「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より
睡眠効率ってなに?
睡眠効率とは、「就床時間に対する睡眠時間の割合」のこと。
当然ながら、「ベッドの中にいる時間」と「実際の睡眠時間」には違いがありますよね。早くベッドに入ったからといってすぐに眠れるとは限りません。ベッドの中にいる時間が長くても、眠るまでの時間「入眠潜時」が長ければ、充分な睡眠時間が確保できているとは言えないのです。
たとえば「夜中に目が覚めてしまう」、「横になってもなかなか眠れない…」というような自覚症状がある場合は要注意! ずばり、”睡眠効率が悪い”と言えます。
「たっぷり寝ても疲れがとれない」のは睡眠効率のせい?
睡眠効率が悪いと、心身ともにさまざまな弊害が出てきてしまいます。例えば、
・脳の疲労が回復しないので、判断力や集中力が鈍り、仕事の効率が下がる。
・睡眠不足の状態が長く続くと脳へのストレスも大きくなり、心を不安定な状態にさせてしまう。落ち込むと気持ちを切り替えるのに時間がかかってしまったり、何事もマイナス思考に考えてしまったりと、うつ状態になってしまう可能性も。
・身体の疲労をきちんと回復させられないので、ホルモンの分泌が正しくされなくなり、筋肉の修復や脂肪燃焼がうまく機能しない。
などなど、仕事から私生活まで、多岐にわたる悪影響が……。
「たっぷり寝ているのに疲れがとれない」のは、睡眠効率が悪い、つまり本当はよく眠れていないせいかもしれません。
睡眠効率の計り方
さて、はたして自分の睡眠効率はいいのか悪いのか、気になりますよね。
睡眠効率を正しく測るには通常「睡眠ポリグラフ」といったものを利用しますが、簡単に自分でできる計算式もあります。
睡眠効率そのものが主観に基づくもののため、正確ではありませんが、自分の睡眠がどれくらい効率良くとれているものなのかを目安として知ることができるでしょう。
具体的には、以下の計算式で算出します。
「実際に眠ったであろうと思う時間」÷「横になっている時間」×100
たとえば、夜11時に床に就き朝7時に起きたとすれば、横になっていた時間は8時間。そのうち途中で目覚めたり寝付けなかったという自覚症状分を2時間と仮定し差し引くと6時間になります。
「実際に眠ったであろうと思う睡眠時間6時間」÷「横になっている時間8時間」×100=75%
睡眠効率の良し悪しを決めるラインは85%と言われているので、この場合はやや効率が悪いと言えます。
この他、最近では「Sleep Meister(スリープ・マイスター)」「Sleep Cycle(スリープ・サイクル)」などの無料アプリを利用して睡眠効率を知る方法もあります。また、24時間手首などに装着して、睡眠や脈拍などの身体活動を簡単に記録することができる機器も多く登場してきています。興味のある方は、一度試してみるといいかもしれません。