想像してみてください。なぜ、ついソファでダラダラしてしまうのでしょうか?
それは「ソファがあるから」です。
もしソファがなければ、少なくともソファでダラダラすることはありませんよね(その代わり、ベッドでダラダラしてしまう人もいるかもしれませんが)。
人間の意思決定は、環境に大きく左右されます。
あるファーストフード店では、意図的に硬く座り心地の悪いイスを採用しているといいます。その理由は、「居心地が良いと、客が長居してしまうから」です。
回転率を重視する店舗にとって、長居する客は歓迎されません。だからこそ、長く居づらい環境にしているのです。
また、「家庭ごみの持ち込み禁止 監視カメラ作動中」といった張り紙を設置するだけで、家庭ごみの持ち込みが激減したという事例もあります。
車を運転していてお腹が空いたとき、なんとなく「入りやすい」飲食店を選んでしまった経験はありませんか?
また、高い月謝を払っているからこそ、「元を取ろう」と英会話やジムに通おうと思ったことはないでしょうか?
このように、私たちの意思決定は、想像以上に環境に「妥協」する形で行われています。
私たちは環境によって意思決定させられている!?

ドイツの心理学者クルト・レヴィンが提唱した「場の理論」があります。
これは、「人間の行動は、その人自身と、置かれた環境との相互作用によって決まる」という考え方です。20世紀の心理学に大きな影響を与えた理論でもあります。
たとえば、いくらダイエットを頑張ろうと思っても、ついつい食べすぎてしまう人がいますよね。
そうした人も、お皿を小さなものに変えるだけで、自然と食べる量を減らすことができます。つまり「お皿」という環境を変えるだけで行動が変わるのです。
実際、コーネル大学のブライアン・ワンシンク氏と、フローニンゲン大学のファン・イタラサム氏の実験では、12インチ(約30cm)のお皿を10インチ(約25cm)に替えるだけで、食べる量が22%も減少したという結果が出ています。
もはや私たちは、環境によって「意思決定させられている」と言ってもいいかもしれません。極端な例ですが、ダラダラする癖を断ち切るため、ソファを捨ててしまう、というのもひとつの手なのかもしれません。
もしゲームやSNSをついやりすぎてしまい、その結果として仕事の「やる気」が出ないのなら、ゲーム機やスマホに物理的に触れられない環境をつくってみましょう。
机に向かうこと自体が気乗りしないのであれば、有料の自習室を借りたり、お気に入りのカフェに仕事道具と財布だけを持って行ったりするのもおすすめです。
ソファを捨てるような「ショック療法」は人を選ぶかもしれませんが、自分にできる範囲から始めてみれば十分です。
環境を変えたり、少し工夫を加えたりするだけで、「すぐやる」自分に近づけるのです。
世界最先端の研究が導き出した、「すぐやる」超習慣(著:堀田秀吾)より
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