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ストレスから解放されるためのスキル「アサーション」とは?

『明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術』(著:渡部卓)より

感情と行動の不一致がストレスの元凶だった!

Businessman Meditating

何かとストレスを抱え込みがちな日本のビジネスマンですがストレスの根本的な原因はなんでしょうか。実は、言いたいことが言えない、または真意と反対の事を言ってしまうといった感情と言動の不一致がストレスを引き起こしているケースが多いのです。例えば、出張先で部のメンバー全員と会議後夕食をとることになったとします。日本人同士の場合、職場での立場や上司への気兼ねから、上司の決定したレストランについていくのが一般的ではないでしょうか。これが、アメリカでは大いに違います。部長や、時に社長が提案したレストランであっても、そこで食べたくないと思ったスタッフは別のお店へ行ったり、またみんなの食べたいものが違ってまとまらなかったりといったこともよくあります。アメリカでは「あなたはどう思う?」と意見を聞かれる場面が多いですが、これは他人の意見を尊重しようと言う気持ちがあるからだと言えます。また、そういった場面でためらいなく自分の意見を言える事は、実はお互いの趣味や趣向を理解しあい風通しの良い職場を構築する意味でも大変重要な事です。相手の意見を尊重しながら、自分の思いを伝える技術は是非身に付けたいスキルだと言えますね。

グローバルなビジネスマン必須のコミュニケーションスキル、アサーションとは!Young woman making a promise

日本ではあまり聞きなれない「アサーション」と言う言葉ですが、アメリカでは歴史のあるコミュニケーションスキルの一つで、「人は皆自分の意見や要求を表す権利がある」と言う考え方に基づいています。日本語では「適切な自己主張」、または「さわやかな自己主張」と訳される事が多いですね。相手を尊重しながら自分の意見を言うスキルの重要性はアメリカでは1950年頃から注目され、研究が進められてきました。もともとは対人関係に悩む人の心理療法の治療として開発され、カウンセリング等に取り入れられたものですが、60〜70年代には黒人の人権を主張する社会運動とも結びつき発展してきた歴史があります。アサーションのトレーニングでは、相手に気を使うあまり自分の意見が言えないタイプや、逆に自分の意見を主張し過ぎ相手に敬意を払えないタイプの対人関係の改善を目指します。

あなたはどちら?のびたタイプ(非主張型)orジャイアンタイプ(攻撃型)relationships difficulties, conflict in family, scandal

私たちのおなじみのアニメ「ドラえもん」のキャラクターに、コミュニケーションの両極端な例を見る事ができます。いつも言いたい事が言えない、断りたいのにノーと言えず、ジャイアンの言いなりになってしまう、のび太は非主張型の典型と言えます。いつも自分の欲求を抑えているのでストレスが溜まります。一方で、言いたい放題自分の主張をするジャイアンは一見ストレスとは縁遠い感じがしますが、自分の思い通りに主張を押し通そうとするので怒ってばかり。いつもストレスが溜まっているように見えますね。これに対して、しずかちゃんはいつも相手の意見をきちんと聞いた上で言うべき事ははっきりと主張しています。このしずかちゃんの態度こそ見習うべきアサーティブ型(自他尊重型)と言えます。

ひきうけたくない仕事はアサーティブ型(自他尊重型)で断るのが正解!forgetful caucasian woman covered with paper stickers

さて、ノン・アサーティブ(のび太タイプ=非主張型)、アサーティブ(しずかちゃんタイプ=(自他尊重型)、アグレッシブ(ジャイアンタイプ=攻撃型)を踏まえた上で、上司から新しい仕事を頼まれた場合について考えてみましょう。すでに今ある仕事で手一杯で断りたい場合、のび太タイプではどうでしょうか。はっきりとノーと言えないまま、やりきる覚悟を持てないまま引き受ける羽目になってしまいます。もちろんジャイアンタイプですと引き受けたくない仕事は回避できますが上司との仲は険悪になるでしょう。では、しずかちゃんタイプだとどのように断るでしょうか。正直に自分は手がいっぱいで困っている事を伝え、はっきりと断った上で、いつ頃手が空くのか、その後であれば引き受ける事ができると言った代替え案を提案する事で上司の状況や事情を配慮している事を確りと伝える事ができます。このように伝えれば上司も全面的に否定された訳ではないので、「断られた」と言う感じは和らぎます。アサーティブ型の基本は、1.「自分の気持ちや状況をはっきりと伝える」2.「断る」3.「新たな提案をする」の3ステップです。ぜひ日々の生活に取り入れてみましょう。抱えきれない仕事を追って、精神的にも体力的にも限界を迎える事がなくなります。

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