水はコンデションを保つ上で欠かせない存在
水は、よいコンディションをキープするうえで欠かせない存在です。特にビジネスパーソンが愛飲する飲み物、コーヒーとビールの2つには利尿作用がありますから、日常的にこれらを飲む方は、余計に水分摂取をセットで考えてあげる必要があるのです。
生きる上で必要不可欠な水。ではどのくらい飲むのが正しいのでしょう?
疲れと不調の原因は「かくれ脱水」にあり
皆さんは普段、どのくらい水を飲んでいますか?
おそらく、あまり意識していないという人がほとんどではないでしょうか。もしそうであれば、一度「かくれ脱水」を疑ってみる必要があるかもしれませ ん。
かくれ脱水とは数年前に流行った言葉で、知らない間に体液(血液を含め私たちの身体を満たしている水分)を失う「脱水症」になりかけている状態のことを言います。
私たちの体は、大人であれば6割がこの体液で満たされているとされています。体液は、
・酸素や栄養素を速やかに運び、二酸化炭素や老廃物などの不要になったものを除去する(新陳代謝)
・体温を一定温度に保つ(ホメオスタシス) ・ホルモンや免疫系の働きを助ける
といった、生命活動を根源から支える数々の役割を果たしているため、主成分である水の摂取が不十分であると、この体液が失われ、様々な不調を引き起こします。
具体的には、新陳代謝が滞るので肥満やむくみを招きやすく、老廃物の蓄積で疲労も加速します。腸内環境が悪化し便通が乱れ、ホメオスタシスが崩れることでストレスが溜まり、ホルモンや免疫系の働きも低下。冷えや肌荒れなど、美容面にも悪影響を及ぼします。
「最近疲れがとれない」「何かとイライラしやすい」 「お通じや肌の張りが悪い」
こんな症状を感じたら、1日の水分量や水分補給の仕方を見直す必要があるでしょう。
のどが渇いてからでは遅い
では、いったいどれくらいの水を飲んだら、ベストなコンディションを保てるのでしょうか?
私は、「水は1日3リットル」を推奨・実践しています。
こう断言すると、「え、そんなに?」と驚かれることが多いのですが、私は、長年患者さんを診てきた経験から、よいコンディションを保つためにはこれくらいの水分摂取が必要だと考えています。
水は常に体内を循環し、一瞬一瞬、失われています。のどが渇いたと感じてからでは、すでにかくれ脱水に陥っている可能性が高いので、そうなる前にこまめに飲むことを習慣づけることが大切です。
3リットルも飲める気がしない。最初はそう思うかもしれませんが、1回あたりに飲む量はたったのコップ1杯(200ミリリットル)です。例えば、朝起きて1杯、家を出る前に1杯、会社に着いたら1杯、ブレイクタイムに1杯、ランチ前に1杯……というように、1日を通してこまめに飲む習慣をつければ、3リットルなんて意外に楽勝です。
注意すべき飲み物・メインで飲むべき飲み物
ただし、次に挙げるもの(天然水や水道水といった「真水」以外の飲み物) には注意が必要です。利尿作用で脱水気味に傾いたり、糖分の過剰摂取になることがあります。
・コーヒーや緑茶などのカフェイン飲料
・砂糖などの糖質やカロリーなどを含む清涼飲料水
・ビールなどのアルコール飲料
メインで飲みたいのは「真水」です。それ以外での水分補給は、内容もしっかり考えて選んでください。
いつでも気軽に飲めるよう、会社のロッカーや自分のデスク下に2リットルペットボトルを常備しておいてもいいでしょう。とにかく習慣づけることがポイントですから、ぜひいろいろと工夫してみてください。
とくに、寝る前、起きた後の1杯は欠かさないようにしましょう。寝ている間は汗や呼気などでコップ1杯以上の水分を失うと言われます。血圧が下がって血液がゆっくりと流れるため、水分不足で脱水していると血液がドロドロになって血管が詰まりやすく、心筋梗塞や脳梗塞を誘発します。
自分に必要な水の量を計算して、疲れから解放
1日に必要な水分量として私は3リットルを推奨していますが、下の計算式を活用すれば、今の自分にはどれだけの水が必要なのか、より正確に把握することができます。
また、1日を通して実際にどのくらいの水分が出たり入ったりしているのかを数値化した表も用意してみました。
私たちの体は常に代謝を繰り返し、水を体外へ排出したり取り込んだりしながら、よどまないようにつくられています。
水分摂取を上手に行うことは、健康増進や老化予防につながります。どうぞこれを機に、普段の水分補給を見直してみてください。
※代謝水……食べ物が分解される過程で生じる水分
※不感蒸泄……知らぬ間に、呼吸や皮膚などから空気中に失われていく水分
「朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる」(著:馬渕知子)より
『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる』 (クロスメディア・パブリッシング) |