「横浜」
この場所を思い浮かべただけで、溢れるように思い出が蘇ってくる。
そんな人は一人や二人ではないでしょう。
横浜はそのロマンチックなイメージからデートスポットとしても人気がありますが、定番がゆえに新鮮味がなくなってしまうことも。
そこで今回は、気象予報士の視点で横浜をフューチャー。
定番デートの鮮度が上がる、「横浜お天気雑学」=「ハマ天雑学」をご紹介します。
【みなとみらいエリア】
絶景だけじゃない!ランドマークの見所2つ
まずは定番の人気スポット「みなとみらい」エリアから。
数ある高層ビルの中でも一際目立っているのが、日本で2番目の高さを誇る「横浜ランドマークタワー」です。
①ただのオブジェじゃない!モクモク ワクワク ヨコハマ ヨーヨー
地上69階に位置する展望フロアからは日本屈指の絶景が見られますが、気象予報士的にオススメしたいのは、タワーのふもとにあるオブジェ。
作品名は「モクモク ワクワク ヨコハマ ヨーヨー」で、“もくもくたなびく雲”と“前途洋々の横浜”をダイナミックに表現した作品です。
ステンレスのくねくねとした見かけはジェットコースターをイメージさせますが、実際は地球を取り巻く大気の流れを表したもの。
作者の彫刻家・最上壽之氏は横浜の海からインスピレーションをうけたそうで、上昇気流によってできる雲の様子などが躍動感たっぷりに表現されています。
遠くからでも目を引くオブジェはアートとしての印象が強いですが、実は、ある重要な役割を果たしています。それは「ビル風の緩和」です。
高層ビルが立ち並ぶこの辺りはビル風がすごいため、”風を緩和するもの”というのが作品に求められた条件だったそう。
実際、設置するに当たっては風洞実験も行い、ビル風抑制効果が証明されています。
海が近く、高層ビルも多い横浜は風が強い所ですが、このオブジェの近くにいけば、スッとおさまるのを感じられるかもしれません。
②シンボルマークの「風に舞う旗」は二重の意味をもつ
そして、ランドマークタワーの中に入ったら、エントランスのシンボルマークに注目してみてください。
リボンのようなものがヒラヒラとたなびくデザインは、「風に舞う旗」をイメージしています。
旗は“やってくる人を歓迎し、一生懸命に何かをする人を応援するもの”。
このシンボルマークには「ランドマークタワーへようこそ」という歓迎の意味と、「ここに集まる人々を応援しよう」という2つの意味が込められているそうです。
ランドマークタワーの中にはショッピング施設やホテル、ホールなどがありますが、それぞれにシンボルマークがあって、色や本数で区別されています。
たとえば、展望フロア「スカイガーデン」のシンボルマークは、その名の通り、「空の色」をイメージした水色の旗がモチーフになっています。
洋上の風車・ハマウィングでわかる横浜の風
横浜デートに欠かせないものといえば、横浜港を眺める海景色です。
特に「臨港パーク」から見る景色は開放感抜群。
晴れた日には、芝生にゴロンと寝ころんでみるのもいいでしょう。
何も考えずにボーっと海を眺めるのも気持ちがいいですが、そこから見える風車にも目を向けてみてください。
横浜には「ハマウィング」という名の風力発電があります。
洋上にはその風車が立っていますが、風車は常に風に向かって正面を向くように制御されているんです。
つまり、ハマウィングの向きを見れば、横浜港の風向きを知ることができるということ。
同じ日であっても、風向きによって見える風車の姿は変化していきます。
具体的には、みなとみらいから風車を見たとき、風車が正面を向いていれば南西の風、背を向けていれば南東の風が吹いている時です。
■スポット情報
・横浜ランドマークタワー
横浜高速鉄道みなとみらい線「みなとみらい駅」より徒歩3分
・臨港パーク
横浜高速鉄道みなとみらい線「みなとみらい駅」より徒歩5分
【元町中華街・山下公園エリア】
肉まんで学ぶ雨のお話
みなとみらいと人気を二分しているのが山下公園。
休日にはカモメの鳴き声を聞きながら、ベンチでゆっくりする人たちが多く見られます。
公園へは近くの中華街で肉まんをテイクアウトして行くのもオススメですが、そこで披露したいのが雨粒の知識です。
雨粒の形は一般的に球型やしずく型をイメージしますが、実は肉まん型をしています。
水滴は表面張力で球体になりますが、雨粒が落下するときには空気抵抗を受けるため、底が少し潰れたような形に。
まさに、肉まんのような形で雨粒は地上に降ってきているわけです。
横並びで座る公園のベンチは距離が近く緊張しますが、空から肉まんが降ってくることを想像すれば、少しはリラックスできるかもしれません。
■スポット情報
・山下公園
横浜高速鉄道みなとみらい線「元町中華街駅」より徒歩3分
※おすすめグルメスポットは、ホテルニューグランドの「ザ・カフェ」。
ここはナポリタンやドリア、プリンアラモード発祥のお店です。
【馬車道・万国橋エリア】
定番の夜景は魔法の時間に!ブルーモーメント水面夜景
横浜デートの鉄板といえば、宝石のように輝く夜景です。
写真映え抜群の横浜夜景はどこを切り取っても絵になる美しさがありますが、気象予報士としてオススメしたいのは「ブルーモーメント水面夜景」です。
“ブルーモーメント”とは、夜明け前と夕焼けの後のわずかな隙に訪れる、辺り一面が青い光に照らされてみえる現象。
空一面が瑠璃色のような青に包まれる様子はとても幻想的ですが、見られる時間は10分程度。しかも、条件が揃った日だけに出会える魔法のような時間です。
中でも夕焼け後にみられるブルーモーメントは、ちょうどビル群の照明が灯るタイミングと重なるので、夜景と一緒に楽しむことができます。
そんな希少な景色を楽しむなら、「万国橋」から眺めてみてください。
万国橋はドラマや映画のロケ地としても有名ですが、ここは運河に映る逆さ夜景も見どころの一つ。
条件が揃えば、ブルーモーメントと横浜夜景、そして、運河に映り込んだ水面夜景を同時に見ることができるんです。
ブルーモーメント水面夜景が見られるのは、晴れて空気が澄んだ風の穏やかな日。風が強いと水面が揺れて夜景がきれいに映りこまないので、風が弱い日がいいでしょう。
■スポット情報
・万国橋
横浜高速鉄道みなとみらい線「馬車道駅」より徒歩4分。
※おすすめグルメスポットは「カフェ オムニバス」。
歴史的文化のある横浜らしさ満載のカフェ。
クラシカルな外観と天井が高く教会にいるような店内は長居覚悟の心地よさです。
【桜木町・野毛エリア】
ほろ酔い気分で渡れる“虹の橋”ホロライト・レインボウ
横浜には、夜になると虹がかかる珍しい場所があります。
そこは雨上がりでなくても見ることができますが、虹がかかるのは空ではなく、地面。 しかも、昼には見ることができない夜限定の虹です。
桜木町駅からすぐの所にある野毛というエリアでは、夜になると、地面に虹色の弧が描かれるようになります。
これは「ホロライト・レインボウ」と呼ばれるLED照明装置によって、アーチ状の虹色光が地面に映し出されたもの。
通りを歩いていけば、至るところに虹の橋を見つけることができます。
野毛は飲み屋街としても賑わうエリアですが、その一方で、道が寂しいというイメージもあったため、この虹の街灯を始めたんだそう。
野毛で美味しいお酒を飲んだ後は、ほろ酔い気分で虹の橋を渡りませんか?
■スポット情報
・野毛エリア
JR京浜東北・根岸線/横浜市営地下鉄ブルーライン「桜木町駅」より徒歩3分。
行くたびに“好き”が増えていく!新たな横浜の魅力を発見しよう
横浜には、行くたびに“好き”が増えていく不思議な魅力があります。
一度そこでの時間を過ごしたら誰もが好きになってしまう、どうしようもなく惹かれてしまうのが横浜という街です。
時が経っても色褪せない引力があるので、仕事の都合で全国を転々としても、やっぱり横浜がいい!と戻ってくる人は少なくありません。
今年は横浜開港160周年のメモリアルイヤー。
はじめての人も、そうでない人も、ハマ天雑学で一味違った楽しみ方をしてみてください。