野球、サッカーなどのプロスポーツの試合で、プレッシャーのかかる重要な局面で誰かがミスをし、その1つのエラーがきっかけとなって、次々とエラーが重なっていく場面を見たことがありませんか?
普段は難なく処理できるボールを失い、それが相手のチャンスにつながり、チーム全体が浮足立ち、ミスが連鎖する……。
あれは、自律神経の乱れが伝染しているのです。これは逆に言うと、自律神経が安定することによる安心感も伝播していくということです。
怒りの感情によってもたらされた自律神経の乱れも伝播します。怒鳴っている方は、その時点で乱れていて、怒鳴られた側は落ち着きを失い、どうやってリカバリーすればいいかと焦ってしまいます。
ミスが生じた時、立場のある側が落ち着いて対応しているのを見ると、周囲も心が落ち着きます。それは自律神経の安定となって、全体のパフォーマンスの向上につながるのです。
ゆっくり話すことのメリット

ゆっくり話すと、自然と呼吸がゆっくりになります。
ゆっくりとした深い呼吸は副交感神経の働きを高めてくれるので、自律神経のバランスが整うのです。すると、細胞のすみずみまでいい血液が流れるようになり、頭と体がいきいきとよみがえり、パフォーマンスが上がります。さらに、ゆっくり話すことには、コミュニケーション上、次のようなメリットがあります。
・ポイントを簡潔に述べられるようになり、話がわかりやすくなる |
反対に、早口な言い方では、呼吸をきちんとすることができません。
浅く速い呼吸は、交感神経の働きを高め、それが長く続くと血管が収縮、血流が悪くなり、パフォーマンスが下がってしまいます。その上、話を聞いている相手の副交感神経まで下げてしまうのです。
あなたが早口でまくしたてると、関わる人たちのパフォーマンスを下げることになります。それは結果的にチームの一員であるあなたにとっても、デメリットでしかありません。
今日からでも相手の意見に耳を傾け、頭の中で噛み砕き、じっくり考え、自分が話すべき内容を整理し、最小限のポイントにまで絞り込み、ゆっくり話し始めるよう心がけましょう。
いい自律神経の状態は周りにも伝播しますから、ゆっくり話すあなたの言葉を聞いている相手の心も、どんどん落ち着いてきます。そして、ゆっくり話すあなたの言葉は、説得力をもって、相手に浸透していくのです。すると、立場を超えた温かみのあるつながりを結べるようになるはずです。
『小林教授の肩の力を抜くとすべてよくなる 』(著:小林弘幸)より
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