現代のビジネスパーソンは、時間の「効率化」を迫られています。限られた時間の中で、いかに成果を出していくか?これが日本のビジネスパーソンが直面している緊急の課題といえます。
ビジネスのDX(デジタル・トランスフォーメーション)化やデジタル化が進んだことで、「仕事ができる人は、時間をどのように費やしているのか?」を追跡することが可能になりました。
そこで明らかになったのは、成果を出し続けている人は、一般社員と比べて、「すぐに仕事を始める割合が1・8倍から2・3倍も高い」ということです。 仕事ができる人は、動き出しの重要性を強く意識しており、「初速が早い」という顕著な特徴が浮き彫りになりました。
また、カナダのカルガリー大学のピアーズ・スティール教授の研究によって、「先延ばしはタスクの達成率を低下させる」ことが明らかになっています。これは早くタスクを始める人は、達成率が高いことを証明しており、「初速が速い」=「成果が出る」という図式が成立することを物語っています。
「初速」が上がると、締め切り前に作業を終えることが可能になり、次のタスクの初速を早めることができます。次のタスクを早く始めることができれば、余裕を持って取り組むことができるため、成果を引き寄せることにつながります。
「初速を早める」→「次のタスクの初速が早まる」という好循環を作り出すことが、時間をかけずに多くの成果を出し続けることを可能にしてくれるのです。
『ポケモンGO』のデザイン思考

初速の早さが効果を生んだ成功例といえるのが、2016年に発売されて世界的な大ヒットとなったスマホ向けの位置情報ゲームアプリ『ポケモンGO』です。
このゲームアプリは、発売1カ月で5億人がユーザー登録したといわれていますが、発売当初はバグ(不具合)が多発したことを記憶している人もいるのではないでしょうか。
通常、人気ゲームアプリは完成から3~4年かけて検証→改良→検証を繰り返し、万全の体制を整えてから発売されますが、『ポケモンGO』は完成から2週間くらいでリリースされ、異例の早さでユーザーの元に届けられています。
『ポケモンGO』は米国ナイアンティック社と日本の株式会社ポケモンが共同開発したものですが、彼らの戦略はゲーム業界にとって画期的なものでした。一般的には発売前に実施する検証作業をリリース後に回して、ユーザーからのフィードバック→修正→フィードバック→修正……という手法で改良を重ねていき、結果的に何十億人というユーザーの獲得に成功しているのです。
現代は価値観が多様化していますから、発売まで3~4年もかけたのでは、ユーザーのニーズが変化してしまう可能性があります。彼らはアプリの精度が6~7割の状態でいち早く市場に送り出し、その後に修正を繰り返すことによって大きな成果を上げています。
『ポケモンGO』が世界水準のコンテンツだったことはもちろんですが、こうした革新的な方法論は、現代のビジネスで成果を出すための有力なフォーマットとなっています。
短期間のうちにプロトタイプ(試作モデル)を作り上げ、ユーザーの視点で課題を見つけてサービスやプロダクトをブラッシュアップ(改良)する……という方法論は、「デザイン思考」と呼ばれています。
デザイン思考がビジネスの世界で注目され始めたのは、「グーグル」や世界最大級のビジネス特化型SNSを運営する「リンクトイン」といった米国シリコンバレーのIT企業が台頭した2000年前後からで、現在では中国の大手家電メーカー「シャオミ」など、世界の多くの企業がこの手法を取り入れています。
このデザイン思考は、現代のビジネスパーソンが仕事を進めていく際にも極めて有効であり、初速を早めることの効果を十二分に引き出すことになるのです。
『仕事は初速が9割』(著:越川 慎司)より
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