MENTAL

座りすぎで心が不安定?

 

 

座りすぎが不安を呼ぶ?

あなたは一日何時間座っているでしょうか。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透により、アプリ開発やビッグデータの解析など、ITに関連する業務を行うプログラマーやデータサイエンティストなどがどんどん増えており、ビジネスパーソンがパソコンに向かう時間は年々長くなっています。そしえコロナ禍による在宅ワークの浸透も、この傾向に拍車をかけているでしょう。

パソコンに向かう時間が長いということは、それだけ座っている時間が長いということですね。

「座り過ぎだと身体に良くない」
「肥満の原因になる」
「健康診断で引っかかる」
「慢性的な肩こりが・・・」

など、座り過ぎが良くないと言うことは頭でも身体でも実感している方が多いのではないでしょうか。

しかし、実は「座りすぎ」は心にも良くない影響を及ぼすのです。
もっと正確にいうと「座りすぎ」は「不安感」を増幅させます。

不安感が増すと私達は適切な判断ができなかったり、周りの人と円滑なコミュニケーションが行なえなかったり、公私共に良くない影響が出てきます。

コロナ禍でも危険視されたのは、ウィルスそのものと同じくらい、人々の「不安や恐怖」でした。

不安や恐怖が一人ひとりの間に増幅すると、相手を攻撃したり間違った情報を流したり、混乱が生じるからです。

特に今はストレス社会で不安も増しやすい現代で、この不安感はできるだけ防がなければなりません。

 

日本人は座りすぎ?

まず日本人がいかに座っている時間の長い国民であるかを示す研究をご紹介します。

 

オーストラリアのシドニー大学の研究者らは、2011年に世界20カ国における平日の総座位時間のランキングを報告しています。その中で、日本は「総座位時間」が一日平均7時間(420分)となっており、サウジアラビアと並んで、世界で最も座っている時間が長い国であることが明らかになっています。

また、近年、「座りすぎ」によって健康を損なうリスクは、飲酒や喫煙と同値度であることも報告されています。

 

シドニー大学の別の研究では、1日8~11時間座る人は4時間未満の成人と比べて総死亡リスクが15%上がり、さらには1日11時間以上座る人の総死亡リスクは4時間未満の人と比べて40%程度高くなることが明らかになっています。

特に、座位時間が8時間を超えたところで、総死亡リスクが顕著に上がるようです。

また、職場環境では、自分が思っているよりも座っている時間が長い傾向があることもわかってきました。

「自分は8時間の就業時間だから大体8時間くらいかな」
と思っていても、実際は休憩時間や出勤前就業後や残業などを入れると、更に数時間は座っていることになります。

 

座りすぎと不安の関係

座っている時間が長いと身体的健康に悪影響があることは、前編の通りですが、メンタルへの影響はどうでしょうか? 一見あまり関係がないように思えますが、オーストラリアのディーキン大学運動栄養科学部の研究者らは、座りがち(Sedentary Behavior)の行動と不安の関連について、過去に発表された900本の論文の中から調査したところ、

平均座位時間が長い人ほど不安が強いという関連性があることがわかりました。

ちなみに、座っているときの行動の種類による違い、つまり、テレビを見ているのか、ゲームをしているのか、パソコンやスマホを見ているのかによって、不安の強さに違いがあるかについても調べましたが、特に差は見られませんでした。

つまり、何をしているかに関わらず座っている時間が長い人ほど、不安が強いという関連性が明らかになったのです。

 

座るだけで不安感が増すなんて、ちょっと想像しにくいですね。

このメカニズムははっきりわかっていませんが、研究者らは、座りっぱなしの生活は、中枢神経系の覚醒や、睡眠障害、代謝不良をもたらし、それらが不安の増長につながっているのではないかと考察しています。また、座りっぱなしの生活は、社会的孤立や対人関係からの離脱につながり、それらが不安を強めている可能性も考えられます。

 

次回は不安に関して、どれくらい的中するのか、そしてその不安にどう対処するのかお伝えします。

しかしその前に、ちょっと席を立ってブレイクタイムをぜひ取ってみてくださいね!

 

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