みなさんは、夏休みの宿題をどのタイミングで行っていましたか?
30日間前後も休みがあるにもかかわらず、ついつい後回しにしてしまい、夏休み終了ギリギリで終わる─という人も多かったのではないでしょうか。
なぜ、人はギリギリまで動こうとしないのか?
イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンは著作『パーキンソンの法則:進歩の追求』の中で、『パーキンソンの法則』を提唱しています。
第1法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
ざっくり説明すると、先の夏休みの宿題のように、「本当は3日で終わる課題も、長い期間で設定してしまうと、ギリギリまでかかってしまう」ことを指しています。
人間は締め切りやデッドラインがあることで、かえって〝期限内に終えればいいや〟と、いつまで経ってもやろうとしません。人は元来、できるだけ楽をしたい生き物ですから。
ちなみに、パーキンソンは、イギリスの官僚制における役人の状況を観察し、この法則を導き出しています。官僚になるくらい、とても優秀な人たち─にもかかわらず、ギリギリまでやらないわけですから、多くの人が「まだ猶予があるし」と動き出さないのも納得でしょう。
余裕があるとだらだらしてしまう
実際に、パーキンソンの法則について、米国研究所のブライアンとロックらが実証実験を行っているのですが、とても興味深いものです。
被験者たちが、ある作業を行うにあたって、
①2倍の時間を与える場合
②最小限の時間を与える場合
③自分のペースで行う場合
④できるだけ早く遂行するように指示された場合
①〜④の条件を付けて、それぞれ調べてみたところ、①のように長い時間を与えるケースほど、ゆっくりと作業するようになったそうです。余裕があると、人間は無意識にダラダラとしてしまうというわけです。
こうした先延ばしグセを解消するためにも、課題に対する懸念事項を因数分解してみたり、「宿題を終わらせる」という大きな目標から、「〇日までにこの部分は終わらせる」と小さな目標を設定したりすることが大事です。
自己管理というのは、自分が思っている以上に難しいものです。体調にしろ、スケジュールにしろ、自分が想定していた方向とは、違う方向に向かうこともあるでしょう。
何度も繰り返しますが、うまくいかないのは、あなたの意志が弱いわけでも、だらしないわけでもありません。自責の念にかられるよりも、脳の仕組みや習性を理解すれば、小さなところから変わっていくはずです。
世界最先端の研究が導き出した、「すぐやる」超習慣(著:堀田秀吾)より
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