ダイエット中でもスイーツが食べたい! そんな時、「低カロリー」「低糖質」なんて書かれたコンビニスイーツは罪悪感を薄めてくれますよね。最近ではダイエットプリンが種類を増やし、FamilyMartやLAWSONなどで取り扱われています。
しかし実際のところ、どのプリンが一番ダイエット向きなのでしょう? そもそもヘルシーなプリンって、おいしいのでしょうか? ここではダイエットプリンを「味・食感・成分表示」の面から徹底比較していきたいと思います。
コンビニで買えるダイエットプリン5選
今回比較するプリンは以下の5つ。「食べたい!」の衝動に対処できるよう、大手コンビニで取り扱いのある商品から選びました。
①RIZAP クリームたっぷりカスタードプリン
②RIZAP 抹茶プリン
上記の2種はFamilyMartが展開するRIZAP商品。糖質量をアピールしていますが、その下に小さく「エリスリトールを除いた糖質量」の文字が。さて、エリスリトールとは……?
③おいしい低糖質プリン カスタード
④おいしい低糖質プリン 抹茶
2つとも「ロカボマーク」つきの低糖質プリン。LAWSONで取り扱いがあります。
⑤タニタ食堂監修の100kcalデザート カスタードプリン
ご存知「TANITA」シリーズの1つ。LAWSONのほか、スーパーでもよく見かけます。
お気に入りはどれ? 食感・味の濃さで比べてみる
実際に食べ比べてみるとやわらかめだったりかためだったり、それぞれのプリンに個性があります。カラメルソースの有無や抹茶感も大切ですよね。もちろん甘さも違います。そこで筆者の独断と偏見で、味と食感の分布表を作ってみました。
味の濃さ………【濃い】 ⑤>③④>②>①【薄い】
食感のかたさ…【かため】③④⑤>②>① 【やわらかめ】
抹茶感…………④>②
カスタードプリン3種のうち、カラメルソースがないのは③だけ。しかしカラメルソースの有無は味の濃さには関係ないようです。①の「クリームたっぷりカスタードプリン」は、生クリームと一緒に食べることが前提とされている味でした。黄色い生地だけを口に含むと物足りないものの、生クリームの存在感がとにかく大きい!「スイーツ食べてる!」と実感できるプリンです。甘みでは③と⑤の接戦でしたが、ここはカラメルソースつきの⑤が勝利。
抹茶プリン枠では②と④の抹茶感を比較、④に軍杯をあげました。成分表示表で抹茶含有量を推測してみましょう。
成分表示表は、含有量が多い成分から順に列挙されていきます。②では抹茶の表示が先頭から8番目なのに対し、④は4番目。抹茶製品を選ぶなら、成分表示表が好みの「抹茶感」のヒントになるかもしれません。
ダイエットならどれ? 成分表示表で比べてみる
そういえばこれ、「低カロリー」プリンの記事でした。いくらおいしくても太りやすいなら本末転倒です。最もダイエット向きのプリンはどれなのか? まずはカロリーと三大栄養素の数値を比べてみましょう。
カロリー面では③④の低カロリーが際立ちます。内容量に差があるとはいえ、ダイエットでは最終的な摂取エネルギーが重要。個包装ごとに買うしかないので、100gあたりのエネルギーではなく1製品の総エネルギーが低いほうがダイエット向きです。
糖質制限の観点から炭水化物を見てみます。「糖質+食物繊維=炭水化物」の中で、糖質量だけを抑えるのが糖質制限です。糖質量でも③④の圧勝、やはり「ロカボマーク」は強い……と言いたいところでしたが。
「糖質(糖アルコール除く)」って、なんだ?!
そう、RIZAPのアピールする糖質量と実際の糖質量が違うのです。
この疑問を解決するため、筆者は「糖アルコール」について調査。結果、深遠な甘味料の世界を垣間見ることになりました。
甘味料を大解剖!あなたの健康志向に合うプリンは?
「人工甘味料はちょっと……」
そんなあなたはどれくらい甘味料のことを知っていますか?
この世には数々の食品添加物が存在します。こと低カロリー・低糖質スイーツにおける甘味料は大きな存在です。「糖質=糖分」と勘違いされやすいように、甘み成分である糖分は糖質の大部分を占めます。カロリーカットの狙い目はココ。現代では様々なローカロリー甘味料が開発されているのです。甘味料を制したプリンがダイエットプリンを制する、そう言っても過言ではないでしょう。
甘味料の種類
各プリンの成分表示から、甘味料を抜き出してみました。
①エリスリトール・砂糖・カラメルソース
②エリスリトール・メープルシュガー
③砂糖・カラメル・粉あめ・ソーマチン・アセスルファムK・スクラロース
④砂糖・粉あめ・加工黒糖・アセスルファムK・ソーマチン・スクラロース
⑤砂糖・ブドウ糖果糖液糖・カラメル・粉あめ
カタカナ甘味料ではなくても、それぞれの甘味料がどういった特性を持つのかわかりませんね。『農畜産業振興機構』のHPで調べてみました。HPによれば、甘味料の世界はこのように分類されます。
糖質系? 非糖質系? はじめの分岐点から難しいですね。しかしその先を辿ってみると、「天然甘味料」の文字があります。甘味料は「天然/人工(合成)」に二分されるのではなく、甘味料の一部(非糖質系甘味料)が「天然甘味料」「合成甘味料」と呼ばれるのです。ちなみに糖質系甘味料は自然に存在する食品から甘み成分を取り出したもの。あとから酵素処理などを施したりもしますが、一般的な「天然」のイメージに近いのはこちらかもしれません。
【砂糖】…「ショ糖」とも呼ばれます。プリンによくみられるカラメルは砂糖を熱したもので、そこに水を加えればカラメルソースに。黒糖やメープルシュガーも砂糖に分類されます。
【デンプン由来の糖】……ブドウ糖や果糖、異性化糖など。異性化糖は果糖の含有量によって細かく名称が変わるので、あまり見覚えはないかもしれません。ジュースの成分表示表を見てみると「果糖ブドウ糖液糖」「ブドウ糖果糖液糖」などの字があるはず。それらは「異性化糖」に分類することができます。粉あめはデンプンを分解してできる甘味料なので、デンプン由来の糖ですね。
【その他の糖】……「トレハロース」ならよく見かけるのではないでしょうか。トレハロースが分類されるオリゴ糖類は、その多くが胃や小腸で消化されにくいという性質を持ちます。甘みは控えめですが低カロリー、血糖値の上昇もブドウ糖と比較しておだやかです。
【糖アルコール】……待ってました! RIZAPのラベルで妙な存在感を放つ「糖アルコール」。天然由来の糖質に酵素処理を施した甘味料です。消化・吸収されにくいため、低カロリー甘味料としてよく利用されます。ただし、摂取しすぎると下痢になってしまう可能性も。ガムを大量摂取するとお腹がゆるくなりませんか? 虫歯予防のガムに使用される「キシリトール」も、糖アルコールの一種です。
【天然甘味料】……糖質系甘味料は自然界から甘み成分を取り出しています。「天然」を主張しないのは必要がないからでしょうか? 甘味料の世界で「天然甘味料」と呼ばれるのは、もっぱら非糖質系のこの種類。植物の葉や果実などに含まれている甘み成分を抽出した甘味料です。
③と④のプリンに含まれるソーマチンは「タウマトコッカスダニエリ」という植物からとれます。甘みは砂糖の2000〜3000倍にも。ちなみにスーパーでよく売っている「ラカント」は、天然甘味料である「羅漢果」とエリスリトールを配合したものです。
【合成甘味料(人工甘味料)】……健康被害への疑いが叫ばれる界隈です。化学合成によって作られ、高い甘味度を誇ります。そして、またしても③と④のプリンの成分がここで登場!
アセスルファムKは砂糖の200倍、スクラロースは600倍の甘味度。血糖値影響なし、カロリーは0kcalとはずいぶん便利な仕様です。しかし、人工甘味料の健康への影響はまだまだ未知の領域。アセスルファムK・スクラロースは、日本では指定添加物として扱われ、食品ごとに使用基準が定められています。
色付きの窓に囲われた甘味料のうち、合成甘味料は一番下だけ。それ以外の甘味料は全て天然由来です。RIZAPで使用されたのは糖アルコールの「エリスリトール」。キノコやワインなどの発酵食品にも含まれます。甘みは砂糖の75%程度ですが、カロリーはなんと100gで0.24kcal。成分表示では糖質量を稼いでしまいますが、摂取しても血糖値に影響がないため、実際は熱量ゼロなのです。
これでRIZAPの意味深な表示(エリスリトールを除いた糖質量)の意図がわかりました!
お気に入りはどれ? 甘味料で傾向を知る
以上の知識を踏まえ、もう一度プリンの甘味料を見比べます。
①エリスリトール・砂糖・カラメルソース
②エリスリトール・メープルシュガー
③砂糖・カラメル・粉あめ・ソーマチン・アセスルファムK・スクラロース
④砂糖・粉あめ・加工黒糖・アセスルファムK・ソーマチン・スクラロース
⑤砂糖・ブドウ糖果糖液糖・カラメル・粉あめ
緑=糖アルコール
橙=天然由来の甘味料
青=合成甘味料
色分けしてみると、各社のプリンの特徴が見えてきます。すなわち、
・RIZAP商品の①・②
→糖質表示では不利だが、実質糖質量がほとんどない糖アルコールでカロリーカット
・ロカボマーク付きの③・④
→高い甘味度がある合成甘味料で糖質を補うことでカロリーカット
・タニタブランドの⑤
→天然由来の甘味料しか使わず健康に最大限に配慮
といった調子です。低糖質・低カロリーだけでみるならロカボマークですが、天然甘味料を重視する人ならタニタの⑤を選ぶでしょう。糖アルコールに抵抗がないならRIZAPの①②も選択肢に含めることができます。甘味料から、各社が消費者のどこにアピールしたいかということも見えてきました。
甘味料の知識はプリンに限らず役立ちます。コンビニやスーパーでダイエット商品が大量に流通する時代です。糖質制限を気にする人なら、「0kcal」と主張するデザートの糖質量に戸惑ったこともあるかもしれません。そんな時、見るのが数字だけなのはもったいない! 成分表示を判断基準に含めることで、新しい発見があるかもしれませんよ。