自分に期待したり、自分のしたことを反省したり、といったこともやる気に影響します。では、どうしたらやる気を上げられるのでしょうか?
Q自分に期待する、期待しない
やる気が上がるのはどっち?
→期待値を下げると、やる気は下がらないが、チャンスを逃す。
「自分に期待する」のは自信のある人、「自分に期待しない」のは自信のない人と言い換えることができます。では、その自信の根拠はどこにあるのでしょうか?
脳は物事に取り組むか、組まないかを判断する際に、過去の経験を参考にします。
例えばあなたが仕事中に「いいアイデア」を思いついたとしましょう。そのアイデアを上司に伝えるか、伝えないかの選択をするとき、あなたの脳は過去の経験を思い出します。
以前、似たような状況で「伝える」という行動に出た結果、上司から褒められ、アイデアが実現に向かって動き出した経験があれば、伝えた未来は明るいイメージになります。
だから「今回もうまくいく」と予測し、「伝える」という行動を選びやすくなります。
一方、以前の経験が「上司の冷淡な反応」や「アイデアの否定」といったネガティブな結果に終わっていると、伝えた未来は暗いイメージにつながります。すると、「どうせ、今回もうまくいかない」と予測し、「伝えない」という行動を選択しやすくなるわけです。
「どうせうまくいかない」と自分への期待値を下げることは、ストレスを減らし、やる気を下げにくくする効果が期待できます。しかし、チャンスが訪れても「どうせうまくいかない」と考えて挑戦しなければ、成長する機会はどんどん奪われていきます。きっと変化の乏しい退屈な人生になってしまうことでしょう。
人生は一度きりです。「どうせうまくいかない」と予防線を張って生きるのもいいですが、思い切って挑戦してみたら、予想に反してうまくいくこともあるはずです。脳はサプライズの喜びを歓迎し、自信を得た記憶として脳裏に深く刻まれるでしょう。
そうなれば冒頭で説明したように、「次もうまくいく」と考えられるようになり、自分への期待も高まるのではないでしょうか。
Q反省する、反省しない
やる気が上がるのはどっち?
→反省は過去ではなく未来に向けて行うと、やる気が上がる!
「あのとき、こうしておけばよかった……」と過去に目を向け、反省ばかりしていると、当然やる気は下がってしまいます。しかし、やる気が上がる反省の仕方もあります。
「こうしておけばよかった」と過去を悔やむのではなく、「次はこうしよう!」と未来に意識を向けると、やる気は上がります。やる気は、気持ちが未来に向いたときに湧き上がるものなのです。
例えば、営業中にこちらの要望を話しすぎて、相手の心のシャッターが降りてしまったとしましょう。そこで、「失敗した……」「話しすぎた」「怒らせてしまった」と反省し、後悔していたらどうなるでしょうか。次に営業をするときも、「また話しすぎてしまうかもしれない」と考えてしまうため、成功へのイメージが湧かず、気持ちは前に向かないでしょう。
過去を悔やんでいても、気持ちが後ろ向きになるだけなので、「次はどうするか」と未来に向けて頭を切り替えることが大切です。
先ほどの例でいえば、「一方的に話しすぎたこと」「こちらの要望を押しつけたこと」が敗因であると認識した上で、次回は「聞き役に徹する」「相手が興味を示すまで資料を出さない」など、確実に実行できて効果も期待できる行動を具体的にイメージすればいいのです。
反省は過去ではなく未来に向けて行わないと、モチベーションが下がるだけなので注意が必要です。
『自分のやる気が上がるのはどっち?』(著:田中伸明)より
『自分のやる気が上がるのはどっち?』 (クロスメディア・パブリッシング) |