面白いことに、「こうなるかもしれない」と思って行動すると、その通りになってしまうことがあります。これは、コロンビア大学のマートンが提唱した「自己成就予言」という現象です。
つまり、「やる気が出ない」と口にすると、その通り後回しになってしまいやすいのです。
「あとでやろうはバカヤロウ」という言葉があります。今やらないことは、ずるずると先延ばしになり、結局やらないまま終わってしまうことも珍しくありません。何より大切なのは、一にも二にも動き出すことです。
ところが、作業や家事を始めようとしても、「面倒くさいなぁ」と感じてスマホをいじったり、テレビや動画を見続けたりしてしまう……。これは人間の本能でもあり、ついダラダラしてしまうものです。
そんなときに、「あとでやろうはバカヤロウ」と自分に言い聞かせるルールを決めてみてはいかがでしょう。自分をいい方向に導くための“マジックワード”を用意しておくことで、意識のチャンネルを切り替えやすくなります。
もしルールがなければ、「面倒くさい」という気持ちに流されるだけです。しかし、「あ、あとでやろうはバカヤロウだ」と自分を鼓舞する言葉を持ち、さらに「作業を進めたらチョコを一つ食べる」「終わったらドラマを一話見る」といったご褒美を設定すると、動き出すきっかけがつくりやすくなります。
「言った手前、引くに引けない」という状況をつくる

また、日頃から口にしていると、誰かに頼みごとをされたときに「後でやっておきますね」と言おうものなら、「『あとでやろうはバカヤロウ』じゃないんですか?」と突っ込まれてしまいます。そう言われたら、もうすぐにやらざるを得ませんよね。実は、これも行動を促す効果的なアプローチなのです。
こうした公言は心理学で「パブリック・コミットメント」と呼ばれ、実証研究による裏付けもあります。
人はある決意を公にすると、自分にも他者にも圧力がかかり、そのコミットメントからブレないよう一貫した行動を取る傾向があります。これは「一貫性バイアス」とも呼ばれ、「言った手前、引くに引けない」という状況も、この心理が働いている例です。
つまり、「一貫性バイアス」によって、公言することで推進力が生まれます。何かを始めるときにあえて人に伝え、自分に強制力を与えるルールを決めれば、重い腰がぐっと軽くなるのです。
やる気が出ないときは、やらない理由を考えるのではなく、「あとでやろうはバカヤロウ」と自分に言い聞かせる。あるいは「5秒だけやる」「25分作業して5分休む」といったルーティンをつくる。
こうして、自分が動き出すためのマイルールを決めて公言しておくと、行動にブレーキがかかりにくくなります。
世界最先端の研究が導き出した、「すぐやる」超習慣(著:堀田秀吾)より
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