「疲れやすい人の食事 いつも元気な人の食事」(著:柴崎真木)より
「カロリーゼロ」の本当の意味とは?
清涼飲料水に限らず、最近はアルコールでも糖類ゼロ、カロリーオフなどの飲料が増えてきています。糖質制限ダイエットの流行もあり、需要も高いのでしょう。日ごろから体重管理をしているアスリートも、どうしても甘いものが欲しいときに、カロリーオフの清涼飲料水を飲んでいることもあります。カロリーゼロの飲料や食べ物について、よく質問されるのが、「カロリーゼロは本当にゼロなのか?」ということです。
カロリーオフやカロリーゼロの表記は、食品表示法の栄養表示基準によってルールが決められています。カロリーオフは100ミリリットルあたり20キロカロリー以下のもの、カロリーゼロは100ミリリットルあたり5キロカロリー未満のものに表記することができます。ですから、厳密にいうとカロリーゼロやノンカロリーといえど0キロカロリーではないこともあるということです。
「カロリーゼロ」に使われる人工甘味料は、食欲を増進する!?
カロリーゼロにするためには、まずは砂糖などの糖質を減らす必要があります。そこで使用されるのが人工甘味料です。砂糖や異性化ブドウ糖(果糖ブドウ糖液糖など)を減らす目的で使用するサッカリン、アスパルテーム、スクラロースなどの人工甘味料は、種類によって異なりますが、いずれも砂糖の200~700倍もの甘さをもっています。これらを薄めて使用するのですが、人工甘味料の強い甘味に慣れると、味覚を感じる舌の味蕾の働きが鈍くなるため、より強い甘味でなければ満足できなくなります。そうすると、どんどん摂取量が増えたり、他の甘いものが欲しくなったりして、結果的に甘いものを食べすぎてしまうことにもつながります。
甘みを感知するセンサーは、舌だけでなく、胃腸やすい臓にもあります。胃で甘味を感知するとグレリンというホルモンが分泌され、脳の視床下部にある食欲中枢を刺激します。その結果、食欲が増してしまうのです。
糖アルコールが糖代謝異常につながる!?
人工甘味料以外にも、砂糖の代わりにソルビトールやエリスリトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコールを使用することがあります。これらは飲料より菓子類のほうが多いかもしれません。
エリスリトール以外の糖アルコールは、砂糖ほどではありませんが血糖値を上昇させます。ですから、とりすぎれば当然太りやすくなります。また、糖アルコールは消化されにくい性質があり、下痢をしやすいという点でもとりすぎには注意が必要です。
イスラエルの研究では、試験管内で人工甘味料を加えて腸内細菌を培養し、その腸内細菌を細菌のないネズミの腸に移植したところ、血糖値を下げる反応が出にくくなる耐糖能異常が起こることがわかりました。ヒトを対象にした実験でも人工甘味料を1週間摂取したところ、何人かは腸内細菌が変化し、耐糖能異常が起こったそうです。
他の研究では、スクラロースを与えたネズミは腸内細菌の、特に善玉菌が減少するというものもあります。人工甘味料のとりすぎは、腸内環境の悪化や糖代謝異常にも影響がありそうですね。これらの研究は、さらに多くの検証は必要だと思われますが、人工甘味料を必要以上にとることは避けたほうがよさそうです。
やめられないダイエット飲料。断つコツは?
どうしてもやめられないという人は1週間だけでも我慢してみましょう。清涼飲料水の代わりにミネラルウォーターや麦茶などにすると、最初の3日ほどは正直つらいです。しかし、1週間もすると慣れてきて、これまで飲んでいたダイエット飲料や清涼飲料水の甘さがしつこく感じてしまうようになります。ダイエット飲料ではありませんが、砂糖入りの缶コーヒーを毎日飲んでいたサラリーマンが、コーヒーをミネラルウォーターに変えただけで、1か月で5キログラムもの減量に成功しました。甘いものはホッとしたり、リラックス効果もありますが、とりすぎて健康を害したり、疲労感がとれなかったりしたら逆効果です。
人工甘味料を控えて、自然な甘みのデザートを楽しもう!
また、同じ甘いものを食べるなら、できるだけ高級なお菓子を食べるようおすすめします。高価なお菓子がすべてそうとは限りませんが、良質の卵や小麦粉、砂糖などを使った自然の甘味のお菓子は、本来持つ正しい味覚に気づかせてくれます。少量で満足できる本物の味を、ゆったりした気持ちで楽しむほうがストレス解消にもなるのではないでしょうか。
ご褒美のデザートは、思い切って良質なものを!
いかがでしたか?甘いものが大好きなアスリートも、大きな試合の前や集中してトレーニングするときは節制し、ときどきご褒美に本当においしい甘いものを少し食べて、次の目標に向けてがんばります。このように、メリハリをつけて食事を楽しむ姿勢を見習って、ストレスなくダイエットしましょう!
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