「朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる」(著:馬渕知子)より
ビールを知らずして、おいしいビールには出会えない
その複雑な旨味や香りからは想像できないほど、ビールの材料はシンプルです。
基本は、麦芽・ホップ・酵母・水の4つだけ。製法においても(種類によって多少の違いはあるものの)、
①砕いた麦芽に温水を混ぜ合わせ、
②麦芽の糖質分を分解し、
③風味付けのホップを加え、
④そこに酵母を入れて発酵させる、
というステップを踏めば出来上がります。むしろ、昔はホップを使用していないビールが主流だったとも言われているらいです。
しかしシンプルだからこそ、もっとこだわりを持ってビールを選べばさらにビールを楽しめます。ビール選びのコツをご紹介しましょう。
ビールの水の違いに目を向ける
もっとこだわりを持ちたいならば、ビールの90%以上を占める「水」の違いにも目を向けてください。
たとえば、
・ギネスビールで有名なアイルランド・ダブリンの水は硬水、
・ピルスナー発祥の地であるチェコのプルゼニの水は軟水、
・ホップの香りを楽しむエールビールは硫酸塩が多く含まれるイギリスの水
などといったように、水の性質はビールにはっきりと表れます。
つまり、どんな水で仕込むかによっても違いが生まれるのがビールなのです。
単純だからこそ、嘘が付けないビール。ビールの基本を押さえることが、ビールを美味しく飲むための第一歩でもあります。
缶ビールのラベル・チェックのひと手間が生む大きな差
家でくつろぎながら飲むビールは格別です。宅飲み用として缶ビールをストックしているという人も少なくないでしょう。
缶ビールを選ぶときに気にしてほしいのが、裏面のラベルです。成分等が記載されたこの部分は、言わば身元証明書のようなものだからです。
特に注目すべきは、原材料。ここには、基本的には水と酵母を除いたビールに使われる材料名が記載されます。ビールの基本は「麦芽、ホップ、酵母、水」ですから、生粋のビールは「麦芽とホップ」2つだけの記載となります。
つまり、原材料名の記載が少なければ少ないほど、本来のビールの味を楽しめるというわけです。
ただし、麦芽やホップ以外の副材料に何が使われているかによっても、旨味や香りに微妙な違いが出ます。日本においては、麦芽・ホップ・水のほかに、米・とうもろこし(コーン)・でんぷん(スターチ)・糖類等を使用することができるとされています。
購入前、缶ビールのラベルをチェックする癖をつけて、 自分の好みに合った一杯を見つけてください。
「ファースト・黒ビール」 という健康法
はじめの一杯を飲むときというのは、味覚が研ぎ澄まされ、そのもの自体の味わいを深く受け止めることができます。
そして、これから飲み進めるにあたって、胃腸の具合を整え、肝臓の消化機能を促す飲み物であることも、一夜の充実度を左右するでしょう。
だからこそ、ファースト・ビールが鍵を握るのであり、そして、ここで有力候補として挙がるのが「黒ビール」なのです。
黒ビールの定義は国よって大きく異なり、残念ながら日本の基準レベルは曖昧かつ緩いもの。簡単に言えば、「色が黒」であれば、黒ビールやブラックビールと名乗れてしまいます。
とは言え、着色料を使うような悪徳商法でない限り、濃い色のビールを造るためには手間暇もかかれば、それなりの成分も含まれます。他のビールと比べれば、芳醇かつ独特な味わいと香りを持ち、より副交感神経に働きかけて、一日の疲れを癒してくれるでしょう。
また、ミネラルやビタミン類に加え、ポリフェノールの含有量も多いと言われますから、アルコールの分解・吸収に加えて健康面でも優れている可能性があります。
自分に合った最高のビールを見つけよう
シンプルだからこそ、その違いもまた楽しめるビール。
ビール選びは水やラベルからも楽しめるとお分かりいただけたと思います。味はもちろん、原材料や酒類から開拓していくのも面白いでしょう。
ぜひいろいろな種類のビールを飲んで、自分に合った最高のビールを見つけてみてください。
『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる』 (クロスメディア・パブリッシング) |