「まんがでわかる!元気が出る睡眠」(漫画・カミムラ晋作 監修・鍛治恵)より
週末の寝だめはかえって疲れを増加させる
忙しい平日の寝不足や疲れを解消するため、休みの日はいつもより遅くまで寝ているという人は多いと思います。
しかし、それは錯覚にすぎません。
週末の「寝だめ」は、寝不足を解消するどころか眠りの質を低下させ、かえって疲れを溜める原因になります。
「寝不足解消には寝るのが一番では?」と思う方もいらっしゃるはず。
たしかに、溜まった「睡眠負債」(必要な睡眠時間に対する不足分)をなくすには、基本的に寝るしかありません。
問題は、その「長めの睡眠」のとり方です。
いわゆる寝だめのように、10何時間ぶっ通しで寝る、というのは極力避けてください。
私たち人間の体は、朝起きて太陽の光を浴びたときからスタートして、約15時間後に眠くなるようにセットされています(前述した「サーカディアンリズム」のことですね)。
溜まった借金を返済しようと一度にたくさん寝てしまうと、このリズムが崩れてしまうのです。
結果、夜の寝つきが悪くなり、「ブルーマンデー」の原因にもなります。
忙しかった週の週末の過ごし方
平日、短時間睡眠が続いてしまったら、休みの日は次のスケジュールを心がけてみてください。
睡眠負債を放っておくと、仕事や勉強の効率が著しく低下することが分かっています。
4時間睡眠を1週間続けると、一晩の徹夜と同じくらいの眠気や認知機能の低下が生じたという研究結果もあります。
①起きる時間を遅らせるならプラス2時間まで
理想をいえば、朝は極力いつも通りの時間帯に起き、朝日を浴びて朝食をとることが理想。
どうしてももう少し眠りたい場合は、いつもの起床時刻プラス2時間以内にとどめましょう。
②残った眠気は90分の昼寝で調整
昼食後の早い時間に90分ほど昼寝を。
90分で起きられるなら、休日はベッドで寝てもOK。
寝すぎないか心配な人は、ソファに軽くよりかかるなどして、少し明るい部屋で寝るのがおすすめです。
③無駄な夜更かしはせず、早めに寝る
夕方まで寝てしまうと、寝起きに満足感があっても、深夜遅くまで眠くならずにリズムが狂ったまま休日が終わることに。
睡眠負債を一時的に解消できても、その狂ったリズムで翌週も睡眠負債が溜まってしまうので気をつけましょう。
徹夜は脳と体をボロボロにする
また、徹夜もビジネスパーソンにはつきものです。
疲れやすくなる、倦怠感を増す、やる気が出ない、イライラする、などの健康被害はもちろん、記憶力、集中力、思考力といった脳力までもが軒並み低下。
仕事のパフォーマンスは、だだ下がり…と徹夜には百害あって一利なしです。
実は、徹夜明けはビールを1〜2本飲んだ状態に近いとされています。
17時間以上起きていると血中のアルコール濃度0.5%と同じレベルにまで作業効率が低下すると言われています。
睡眠不足によって免疫力も低下するので、インフルエンザなどの感染症、がんの誘因になるとされています。
できることなら避けて通りたいところですが、仕事が終わらないとき、締め切りが迫っているときなどは仕方ありません。
そういうときは、せめて次のことに気をつけてください。
徹夜を余儀なくされたときの注意点
ポイントは、徹夜中の休憩と、翌日の早めの就寝です。
・必ず短い休憩を挟む
作業に集中していると交感神経が優位になり、アドレナリンが多分に放出されます。
一時的に頭が冴えたような感覚になるかもしれませんが、休憩もとらず朝までぶっ通しでは、余計に翌日に響いてしまいます。
適宜、目を閉じるなどして休憩の時間をとりましょう。
・翌日は仮眠と早寝で乗り切る
日中の眠気は、午後の早い時間帯の仮眠で乗り切りましょう。
時間はあくまで20分程度に抑え、夜の睡眠の質を落とさないように気をつけます。
そしてもっとも重要なのは、徹夜でたまった睡眠の不足分は、その翌日のうちにしっかり返すこと。
極力、仕事も早めに切り替え、睡眠時間を確保するようにしてください。
とはいえ、徹夜は脳にも体にも害でしかありません。
安易に選択しないようにしたいものです。
『まんがでわかる! 元気が出る睡眠 (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |