「疲れやすい人の食事 いつも元気な人の食事」(著:柴崎真木)より
「りんごダイエット」はリバウンドしやすい?単品ダイエットが続かない理由
世の中には数え上げたらきりがないほどダイエット方法がありますね。しかし、注意しないとリバウンドしてしまうようなダイエット方法も存在します。特に、りんごダイエット、ヨーグルトきのこダイエット、プロテインドリンクダイエット、糖質制限ダイエットなど、ある食品だけ食べないというダイエットは、リバウンドに注意したいダイエット方法の例です。これらのダイエットは、単品しか食べないため、極端に食事が偏ってしまいます。そのため、一時的に体重は減少しますが、確実に元に戻るかダイエット前の体重より増えてしまうことが多いようです。
◯◯ダイエットと名前がつくダイエットは、前の年に流行していても、次の年になったら「あれ?そういえばどうなったんだろう?」というものも少なくありません。その理由は、単品だけを食べ続けるのは飽きてしまったり、健康状態を損ねたりといずれも長く続けられない方法だからです。
ダイエットとは、やせることのようにいわれていますが、本来は日常の食事や食習慣、食生活を意味しています。毎日の食事や食習慣というのは、続けられなければ意味がありません。例えば、トレーニングをしたからといって、急に明日速くなったり、なにかができるようになったりするわけではありませんね。それと同じように、食事も今日食べたからといって、すぐ明日なにかが劇的に変わることはありません。日々の積み重ねによって気づいたときには変わっていたというような感じなのです。
「体重が減る=脂肪だけが減る」ではない!健康的に痩せるには?
1週間たっぷり食べても、10キログラムも急に増えないことは感覚的にわかりますね。ですが、不思議なもので、やせようとするときは、「1週間で10キログラムやせる」とうキャッチコピーのダイエット方法に簡単に飛びついてしまいます。
体脂肪1キログラムをエネルギーに換算すると7200キロカロリーになります。増えるのも減るのも同様です。例えば、1週間で体脂肪を10キログラム増やすことを考えます。そのためには、1日2000キロカロリー消費していると仮定すると、毎日12000キロカロリー以上とらなければいけません。リオ五輪でも活躍し、生涯獲得金メダル数23個の世界記録を持つ競泳のマイケル・フェルプス選手が1日で摂取するといわれるエネルギー量と同じくらいです。日本代表の競泳選手でよく食べても4500~5000キロカロリーくらいですから、普通の人にはとうてい無理な量だということです。
反対に、1週間で体脂肪を10キログラム減らそうとすると、1日で8300キロカロリーくらい消費しなければいけません。フルマラソン1回で約2500キロカロリー消費するといわれていますから、フルマラソン3回半くらいは走らなければならない計算になります。こちらも現実的ではありませんね。
では、なぜ◯◯ダイエットなどの単品ダイエットで10キログラムも減るのでしょうか。それは、減っているのは脂肪だけではなく、体内の水分と筋肉や骨などの組織が減るからです。
単品だけのダイエットはやはり長続きしないので、10キログラム減った後に元の食事に戻したり、我慢していた分食べすぎたりしてしまうので、結局元に戻ってしまいます。元に戻った分の体重は水分と脂肪で、減ってしまった筋肉や骨、血液などは、早々元には戻りません。身体ができるには3か月から6か月は少なくともかかるからです。骨折した経験のある人は、きちんと骨が元に戻るには3か月くらいかかるのは体感として理解できると思います。ですから、減らすときも少なくとも3か月は必要です。
健康的な体重とは?自分のBMIを計算してみよう!
ダイエットをするにも、まずは健康的な体型というのはどのような状態のことかを知ることが大切です。特に女性はやせる必要がないのに、理想的な体重よりも1、2割少ない体重を好んだり、目指したりすることが多いような気がします。
健康的な体型とは、体重とその内訳が重要です。体重を構成する要素は、「脂肪組織」と筋肉、骨、血液、内臓などの脂肪以外の「除脂肪組織」の2つに分けられます。除脂肪組織の中でも大きな割合を占めるのが筋肉になるため、「除脂肪量=筋肉量」と考えてもよいでしょう。
まず体重について、肥満度を評価する項目の1つにBMIがあります。BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算できます。この値が男女とも22になる体重が統計的にもっとも病気になりにくいことから、適正体重とされています。日本肥満学会では、18.5以下を低体重、18.5~25未満を普通体重、25以上を肥満と定義しています。
BMIが25以上になると生活習慣病のリスクは2倍になるといわれています。しかし、18.5以下の低体重の場合も、がんや呼吸器系疾患、脳血管疾患など栄養不足による免疫力の低下や血管障害を起こしやすくなります。
また、骨粗鬆症やロコモティブシンドローム(骨や筋肉が衰えることによって寝たきりなど要介護になるリスクが高い状態)のリスクも高くなります。それだけでなく、妊娠を望む若い女性は、月経異常を起こしやすく、妊娠しにくくなったり、妊娠時も切迫早産、低体重児分娩のリスクが高くなったりします。特に成長期を過ぎてから減らした骨密度や筋肉量を増やすのはとても大変なことです。骨密度や筋肉量を減らさないようにするために、極端なエネルギーや栄養素の不足には気をつけなければいけません。
また、最近では、見ためが細いのに体脂肪率が高い「隠れ肥満」が、特に若い女性を中心に急増しています。次の図は、BMIと体脂肪率から体型を分類したものです。エリートアスリートは結果を出すために競技に適した身体づくりを行いますが、一般の人は標準の範囲内におさまるのが理想です。
食事のとり方で身体は健康になれる!健康的な体重を維持する近道とは?
では、健康的な体重や体型を維持するためにはどうすればよいのでしょうか。結論をいうと、抽象的ですが、エネルギーが低い調理方法や栄養素が豊富な食品を選んで、バランスよく食べて減量することが一番の近道なのです。
主食、主菜、副菜、汁物の1汁3菜の食事形式は、それぞれの食品を組み合わせることによって、それぞれに不足している栄養素を補い合えます。つまり、1汁3菜の食事形式は、「バランスの良い食事」といえます。
例えば、お米にはエネルギー源になる炭水化物が多く、たんぱく質は少なめです。必須アミノ酸であるリジンも不足気味ですが、主菜の肉や魚はタンパク質に加えてリジンも豊富に含まれるため、一緒に食べることで不足を補うことができます。
このように、1つの食品に必要なすべての栄養素が含まれているわけではありません。いろいろな食品を組み合わせることで必要な栄養素が揃い、身体がつくられたり、健康が保たれたりするのです。
栄養バランスのよい食事を心がけて、健康的にダイエットをしよう!
いかがでしたか?単品ダイエットをすると、エネルギーは減るのですが、必要な栄養素がとりきれないことになります。すると、減ってほしい体脂肪が減らず、筋肉や血液など減っていけないものが減っていってしまうのです。いろいろな食品を組み合わせて食べるためには好き嫌いなくなんでも食べられることが理想的ですね。
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