習慣を定着させるために「段階」を知ろう
早起き、ダイエット、禁煙など、様々な習慣化にチャレンジしながら、成果を上げられなかった経験をお持ちの方、たくさんいると思います。そして、「習慣を定着させることは難しい」という印象をお持ちの方も多いと思います。
良い習慣を習慣化していくためには、重要なポイントがいくつもあります。
この記事でご紹介するのは、「習慣化への段階を知る」ということ。
習慣化の段階とは、物事の習熟の段階に似ています。習慣を定着させるためには、この段階について知ることはとても重要です。
「無意識→意識→無意識」の流れ
上の図の通り、習慣化には「無意識→意識→無意識」の流れがあります。
面白いもので、習熟段階は「無意識レベル(知らない)」から始まって、それが「意識レベル(知っている、できる)」に変わり、習熟が進んだ段階では、また「無意識レベル(やっている)」になっていくという流れがあります。
無意識レベルを目指す
突然ですが、歯磨きをする仕草をしてみてください。おそらく、慣れたものなので、他のことを考えたりしながら、ほとんど無意識でこの歯磨きができると思います。これが図の一番右、「やっている」の段階。
では、今度は反対の手で磨く仕草をしてみてください。どうでしょうか? 何か違和感があるのではないでしょうか?
「ちゃんと歯の裏側を磨けているかな?」とか、「一番奥の歯には、毛先が届いているのかな?」とか、いろいろ考えながら磨いていたりするのではないかと思います。
これは、図の中にある「知っている」から「できる」の間くらいの状態。しっかりと歯ブラシの動きを意識しながらやらないと、上手くいきません。まだまだ習熟からは程遠い状態だからです。
しかし、これを何日も続けることによって、いつしか違和感も消え去り、やがて「できる」から「やっている」の状態になり、無意識でできるようになってきます。このほとんど無意識でできているレベル「やっている」が、極みの状態に入ってくると、プロフェッショナルというレベルに到達します。
「やっている」を目指せ!習慣化における4ステップ
さて、この習熟段階を「ダイエットのための食事習慣を定着させる」段階と置き換えると、以下のようになります。
①第1の段階:「知らない」
ダイエットのための食事習慣には、さまざまな方法とその効果があります。
しかしこの時点では、まだそれらを知りません。「知らない」状態で、かつ「無意識」です。
②第2の段階:「知っている」
食事習慣について勉強すると、それらの習慣と、その効果を「知っている」という段階になります。
この時点では、それを既に「知っている」ので、そのことに対して「意識」が向いています。意識はしているのですが、「習慣化」はしておらず、それに対してまだ不慣れな状態です。
世の中の勉強や読書は、この「知っている」の段階に留まることが多いのが現実です。習慣化についても、学んだはいいが、知識レベルに留まるだけでは、ちょっともったいない。この先の「実践」に移行することが、その知識を実のあるものにしていきます。
③第3の段階:「できる」
習慣化するために、日々そのことを繰り返し始めている段階です。
これは、「実践」に一歩踏み出している段階。何回かやっているので、それができるようになっている反面、まだ意識してこなしている段階です。そして、継続する意志の力が必要な段階で、言わば、定着の最中です。
この段階が大変だと、多くの人が続かなくなってしまいます。こちらの記事では、この段階で多くの意志の力を必要とせず、簡単に定着させていく方法をお伝えしています。
④第4の段階:「やっている」
繰り返しの日々が、何十日も何百日も過ぎ、”やっているのが当たり前”になっている段階です。
ここまで来たら、もう意識してやっているというよりは、「無意識」に近い状態でやっている感じになっています。「習慣化できている状態」といってもいいでしょう。習慣化とは、意志の力をほとんど働かせる必要なくやっている状態なのです。だから、ここまで来ると、日々自動的に習慣行動が行われていきます。
この「やっている」という段階は、「知っている」という段階とは雲泥の差があります。「知っている」という段階に留まることなく、「やっている」に到達するために、どう実践したらいいかをご紹介した記事がありますので、参考にしてください。
違和感は変化の兆し!前向きに捉えよう
先ほどの例にあるように、習慣化に向かう段階の中——特に「知っている」から「できる」という段階で起こってくるのが、”違和感”。慣れていないものをやろうとするから、当然起こりますよね。
違和感がある毎日は、あまり心地良くない状態かもしれません。しかし、違和感があるということは、新しいことに取り組んでいる証。そして、この違和感がなくなってくることが、無意識的に「やっている」状態に一歩近づいたことを表すバロメーターでもあります。
「習慣化への取り組みを始めた結果、違和感のある1日」というのは、それだけチャレンジをしている証拠であると言えます。これはむしろ歓迎すべきことです。
違和感というと、ネガティブなワードととらえがちですが、それはチャレンジの証であり、変化の前兆でもあるのです。
習慣の断捨離をしよう
良い習慣をつくると同時におすすめするのが、「不必要な習慣をやめる」こと。
これは、「必要なことだけに集中する」ということでもあります。言わば、習慣の断捨離。いらない習慣を断ち切ることによって、それによるマイナスの影響をなくすだけでなく、時間や労力・お金の余裕が生まれます。
良い習慣を1つ見つけ、実践していくと、それがスイッチとなって他の習慣にも意識が向いてきます。良い習慣を身につけると同時に、「本当は不必要な習慣」がなくなっていくことも実感できるでしょう。
あらかじめ、このような不必要な習慣をリストアップしておき、良い習慣を1つ身につけるとそれらがどうなるか、観察するのもいいですね。順調な連鎖反応が起こっていることが確認できるはずです。
断捨離の例えとして、家の中のことで見ていきましょう。
まったく使っていない大きな健康器具が、家の中に陣取っているとします。
これによって、圧迫感があったり、手狭感があったりするだけでなく、「いつも買っただけで使わずじまい」という自己否定感が、この健康器具と感情的に結びついていたりします。そして、これが視界に入る度に何とも言えないダメな気分になるのです。
それでも、「でもせっかく買ったのだから捨てるのはもったいない」という思いのもと、その健康器具はいつまでも家庭の大事な場所に鎮座し続けます。
ここで、これを思い切って断捨離するとどうでしょうか?
マイナスのイメージと結びついたものの存在がなくなり、家の中にはスペースが生まれます。
不必要なものがなくなったことにより、大事なものが入ってくることができる余裕ができるのです。あえて何も置かないという選択もできますし、代わりに素敵なインテリアを置いて、部屋の雰囲気を一新するという選択も可能。
このように断捨離することによって、新たな展開が生まれます。習慣も同じ。不必要な習慣を手放すことによって、心のスペースができ、新たな習慣を始める余裕が生まれます。
習慣をコントロールして戦略的な生き方を
「戦略」という言葉があります。いろいろな定義がありますが、単純に言うと、「何をやって何をやらないかを決めること」。これは、自分にとって何が大事で、何が大事ではないかがわかっていること、つまり、自分の軸が定まっているということです。
断捨離をすることはまさに戦略。良い習慣をつくっていくと同時に、不必要な習慣をやめていくというのは、自分の軸に沿った非常に戦略的な生き方と言えます。こんな生き方をするためにも、習慣化というものがしっかりとパワーを発揮します。
関連書籍のご案内
記事の内容を知りたい方はこちらの本をお読みください。