「一流の人はなぜそこまで、靴にこだわるのか?」(著:渡辺鮮彦)より
「一流の人」とは
あなたが思い浮かべる「一流の人」あるいは「仕事のできる人」とはどんな人でしょうか?
- 営業成績が優れている人
- 即座に正しい判断ができ、テキパキと仕事をこなす人
- コミュニケーション能力に長け、部下や同僚に的確な指示を出せる人
- 集中力があり時間の使い方がうまい人
たしかに、どれもみな「仕事のできる人」です。
でも、私の考える「一流の人」とは「相手と長期的な信頼関係を築ける人」です。
「相手」というのは、ビジネスに関わる人全員を指します。
取引先やお客様だけでなく、同僚、部下、上司などなど。
ビジネスで最も重要なことは、すべての「相手」と長期的な信頼関係を築くことであり、良い仕事というのは必ず信頼関係があって初めて成り立つものです。
例えばお客様を「相手」とする場合は、
- お客様のニーズを的確につかむこと
- お客様の求める製品やサービスを競争力のある価格で安定的に提供すること
- 納期を守ること
- 商品やサービスの改善を常に追求すること
- 予期せぬトラブルが発生しても、それを解決する力を備えていること
- 予期せぬトラブルに対して、あきらめずにひたむきに解決できるまで取り組むひたむきさを持っていること
これらを常に実行できている人こそが、「一流の人」と呼ばれる人です。もちろん、これらは容易なことではありません。
特に、新規のお客様に対しては信頼関係を築けるまでに時間がかかりますし、いくつかの良い実績が必要かもしれません。
あなたは「一流」と見られている?
優れた実力や資質を持つことの前に気を付けなければならないことがあります。
それは、「あなたが他人からどう見えるか?」ということです。
あなたがどれだけ優秀であっても、初対面の人にその実力が伝わらなければ意味がありません。第一印象が悪いというだけで、あなたは実力通りの能力を発揮することが非常に困難になります。
「メラビアンの法則」についてご存知の方も多いのではないかと思います。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した第一印象に関する法則です。
メラビアンの法則によると、人の第一印象は出会って3~5秒で決まり、その決定情報の
- 55%が目から入る情報(表情・態度・姿勢・身だしなみなど)
- 38%が耳から入る情報
- 7%が話の内容
ということです。
あなたが優れた実力と資質を備えているならば、見た目でもそれを十分に伝える努力が重要である、ということです。
見た目の中でも重要なウェートを占めるのが身だしなみであることは間違いありません。
「外見にこだわらない」「外見に惑わされない」という日本人特有の美徳も大切で、個人的には素晴らしいものだと思っています。
しかしながら、グローバル化しているビジネス環境において、別の価値観を持つ方々とビジネスをする機会が増えていることは確かです。
最近では異なる価値観のお客様と接する場合に、お客様の価値観にしっかりと対応していくことが「気配り」として不可欠とされています。
装いに無頓着であることが原因で見下されてしまったり実力や常識を疑われてしまったりいた場合のことをイメージしてみましょう。そんな時、あなたに不利なペースで仕事が進んでしまい、あなたは実力を発揮することができません。実力がないならまだしも、身だしなみが原因でこうした事態に陥ってしまうことは非常にもったいないことです。
日本ではデキるビジネスマンでさえ足元の身だしなみがおろそか!?
身だしなみや装いに気を付ける上で、どこに気を付ければよいでしょうか?
ポイントは相手に不快感を与えないことと清潔感です。
とはいえ、スーツ、腕時計、カバン、などなど相手から身だしなみをチェックされそうなアイテムはたくさんあります。
また、業界や職種、職場環境、個人の価値観によってどのアイテムに重点を置くかは変わってくるでしょう。
しかし、私が見る限りでは、仕事のできる人たち、特に優秀なビジネスパーソンの誰もが気にかけている共通のアイテムが一つあります。それこそが、足元、つまりは「靴」なのです。
なぜ、靴?
ほとんどの方が、ビジネスのときの身だしなみといえばスーツを思い浮かべるのではないでしょうか?
首都圏ビジネスマンを対象にした「男のこだわりアンケート」とういデータによると、最もこだわりを持つモノの順位は以下の通りです。
第1位 スーツ
第2位 腕時計(1位のスーツとの差は非常に僅差です!)
第3位 カバン
年代別の集計では多少の順位の入れ替えはありますが、靴はどの年代でもランク外。これだけで一概に断定するわけにはいきませんが、日本ではどうやら「足元への投資」なかなか意識されていないようです。
「足元への投資」が重要視されにくい背景として、「足元はそこまで他人から見られていないだろう」という意識があるかもしれません。
人を上から下へ目線を下げながら見ていくと、顔、上半身、下半身、ときて最後にようやく足元です。また、足元が身体の中で占める割合としても全体の一割未満です。したがって、位置や面積で考えるとスーツなどの他のアイテムに比べて、あまり目に入らないような気もします。
靴こそが一流の男にとって身だしなみの要
しかし、靴こそが身だしなみの要であり、第一印象に大きな影響を与えるポイントです。
日本では異なり、欧米では「最も重要なのは足元であり、スーツはそれほど高価である必要はない」という考え方が一般的です。実際彼らは、社会人になると何より靴にお金をかけなさいと教えられるそうです。
より良い第一印象を得るために、高価なスーツや時計、鞄で身を固めても、足元への配慮が欠けていては一流とは呼べません。
つま先が汚れ、かかとがすり減った靴で歩いている人を見て、「この人は仕事が出来そうだ」と思えるでしょうか?
むしろ、「だらしない人」「細かいところに気が付かない人」と感じるでしょう。
一流ホテルや由緒ある料亭では、靴から相手の社会的地位や品性を判断するといいます。
「足元を見る」
「足元をすくわれる」
といったことわざもあります。
足元はあなたが思っている以上に見られているのです。
「たかが足元」という意識は百害あって一利なし。本当の意味で見られているのは足元であり、どんな靴を履いているかです。身だしなみを整えるときには、こうした視点を持つようにしましょう。
『一流の人はなぜそこまで、靴にこだわるのか? (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |