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「また失敗してしまうかも」という不安を和らげる方法

何か行動をしようとしたときに、前に失敗した経験があると「また、うまくいかないかも……」と考えてしまうこともありますよね。しかし、失敗の捉え方次第で、次の行動を「すぐやる」に変えられるのです。

ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学の行動経済学者、ダニエル・カーネマンは、「ピーク・エンドの法則」という法則を発表しています。これは、私たちはある過去の経験を、ピーク時にどうだったかと、どう終わったか(エンド)によって判断する、というものです。その証明として、被験者を2つのグループにわけ、大音量の不快な騒音を聞かせるという実験を行っています。

Aグループにはずっと同じ騒音を、Bグループには時折Aグループよりもひどい音が混じる一定ではない騒音で、最後は少しましな音になる─という内容だったのですが、Bグループのほうが、Aグループよりも不快さの評価が低かったのです。つまり、「ひどい音を聞かされた(ピーク)ものの、それほどではなくなった(エンド)」という記憶が、不快感を和らげる形になったのです。

また、心理学用語で「新近効果」というものがあります。これは「最後に示された特性が記憶(印象)に残りやすく、のちの判断に大きな影響を与える」というものです。

非常に有名な効果なので、実証研究は枚挙にいとまがありませんが、たとえば、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のコスタビルとクラインによる実験では、のべ500人以上の被験者に対し、模擬裁判を行うという実験を4種類行っています。その中で証言の与え方によって陪審員の判断がどう変わるのかを検証しました。

その結果、特に有罪の方向性を示す証拠については、後のほうに提示された情報に大きく影響されるということがわかったのです。

出来事のプラスになったことを認知する

 

わかりやすい例でいえば、通販番組もそうでしょう。「〇〇がすごい!」、「〇〇も付いてくる!」といい情報ばかり伝えられた挙げ句、最後に「〇〇円です!」と値段が想像以上に高いと、一気に購買意欲が下がってしまうのは、「新近効果」が悪い方向に転んだケース。コンテストなどで最後に登場する人が有利になるのは、「新近効果」がいい方向に転んだケース。

物事(出来事)をいい思い出や結果として解釈するには、最後の出来事を楽しかった、よかったと思えるエピソードと一緒に覚えてしまえばいいのです。「終わりよければすべてよし」という言葉は、『自分のいいように記憶をコントロールすれば幸せ体質にもなれる』ということを教えてくれているのかもしれません。

だからといって、無理をしてポジティブになる必要はありません。もともとネガティブな人にポジティブという言葉は、それだけで重く感じてしまう人も少なくないからです。ただ、悪い方向に考えるのは控えてください。過度に健康を意識すると不健康になる─ではないですが、ポジティブに考えるとかえってネガティブになるという「バックファイヤー効果」があることも知られています。

ですから、ライトに今日得たもの、ここ最近得たもの、期間や質に関係なくプラスになったことを考えるルールやルーティンをつくることが大切です。その積み重ねが、「すぐやる」につながります。

 失ったものを数えるのではなく、得たものを数えるだけでも大丈夫。マイナスになったものではなく、プラスになったものを認知することが、いい栄養分になります。

 

世界最先端の研究が導き出した、「すぐやる」超習慣(著:堀田秀吾)より

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