「自分を変える習慣力」(著:三浦将)より
早起きの習慣で毎日を快適に!
良い睡眠を取っている人は、情緒が安定していて、病気も少なく、体調や肌の調子なども良好であると言われています。睡眠の習慣をより良い方向にしていくことによって、人生のさまざまな面における改善効果を生みます。
早起きの習慣は、数ある習慣の中でもやはり王様クラス。
早起きを習慣化することによって、毎日を快適にスタートすることができ、日々その全体が充実することにつながります。
Apple の CEO ティム・クックやスターバックスの CEO ハワード・シュルツ、そしてディズニーの CEO ロバート・アイガーら、世界に影響を与えるようなスーパービジネスマンたちは午前 4 時台に起床します。早朝の1時間は日中の2時間の価値があると言われています。
仮に5時から7時の2時間を、仕事や創作活動に使ったとしたら、1年で、2時間× 365 = 730 時間の時間を有効に使っていることになります。これを日中のクオリティに置き換えたとすると、実に 1,460 時間という膨大な時間を得ることになります。
CEO たちのように、日中において分刻みの仕事をしている人たちにとって、この朝の時間は、運動をしたり、ゆっくりと自分と向き合ったり、考えを整理したり、アイデアを生みだしたりするのに、なくてはならない時間なのでしょう。
ちなみに、スキルをある程度使いこなせるレベルまでに必要な時間は、パソコンで 60 時間、英会話で 1,000 時間と言われています。英語があまり話せない人も、仮に、この朝の時間を 1 年間英会話に費やせば、それは 1,000 時間近い価値になり、1 年後にはビジネスでも十分に通じるレベルになるということです。
「自分を変える習慣力」の著者、三浦将さんは、30 歳くらいまで英語が全く話せませんでした。TOEIC で言えば、何と 400 点台でした。留学をするという必要と時間に迫られて、早朝の時間を中心に使って、3 ヶ月集中的に英語に取り組んだところ、900 点レベルまでジャンプアップしたという経験があります。
英語を使ってぜひとも達成したい目的のある人は、早朝の時間を使って、毎日粛々と英語に取り組めば、数か月後には相当なレベルまで到達する可能性があります。最近は、オンライン英会話という便利なものもあるので、毎日取り組むという意味でもおすすめです。
太陽の光を浴びて効率アップ
早起きをして太陽を浴びると、早く寝るというパターンを作りやすくなります。
早起きして、太陽を浴びると、メラトニンというホルモンが脳内に分泌されます。メラトニンは眠たくなるホルモンです。不思議なことに、メラトニンは、日光を浴びてから約 15 時間後に分泌されるという性質を持ちます。仮に朝 5 時に起きて、日光を浴びたとしたら、15 時間後の 20 時に眠気を感じるようにできています。
この時間に眠気のシグナルを体が送ってくれば、自然と床に着く時間も早くなり、より早起きの習慣化に向かいやすくなるというわけです。(メラトニンが分泌されるのが 15 時間後ということは、やはり 8 時間から 9 時間が、人間にとって 1 つの自然な睡眠時間ということなのかもしれません。)
20 時以降の仕事は、酔っぱらって仕事をしているぐらいのレベルという説があります。その効率は、午前中の効率の数分の一。よほど必要に迫られない限り、こんな効率のよくない時間に仕事をするのは避けて、朝にシフトするパターンをつくることをおすすめします。
また、あなたがもし人を雇っている経営者だったら、20 時以降にたくさんの社員が働いている状態は考えものです(飲食など、この時間帯が最も稼ぎ時の業種は別です)。まして、至極効率の悪いこの時間帯の労働に対して、残業手当を払うのは、企業の原理である投資vs. リターンの観点でも、秀逸な経営状態とは言えないのではないでしょうか。
また、女性の方はよくご存じのように、肌の再生を促す成長ホルモンが分泌されるのは、夜の 22 時から 2 時くらいと言われています。この時間帯に熟睡することは、肌の再生がしっかりと促進されて、活き活きとしたお肌を保つには最適です。このことも早く寝るため、早く起きるための動機になるのではないでしょうか。
二度寝を防ぎ睡眠の基本的な習慣を身につけましょう
二度寝は、時間的にとても非効率です。それに、二度寝で1日が始まると、この締まらないノリが1日中続いてしまいます。せっかくの休日がダラダラと進み、ちゃんと楽しんだのかどうかもわからない1日になりがちです。おそらく、成功者に二度寝をしている人は、あまりいないでしょう。
最適の睡眠時間については、諸説がありますが、その人に合った睡眠時間を見つけることが大切。ナポレオンや元英国首相のマーガレット・サッチャーが 3 時間しか寝なかったという逸話がありますが、アインシュタインなどは、10 時間以上寝ていたそうです。また、イチロー選手が1日 8 時間寝ることは有名な話ですし、作家の村上龍さんなども、8 時間以上は寝ているそうです。短い睡眠時間=できる人、といった根拠のない話に振り回されないことが肝心ですね。
睡眠は、大脳の機能が活発化しているレム睡眠と、休止しているノンレム睡眠によって構成されています。この 2 つを繰り返すパターンですが、その 1 セットが約 90 分と言われています。
眠りが浅いレム睡眠のときに起きると目覚めがいいので、そこに合わせて睡眠時間を設定ようにするといいでしょう。逆に、眠りの深いノンレム睡眠の時に目覚ましが鳴ると、起きるのがつらい状況になり、二度寝の原因ともなります。
基準としては、この 1 セットである 90 分の倍数、3 時間、4 時間30 分、6 時間、7 時間 30 分、9 時間などです。これらの睡眠時間を試して、自分にとって最も目覚めのよい時間を日々の睡眠時間として設定するのが良いと思います。スッキリと目覚めが良い朝を迎えれば、二度寝などしていられなくなります。
ただ、一定の睡眠時間も大切ですが、起きる時間が一定であることは、生活のリズムをつくる上において、さらに大事です。そのためにも、できるだけ寝る時間を同じ時間に保つようにしましょう。たまたまパターンが狂う日があっても、誤差は 1 時間以内に抑えることが大切です。いつも 12 時に寝て、6 時に起きる 6 時間睡眠を取っている人が、たまたま深夜2時に寝ることになってしまった日があれば、目覚ましは、90 分の倍数の 4 時間 30 分の睡眠が取れる6 時 30 分にセットするのがよいと思います。
習慣が付いてきたら、寝際にネットサーフィンとかに時間を取られることなく、この 90 分の倍数のセットを守りながら、生活のリズムを作っていくことができるようになります。
休日の日は、ついつい普段より遅くまで寝ていたい気持ちになりますが、二度寝をせず、いつもと同じ時間に起きるようにすれば、人生全体が引き締まる、というくらいの気持ちでもって習慣付けしていくと、その後のポジティブな連鎖や波及効果も起こりやすくなります。
さらには、目が覚めたら、すぐにカーテンを開けて、太陽の光をしっかり浴びることもぜひ習慣にしてください。太陽の光を浴びながら散歩などをすれば最高です。
これはあなたにとって最適な睡眠時間で、毎日しっかりとした休養やリズムを作っていく習慣、睡眠においての基本中の基本の習慣なのです。
仮眠の習慣で「ひらめき」のアイデアを
南ヨーロッパでは、シエスタという仮眠の習慣が昔からあります。これは何もラテン系の人たちが、自由気ままな気質だからやっている習慣ではなく、ちゃんとした理に適ったものです。
3 時間しか寝ていなかったと言われているナポレオンやサッチャーも、移動の時間などを利用して、15 分ほどの仮眠を繰り返していたそうです。シエスタは、実はカーテンなども閉めて、部屋を暗くし、ベッドの上で寝るというかなり本格的なものです。しかし、そこまでやらなくても、気軽に仮眠を取る習慣を身に付けていくことはできるでしょう。
お昼ご飯を食べた後、眠気を感じる人はたくさんいるのではないでしょうか?これは、食事後、血液が胃袋に総動員されるということもありますが、サーカセミディアンリズムという、半日の周期でやってくる人間にとってごく自然な眠気のリズムが主要因です。それにより、午後からの仕事の効率がグッと落ちる実感を持っている方は多いと思います。そんな中、15 分~ 20 分ほどの仮眠を取ることで、午後の仕事の効率が 60%以上も上がることがわかっています。
午後の仕事の効率が上がることによって、仕事のクオリティも上がり、残業時間も減り、退社後のプライベートの充実も図ることができます。また、経理など、デスクワークの多い人にとっては、眠気によるケアレスミスを防ぐ効果も見逃せません。
もし、「自分を変える習慣力」の著者、三浦将さんが多くの社員を抱える会社の社長だったら、仮眠のシステムを会社に取り入れるでしょう。その効果とメリットを実感として感じているからです。
「自分を変える習慣力」の著者、三浦将さんが昔働いていたリーバイスという会社のサンフランシスコ本社には、広い仮眠室がありました。今では、アメリカ西海岸を中心に、多くの会社が仮眠室を設けたり、仮眠を奨励したりしています。仮眠を取ることの価値は、最近では日本のビジネス界にも認知が広まりつつありますが、実際に仮眠をしている人はまだまだ少数派なのではないでしょうか。また、寝ている間、脳内で情報を処理する高度な機能が働きます。
仕事でアイデアを創出したいときなどは、仮眠の前にその仕事にまつわる情報をおさらいして、仮眠に入ると、起きたときにアイデアとなって表れることもあります。
これは、ジェームス・W・ヤングというある広告会社の役員によって、50 年以上も前に書かれた名著『アイデアのつくり方』に載っているやり方の応用で、潜在意識の力を駆使した優れたアイデア創出方法です。
潜在意識によって、脳がスーパーコンピューターのような働きをして、寝ている間にもの凄い速度の情報分析を行い、最良の結論をアイデアとして出してくれるのです。世にいう「ひらめき」というのは、こうして起こるのです。シリコンバレーを中心に、アメリカの先端企業では、仮眠を実際にアイデアの創出のために活用しています。
さて、仮眠は 30 分以内にとどめましょう。それ以上取ると、夜に寝られない状態になってしまう可能性があるからです。横になってしまうより、ソファーや車のシートをリクライニングさせて眠るほうが、目覚めやすくなります。
脳が処理する情報の 8 割が視覚情報と言われています。あまり眠れないという方は、目を閉じて視覚情報をシャットアウトし、数分間リラックスしているだけでも、脳を休ませる効果が上がります。
仮眠システムを取り入れて仕事の効率アップ
会社に勤められている方にとって、仕事中にオフィスなどで仮眠を取るということには、まだまだ罪悪感的を感じてしまうかもしれません。
一方、仮眠の習慣には、あなたの仕事の効率の格段のアップなど、多くのメリットがあります。
「効果が高いのだから、みんながやらないのなら、かえってチャンスだ」くらいに考えて、堂々と自分から始めて、まわりにもすすめたりするのがいいでしょう。
仮眠のしやすい椅子や仮眠グッズなども、世の中に多く出回るようになってきたので、これらをチェックしてみるのもよいと思いますよ。
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