。
似た考え方で、「年齢を3で割ると人生の時間」というのも面白かったです。私29歳だから、まだ10時前でした。会社なら出社してちょっとぐらいかな。思ってたより確かに早かったですね、もう14〜15時くらいかと思ってたので。笑 まだまだこれから挑戦できる年齢なんだなって嬉しさがありました。
お気に入りの時計とともに、上質な「ひとりの時間」を過ごす
この本には、豊かに生きる知恵がたくさんあって、どれもちょっとした一工夫でできることばかりなのが素敵でした。「この精神は私にも結構あるな」「わかる〜!」ってすごく共感できたり、ワンランク上の女性になるために必要なことを学べたり……そうそう、「時計」についてもちょっとだけ詳しくなりました!
というのも、上質な「ひとりの時間」を過ごすときには、常に通知が飛び込んでくるスマホじゃなくて、お気に入りの時計をパートナーにして過ごすのが良いというんです。それでコラムでは、素敵な時計をして、素敵な時間を過ごしている女性のエピソードがたくさん紹介されているんですね。
出てきた時計の中では、エルメスの「Hウォッチ」が一番かわいいなと思いました。カラフルで素敵な革のベルトで、しかも気分によってベルトを変えられるんですよ!
カルティエの「ベニュワール」や「タンクアメリカン」もかわいかったし……一番個性的で印象に残ったのはブルガリの「スネーク」ですね。これは蛇のモチーフで、風水的にも良いんだそうです。
シャネルの「J12」やロレックスの「デイトジャスト」は大人っぽいですよね。ロレックスは男の人のイメージがちょっとありますけど、エピソードに出てきた女性は敏腕女社長で、カッコいいな〜って。
読んだあとにネットで調べたりして、すごく素敵で欲しいなって思ったんですけど、やっぱり良い時計って結構高くて。でも、「時計は大切な時を刻むもの。素敵な針でカウントされる人生は、きっと素敵な時間になる」っていうメッセージにはグッときたので、いつか自分の力で、素敵な時計をパートナーに迎えられたらいいなと思います。
そして、お気に入りの場所で、お気に入りの時計をして、お気に入りの本をじっくり読んで、素敵な「ひとりの時間」を過ごしたい!
人生の道を開くために本当に必要なこと
さてさて、1年にわたって続けてきたこの読書コラム、実は今回で一区切りです。
時間術や読書術、習慣力、気くばりなどの定番ビジネス書や、体調管理やお酒の飲み方などの健康書、センスやブランディング力の磨き方、未来予測や成功の秘訣などの人生論まで……たくさんの本を紹介してきましたが、いかがでしたか? 気になる本はありましたか?
私自身、この連載を通していろいろな本に触れ、発信することですごく勉強になりました。みなさんにとっても素敵な本との出会いの場になっていたらいいなと思います。
ということで今回の格言は……「本当に必要なことはすべて『読書』が教えてくれる」!
これからもたくさんの本を読んで、たくさんの人に会って、たくさんのことに挑戦して、成長していきたいと思います。
なにせまだ”10時”なので、まだまだ道は開ける!
〈今回の格言〉「本当に必要なことはすべて『読書』が教えてくれる」
▼今回の書籍
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【取材協力】
東京ミステリーサーカス
<期間>
2019年4月17日(水)~ ほぼ毎日開催
<開催場所>
3F/リアル潜入スペース( 受付:2F )
〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-27-5 APMビル
JR新宿駅東口から徒歩7分
東京メトロ新宿三丁目駅から徒歩10分
<特設ページ>
https://mysterycircus.jp/realstealthgame-lupin/
Photo Coji Kanazawa
1990年生まれ。埼玉県出身。オフィスポケット所属。愛称は「ふみにゃん」。
日本大学芸術学部音楽学科サックス専攻卒業。2009年より雑誌グラビアを中心にデビューし、現在はタレント活動10年目に突入。ミス・ワールド・ジャパン2018審査員特別賞受賞。趣味・特技は麻雀、サックス、ピアノ、殺陣、ハイキック。最新DVD&Blu-ray「Golden Smile」好評発売中。オムニバス写真集「世界一えっちなハローワーク」(一迅社)が7月17日に発売。