「疲れやすい人の食事 いつも元気な人の食事」(著:柴崎真木)より
糖質制限ダイエットでは脂肪は減らない?
やせるために一番重要なのはエネルギーバランスです。食べたエネルギーより、消費したエネルギーのほうが大きければ、体重は減少します。ですから、サラダだけ食べていれば、当然体重は減るでしょう。
しかし、何が減少して体重が減ったのかを考えることが必要です。1〜2日絶食すれば、すぐに1〜2キログラムくらいの体重は減少します。絶食でなくても、穀類などを抜いた、最近流行りの糖質制限ダイエットをするとすぐに体重は減少します。穀類や果物、砂糖などに含まれる炭水化物(糖質)は、体内ですぐに使われるエネルギー源です。しかし、エネルギーに変えられず、余った糖質は、グリコーゲンとして蓄えられます。
ただし、それほど多くグリコーゲンを蓄えることはできません。そのため、毎日とらなければ、これらのエネルギー源は不足してしまいます。食事量を減らすと、食品に含まれる水分とこれらのグリコーゲンが減少して体重が減るだけで、本来減ってほしい脂肪が減少して体重が減っているわけではありません。
たんぱく質はエネルギー消費が大きい!
食事をすると体温が上昇しますが、これは、食べたものが消化吸収される過程でエネルギーを消費し、熱を発生させる反応で、「食事誘発性体熱産生(DIT反応)」といいます。DIT反応は、1日の消費エネルギーの約10%を占め、食べたものによってエネルギー消費量が異なります。
もっとも体温が上昇し、エネルギーを消費するのがたんぱく質です。次に炭水化物、もっともエネルギーを消費しにくいのは脂肪です。
たんぱく質は肉や魚、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれます。また、たんぱく質は筋肉や骨、血液など身体の材料となり、これらは日々古い細胞と新しい細胞を入れ替えています。速いものでは、数時間で新しい細胞に生まれ変わるものもあることや、グリコーゲンや脂肪組織のように蓄えておくことができないため、とりだめができません。ですから、3食、少なくとも片手1杯程度のたんぱく質を多く含む食品をとることが必要です。
たんぱく質が不足すると、筋肉や骨が減ってしまいます。長期的に食事を減らしてダイエットをすると、筋肉や骨が減り、体脂肪はあまり減らずに体重が減少することになります。筋肉は体内で糖質や脂肪などのエネルギーを多く使う組織ですから、筋肉が減少すると、ますます脂肪は落ちにくくなります。
筋肉を減らさないようにするには?たんぱく質をとるときに注意するポイント
筋肉が減少した状態で元の食事に戻して体重や体脂肪が増えてしまうと、次のダイエットは、さらに脂肪を使う場所が少なくなった状態で行うことになります。そのため、体重が落ちにくくなるのです。やせたいと思ったら、極端に食事量を減らさないことが肝心です。
たんぱく質を多く含む食品をとるときに注意しなければいけないのは、脂肪をとりすぎないようにすることです。
肉は脂肪の少ない部位のヒレやももにする、調理方法も揚げ物や炒め物をとりすぎないようにします。たまにはサシの入ったブランド牛や揚げ物を食べたいと思ったら、食物繊維の多い野菜や海藻類を一緒にとるようにしましょう。そして、1口目は野菜や海藻類をよく噛んで食べ、その後に脂肪の多いおかずをとるようにしましょう。
また、DIT反応は夜より昼、夏より冬のほうが高く、冷たいものより温かいものを食べたり、食事の前に軽く運動をしたりすることでも高くなります。
野菜を食べるなら重いものを選ぼう
「野菜を食べる」というと、「サラダを食べる」というイメージが強いかもしれません。しかし、サラダをはじめ、生野菜は思っているより量がとれないことが欠点です。
例えば、ランチの付け合わせやセットのレタスやキャベツ中心のサラダでは、30〜50グラム程度しかとれません。1回の食事で100〜150グラムは食べてほしいのですが、生野菜はかさが多いわりに軽く、なかなか目標量をとりきれません。また、レタスやキャベツに含まれるビタミンCはもともとそれほど多くない上に、カットして時間が経過するとほとんど抜けてしまいます。
ブロッコリーやにんじん、かぼちゃ、ほうれんそうなど、ゆでたり煮たりした緑黄色野菜やだいこん、ごぼう、れんこんなどの根菜類は見ためより重量があるため、レタスやキャベツなどと組み合わせてとると目標量に近づきます。
また、キャベツ、レタス、きゅうりなどの淡色野菜より、β‐カロテンやビタミンC、野菜の色の持つ抗酸化成分がとれるため、サラダバーなどで選ぶときは色の濃い野菜を中心にとりましょう。
だいこんやごぼう、れんこんなどの根菜は煮物や豚汁、けんちん汁など汁物でとると、とりやすいでしょう。最近はコンビニでもレトルトパックになったものがあるので、それらを活用するのも1つの方法です。
ドレッシングに隠れた油が!?調味料に要注意!
また、サラダにはドレッシングやマヨネーズをかけすぎないことです。油は大さじ1杯で約100キロカロリーあり、マヨネーズは約90キロカロリー、ドレッシングも60〜70キロカロリーくらいあります。サラダの野菜自体にエネルギーがなくても、これらをたっぷりかけていれば、油を食べているのと同じことです。
ドレッシングは、レモン汁やビネガーとn‐3系脂肪酸の多いアマニ油やエゴマ油を使うとよいでしょう。n‐3系脂肪酸は中性脂肪を減らしたり、エネルギー代謝を向上させたりする働きがあります。しかし、いくら身体によいといっても、脂肪のエネルギーは1グラム=9キロカロリーとどれも同じですから、とりすぎないようにすることには変わりありません。
筋肉を減らさない食事とは?おすすめのレシピ
それでは、具体的にどのようなメニューがよいのでしょうか。2つレシピを紹介します。
1.片手一杯のたんぱく質をとろう!
ささみとわかめの生姜じょうゆ和え
ささみは低脂肪高たんぱく食品です。1本で約10グラムのたんぱく質を含み、成人が1日に必要なたんぱく質の約1/6がとれます。ささみには、たんぱく質代謝にかかわるビタミンB6が多く含まれるため、筋肉や骨づくりに役立ちます。
【材料…2人分】
- 鶏ささみ…2本
- 乾燥わかめ…2グラム
- 酒…少々
- おろししょうが…少々
- しょうゆ…大さじ1/2
【つくり方】
- ささみの筋をとり、耐熱皿にのせて酒を少々ふってラップをかけ、電子レンジで2分程度加熱する(もしくは、鍋に水と酒少々を入れて沸騰させゆでる)。
- ささみは粗熱がとれたら、大きめにさいておく。
- 乾燥わかめは水でしっかりもどし、よく洗っておく。
- ボウルにしょうゆとおろししょうがを入れてよく混ぜ、ささみとわかめを和える。
おろししょうがはチューブ入のものでもOKです。三杯酢とごまでごま酢あえや、酢とみそ、みりんで酢みそ和え、にんにくとしょうゆ、ごま油でナムル風など、味付けを変えてもおいしくできます。
2,重たい野菜をとろう!
れんこんの明太子和え
れんこんは食物繊維が多く、噛みごたえがあるので満腹感を得やすい食品の1つです。ビタミンCも多く含まれます。通常、ビタミンCは熱に弱いので、加熱すると壊れてしまいますが、れんこんに含まれるビタミンCは熱に強い特性を持っています。また、喘息やアトピー、花粉症などアレルギー症状の緩和にも役立つといわれています。
【材料…2人分】
- れんこん…小1節
- 明太子…1/2腹(20グラム)
- マヨネーズ…小さじ2
- 酢…小さじ1
- あさつき…少々
【つくり方】
- れんこんは皮をむき、薄切りにし、歯ごたえが残る程度にさっとゆでておく。
- ボウルに明太子をほぐして入れ、マヨネーズ、酢をまぜておく。
- れんこんの水気をしっかりとり、②のボウルに入れてよく和える。
- さらに盛り付けてから、小口切りしたあさつきをのせる。
ささがきごぼうや千切りにしたにんじん、きゅうりなどを加えてもおいしくできます。
たんぱく質や重たい野菜で、筋肉を減らさないようおいしくダイエットを!
いかがでしたか?毎日の食事で、たんぱく質が不足しないように心がけ、満足感がある重たい野菜を食べて、筋肉を落とさず健康的なダイエットをしましょうね!
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