「自分を変える習慣力」(著:三浦将)より
コミュニケーションで大切な”承認する習慣”とは?
これからお話しすることは、コミュニケーションの基本中の基本のことでもあります。そもそも基本とは、最も大切なことを凝縮させたもの。だから、これからお伝えすることは、コミュニケーションで最も大切なことと言えるかもしれません。
それは、相手を承認する習慣です。
基本中の基本なだけに、それだけ奥深いのが、この承認という習慣。そして、できている人と、できていない人がハッキリわかれるのも、この習慣です。このことだけで、本が数冊書けてしまうくらいのテーマでもあります。
「自分を変える習慣力」の著者、三浦将さんがサラリーマン時代、部下のみんなに対し、この承認の習慣を持って接することができなかった痛い思い出があるそうです。
1人1人を承認もせず、上司であるというポジションのパワーだけで、チームをマネジメントしようとしていた典型的な勘違いタイプでした。そのため、相互信頼が構築できず、チームのやる気が欠乏した状態が続いたそうです。
逆に、上司が承認の習慣をしっかり持っていれば、相互信頼を深めることができるだけでなく、部下の潜在力を引き出し、チームとしてのダイナミクスを発揮することもできるのです。
承認とは、相手を認めること。
相手の行動、相手が残した成果、相手の能力、相手の価値観、そして相手の存在そのものを認める。
信頼関係はコミュニケーションの積み重ねが大切ですよ!
承認について、まず大事なことは、相手をしっかりと観察すること。
あなたが上司であれば、部下のことを日頃からしっかりと見ていてあげること。
部下の言動、部下の行動、部下が上げている成果、まわりの人が受けている印象などなど。そして、しっかりと観察していると、気付くことが出てきます。その中で、部下に伝えたいと感じることを伝える。
伝えるときは、ちゃんと事実を伝えること。これが、承認するためのプロセスです。
これは、子育てや夫婦の関係など、その他すべての人間関係についても同じです。
上司が日頃から部下をしっかりと意識して見ていると、例えばこんな承認のコメントが自然に出てくるようになります。
「お得意への提案を勢力的に取り組んでいるね」
「提案のときの資料の作り方に工夫をしているね」
「君の諦めない姿勢を見ていると、こちらも刺激されるね」
「君がまわりをフォローしてくれて、とても助けられているよ」
このような、ちょっとした承認の言葉をかけることで、「自分のことをしっかりと見てくれている」という気持ちが相手の中に起こり、こうしたコミュニケーションの積み重ねが、お互いの信頼関係を築いていきます。
そのためには、部下のことを日頃から「しっかりと見ている」ことが何よりも大切です。
“承認”と”褒める”の違いとは?
一方、承認は、褒めることとは異なります。褒めることには評価が伴うからです。つまり、“ 良い悪い ” の概念が入るのです。このように評価が入ることにより、有効な場合とそうでない場合が生まれます。
特にできる部下の場合は、相手をコントロールする意図を持って褒めたりすると、逆に信頼を失う結果になったりします。できる人は、自分が褒めて欲しいポイントがピンポイントなので、ここを外した褒め方をすると、「そこじゃないんだよな。まったくわかってないよな」というような結果になったりするのです。
承認がちゃんとできるかどうかは、スキルの問題ではなく、承認したいポイントはどこか?を探し続ける心の持ち方がキーになります。
しっかりと観察して、相手に伝えたいことが自然に出てきたら、事実を伝える、これだけのことがちゃんとできればいいのです。
もしあなたに、関係性を高めたい部下がいるとしたら、最初は、意識してこの承認プロセスをやり続けてみてください。毎日少しずつでもいいです。やがて、意識せずとも承認の言葉を相手にかけている自分に気が付くはずです。
“承認”に関連している2つの習慣とは?
①メールにすぐに答える習慣
組織で仕事をしていると、毎日山のようなメールを受け取ります。中には、お得意様からのメールや重要度の高いメールもあることでしょう。そんな中、部下のみなさんからのメールに対してどう対処しているでしょうか? どうしても遅れ気味になるという方もいると思います。
そんな方におすすめなのが、メールにすぐに答えるという習慣です。
しっかりとした返事を送る必要はありません。「とにかくメールを受け取った、ちゃんとした返事は後程あらためてする」というメッセージを返すだけでいいのです。
これだけで、相手はあなたにメールの内容が伝わっているということを確認でき、安心するのに加えて、いつもちゃんと受け取ってくれている、いつも気にかけてくれているという信頼感が増します。
②やっていることを止め、話を聴く姿勢を取る習慣
もう 1 つは、部下が、報告や連絡や相談に来た時に、やっていることをいったん止め、話を聴く姿勢を取る習慣です。
よくあるのが、せっかく部下が相談のために上司のデスクに来ているのに、PC の画面を見つめながらとか、書類を読みながら対応してしまうようなケースです。忙しいのはわかりますが、これをやると、相手は「私の話より、この PC の作業の方が大事なんだ」と感じてしまいます。これでは、相手への承認感がまったくありません。
特に女性の方はマルチタスクに向いている性質なので、こういうことをやりがちな傾向があります。
本人は、部下の話をしっかり聴いているつもりでも、部下は、「きちんと話を聞いてくれないんだな」と思ってしまいます。
部下が自分のところに来たら、やっていることをいったん止め、少し身を乗り出しながら、「話をちゃんと聴くよ」という態度と姿勢を見せる。そして、しっかりと傾聴してあげることで、部下の気持ちの中の承認感が高まり、信頼感のある人間関係が築かれていきます。
そして、どうしても忙しくて、対応できないときは、「報告ありがとう。ごめん、今は話ができないので、〇〇分後にまた来てくれる?」とハッキリ伝えればいいのです。
信頼感を増すには”承認プロセス”が大切ですよ
いかがでしたでしょうか?
人間関係を築くには、相手をよく観察し、事実をきちんと伝えることが大切です。
一度あなたと相手の信頼関係を見直してみてはいかがでしょう。
毎日少しずつでもいいんです!
相手に承認の言葉をかけ、コミュニケーションを積み重ねることが大切なのです。
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