成功は良い習慣をしっかり身に付けることにつきる
ビジネスや人生で成功をするためには、特別な気質や能力が必要と考える方は多いと思います。
かつて、著名な経営学者のピーター・ドラッカーは言いました。
「 成果をあげるには、性格、強み、弱み、価値観、信条はいかようであってもよい。なされるべきことをなすだけでよい。成果をあげることは、習慣である。したがって、他の習慣と同じように身につけることのできるものである。そして身につけなければならないものである。」(『経営者の条件』より) |
ドラッカーによると、成果を上げるためには、天賦の才能を持つことではなく、1つ1つの良い習慣をしっかり身に付けることに尽きると言います。氏の膨大な研究と、その類まれなる慧眼を背景にしたこの言葉は、私たちにうれしい説得力を持って響いてきます。
では、良い習慣とはいったいどんな習慣でしょうか?
早起きの習慣
「早起きは成功の秘訣」――これは多くの成功者がその実体験を基に語る言葉です。
人の脳は起床後2 時間半~ 4 時間で一番活性化します。Apple のCEO ティム・クックやスターバックスのCEO ハワード・シュルツ、そしてディズニーのCEO ロバート・アイガーらは午前4 時半に起床します。起床後、仕事や個人の趣味などに有意義な時間を使い、まだほとんど誰も出社していない7 時頃には、既に会社で仕事を開始しているそうです。
イメージングの習慣
あのアインシュタインは、さまざまなことをイメージからスタートさせたと言います。1 つの研究に取り組むときも、まず、その小さな成功のイメージを五感レベルでありありと浮かべ、そのイメージに沿って、やがて実現していったと言われています。
成功をしている人たちには、成功している理由があります。そんな中、良い習慣を持ち、それらを日々粛々と続け、良い生活のリズムをとっていくことは、どうやら大きな意味があり、成功の理由の中でもかなり重要な部分であることがわかってきました。
小さな習慣の違いが大きな差を生む
習慣には繰り返しのパワーがあります。もともと汚れた水が入っていたバケツでも、そこにゆっくりと1滴ずつ綺麗な水が注がれていくだけで、やがてバケツには綺麗な水が満たされます。同様に、良い習慣が習慣化されることによって、ゆっくりとゆっくりと浸みこむように、本質的な変容が起こってくるのです。
大事なことは、注ぎたい水がどんな水で、注ぎたくない水がどんな水であるかということ。
さてここで、あなたが行っている習慣を思い出してみてください。
- 早朝出社 or ギリギリ出社
- 腹八分目 or ドカ食い
- 階段を歩く or エスカレーターを使う
- 感謝の言葉 or 文句/ 愚痴
- 笑顔 or 仏頂面
どちらをやっているかは別として、どちらの方が良いか明白ですよね。どちらの方が良いかは頭ではわかってはいるけど、ついつい無意識のうちに注ぎたくはないはずの水を自分の毎日に注いでしまっていることもある。これもまた習慣なのです。それが繰り返されるから、粛々とダメージが積み重ねられ、トータルではかなり強烈な影響を受けていくのです。
では、逆にプラスのものを粛々と積み重ねることができたら、あなたの人生にどんなプラスのインパクトがあるでしょうか?
小さな習慣の違いが大きな差を生む。これ、本当に侮れません。
習慣化の3つの効果とは?
さて、習慣化の効果には、大きく分けて3 つあります。
①成果を出す効果
例えば、「エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使う習慣→体力アップや、体脂肪率の減少が起こる」。あるいは、「データ整理の習慣→仕事の効率が上がる」。また、「上司や部下との良いコミュニケーション習慣→仕事が円滑かつクリエイティブに進む」というのも、成果に影響しますね。
良い習慣が、高い成果を安定して出し続けることに貢献してくれます。
②コンディションを整える効果
いくら力を持っている人でも、コンディションが整わなければ、高いパフォーマンスを発揮することはできません。力のあるアスリートが、大舞台で実力を発揮できなかったり、十分な学習環境がない中では、高い成績を残す子どもたちが少なかったりするのと同様です。 例えば、コンディションを整える食事の習慣があれば、長期に渡って安定した成果を発揮できます。これは、スポーツ選手などに限ったことではなく、現代を生きるビジネスパーソンとしても身につけたい習慣ですよね。
また、良い心の習慣や、ヨガや深呼吸の習慣などには、ストレスや不安感を軽減する効果や、近年深刻化しているうつ病を予防する効果なども期待できます。
③脳力を上げる効果
驚かれるかもしれませんが、「習慣によって脳の力が上がる」効果があるとか。物事に挑戦することや、特定の運動などにより、脳内のニューロンが新しく強い形で結び付くこと を促進し、脳の力が上がると言われています。これが進むと、脳の重さが実際に重くなるというようなことも起こります。これは、知力(IQ)だけに限らず、洞察力、判断力など、脳が関連するさまざまな力の向上を推進します。
また、習慣化 が定着していくにつれ、意志の力の向上も起こってきます。 これらのことは、ビジネスパーソンをはじめとするさまざまな方、そして、自分の脳力に限界を感じている方にとって福音と言えるのではないでしょうか?
そう、習慣は才能を超えるのです。いますぐ「悪い習慣を捨て、良い習慣を身につける」習慣化トレーニングを始めましょう!
成功者になる条件とは?
成長曲線というものをご存知の方も多いと思います。仕事でも習い事でも、「何らかの活動に費やした時間と、実際に表れてくる成果とは、ある関連性がある」という話です。上図に示したものが、成長曲線です。これを例にして、習慣化の重要性をお伝えしましょう。
例えば、新しいビジネスを始めるとします。
最初は知識も経験も少ないので、要領もわからず、半ば手探りで始めたりします。当然成果はなかなか出ません。それでも続けていると、徐々に成果は出るものの、満足のいくレベルまでは程遠い現実が続きます。
初期においては、費やす時間や労力と出て来る成果が正比例しにくいのです。多くの人は、このあたりで辞めてしまいます。
ティッピングポイントを超えると……
そんな中、何%かの割合で続ける人は出てきます。続けていくと、まわりに高い成果を出す人が何人も出現してきます。そして、自分が出している成果とのギャップに焦りを感じます。
こんなことが続くと、また何%かが脱落します。それでも続けている人は、かなりの経験と知識を積んできています。
やがて、あるポイントが訪れます。それが、図にもある「ティッピングポイント」と言われるもの。
ティッピングポイントを超えると、急激に成果が出始めます。正比例以上のベクトルを持って、費やす時間に対して成果が急上昇します。
芸能人やスポーツ選手が、「ブレイクする」というのもこのポイントです。その後は、2 次曲線を辿るように、さらにさらに急上昇していきます。これが「成長曲線」というものです。
世の中の成功者というのは、このティッピングポイントを超えるまでやり続けた人とも言えます。
頑張らない、無理しない、それでいて日々粛々と
習慣化のプロセスもこれに類似しています。最初は成果が出ているかすら判らない。それでも続けていくことによって、定着化が進む。
やがて、ハッキリとした成果が出てくる。そして、このときにはすでにオートマチックにその習慣を日々行っているので、さらに成果は上がっていく。
このように、習慣化でも、成果が表面化する前に、途中で止めてしまう率を下げていくことが重要です。
一時期頑張るのだけど、日々粛々とやることができない。これが多くの人が踏んでいるパターンです。
だから、頑張らない、無理しない、それでいて日々粛々とやることはやる、これが大事なのです。
ここでのいいニュースは、頑張る必要がないということです。そして、その代わり四の五の考えず、やることをやり続ける、このスタンスが習慣化の成功につながります。
ライバルは他の誰でもありません。昨日の自分自身です。少しずつ、毎日歩みを進め、昨日の自分をちょっとでも超えていく。この姿勢が大切なのです。
「自分を変える習慣力」(著:三浦将)より
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自分を変える習慣力 (Business Life 1) (クロスメディア・パブリッシング) |