食品に技術革新の波がきている今、「完全食」(=一品で必須栄養素を完全に摂れる食品)が盛り上がっています。「自炊する時間がない」「栄養バランスを考えるのは難しい」……そんな悩みを、極限までミニマルになった食事が解決してくれるかもしれません。 本連載「食べてみたシリーズ」では、様々な新食品を徹底検証。調理過程や実食レポで、その実態に迫ります。
健康管理に役立つ食品を実際に食べてみるこの連載。第一回では水に溶かして飲むだけで一食分の栄養が取れる「COMP」を、第二回では健康にいいラーメン「BASE RAMEN」をご紹介しました。
第三回の今回はベースフード社の主力商品「BASE PASTA」を「COMP」と徹底比較。成分表示表からそれぞれの得意分野を探ります。
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BASE PASTA(ベースパスタ)とは?
前回ご紹介したBASE RAMENでも使用されているBASE PASTAは、ベースフード(BASE FOOD)が2017年2月に発売した完全栄養食です。「手間をかけずに栄養バランスのいい食事をとりたい」という需要に応え、10種類以上の食材を練りこんだブレンド麺を使用。たんぱく質、ミネラル、ビタミンなど 31種類の栄養素を1食で摂取することができます。
もともとパスタは短時間で調理でき、1品で食事として成立しやすいのが特徴。「手早くシンプルに」がコンセプトの完全食に合致します。
◆参考サイト「完全食 BASE PASTA」(BASE FOOD)
BASE PASTAとCOMPの違い
現在日本で「一品だけで栄養が摂れる完全食」を実現しているのはCOMPとBASE PASTA。どちらもパンや米など毎日食べる主食のように、アレンジの幅が広がるニュートラルな商品を目指しているようです。しかし、栄養価のグラフを見ると注力している栄養素に違いがあるように見えます。
COMPでは1日の平均必要カロリーを、BASEPASTAでは1食あたりの推奨摂取量を基準にグラフが作られているため、このままでは比較することができません。
そこで「1食あたりの成分表示」を比較することにしました。
1袋あたりの栄養素を比較すると、BASE PASTAはCOMPに比べカロリーを抑え、さらに「高タンパク・低脂質・低糖質」を意識していることがわかります。
漠然と「手軽さ重視ならCOMP、食べる楽しみ重視ならBASE PASTA」というイメージはありましたが、成分表示を比べることで違いがハッキリしました。つまり、
COMP→「とにかく食事の時間が惜しい」と考え、最低限の健康を維持するエネルギーをすぐに摂りたい人向け
BASE PASTA→「食事を機能的にしたい」と考えつつ、過剰なエネルギー摂取に悩む人向け
と言えます。
COMPは趣味・仕事に没頭して寝食を忘れてしまうような人に、BASE PASTAは健康維持だけでなく減量を意識する人、つい過食しがちな食習慣を変えたい人にオススメです。
豊富な食物繊維
さらに注目したいのは、BASE PASTAの食物繊維量「8.4g」。なんと1食で食物繊維が COMPの2倍以上摂れるのです。この数値はごぼう(100g)の食物繊維量6.1gと比べてもかなり優秀と言えるでしょう。
ちなみにキャベツ(100g)の食物繊維量は1.8g。コンビニで買った100gの千切りキャベツを貪るより、BASE PASTAを食べたほうが食物繊維が摂れるということですね。
日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、成人男性の理想的な食物繊維摂取量は20g以上、成人女性は18g以上と定められています。しかし平成29年の厚生労働省調査では日本人の平均食物繊維摂取量は11g〜17gの間におさまり、理想値には届いていません。意識的に摂取しなければ簡単に「食物繊維不足」になる現代、1食で理想値の半分近い食物繊維が摂れるBASE PASTAは心強い存在です。
◆参考リンク「日本人の食事摂取基準|厚生労働省」「平成29年「国民健康・栄養調査」」
BASE PASTAを作ってみた
BASE PASTAの特徴がわかったところで、実際に調理してみます。
注文したのは「BASE PASTAおためしセット」(税込980円)。
麺の種類は「スパゲッティ」「フェットチーネ」の2種類。スパゲッティは1食122g・茹で時間1分。フェットチーネは130g・茹で時間2分です。茹で時間の差は細麺・太麺の違いでしょうか。
BASE PASTA 調理方法
BASE PASTAもBASE RAMENと同じく簡単に調理できます。
①スパゲッティタイプの麺を1分茹でる
②レトルトソースを沸騰した湯で温める
③麺とソースを絡める
まずはスパゲッティタイプ(細麺)に付属ソース「今井シェフ特製ポモドーロ」をかけてみました。
今井シェフ監修の本格的なポモドーロソースとのことで、ソースの糖質量も9.1gと控えめにされているそうです。
さっそく実食。
トマトの食感を残したソースに高級感があります。一口食べると……BASE PASTA用に開発されたというだけあって、複雑な味が口内に広がります。料理人の繊細な味覚を基準にしているからでしょうか、単純に「わたしはトマトです!」と主張するだけの味でないことだけは確かです。
筆者はあまり料理に凝らないので、トマト缶をそのまま食べることもあります。しかしこうした複雑な味の料理を食べると、料理というものが「食べられるように加工した食物」ではなく文化の結晶であったことを思い出しますね。
「手早く栄養摂取」というと単調な食事のイメージが湧きますが、この「今井シェフ特製ポモドーロパスタ」を食べるとリッチな気持ちに浸れます。少なくとも筆者のQOL(生活の質)はかなり上がりました!
さすが、シェフの料理は一味違います。
味の個性が強いと言われるBASE PASTAの麺ですが、ソースの味と喧嘩することなく共存しています。ソースと麺が十分に絡み合い、味がばらけません。
黒い粒のちらばった麺に栄養がぎゅっと閉じ込められているのだと思うと感慨深いです。よく噛んで味わいたくなる、ひとくちひとくちの満足感に溢れた麺だと思います。