「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より
・肩こりがひどい。
・上半身が貧相に思える。
・体型にメリハリがない。
そんな人に効果があるのは、ズバリ「上半身筋トレ」! 今回は上半身筋トレの効果を部位別に解説。更に、お手軽上半身エクササイズを4つ、厳選してご紹介します。
(体全体をバランスよく鍛えたい方はこちら→はじめての筋トレ入門 最強効率たった3つのルール)
肩こりの原因は筋肉不足
いくらマッサージをしても、すぐに肩が痛くなる。慢性的な肩こりに悩む人は多いものです。実はこれ、筋肉不足と深い関係があるんです。
そもそも、肩こりの原因は筋肉の萎縮にあります。肩甲骨周りの筋肉が萎縮すると、肩関節の動きが鈍くなり、肩こりが起こるのです。肩甲骨は胴体と腕をつなぎ腕の動きの中心となる部分。ここを動かさないと、周囲の筋力が衰え、硬くなり、血行不良を引き起こします。肩甲骨と肩関節のスムーズな動きができなくなり、こりや痛みとなって現れるのです。
私たちの生活に馴染み深い肩ころですが、放置は禁物。放っておくと、体全体のゆがみや不調が引き起こされてしまいます。
肩こり予防・解消にこそ筋トレ
肩こりの予防・解消に効く動きは共通しています。ポイントは、肩全体を大きく動かすこと。日頃から、柔軟性を高めるためのメンテナンスを施しておくことが大切です。では、具体的にどの部位を鍛えるべきなのでしょうか。この項では、肩こりに関係する筋肉の部位をご紹介します。
【三角筋】(さんかくきん)…肩の側部に位置する三角形型の筋肉。
僧帽筋とともに肩甲骨を安定させる働きがあります。
【僧帽筋】(そうぼうきん)…首から背中にかけて広がる三角形の筋肉。
肩こりの主な原因となる部分です。
【回線筋群】(かいせんきんぐん)…肩のインナーマッスル。
肩関節を安定させる働きがあります。
鍛える時間の狙い目は、デスクワークの合間や休憩時間、寝る前などの隙間時間。肩関節とセットで動いている肩甲骨まわりをほぐすことが重要です。肩を上げたり下げたり前後へ動かすと肩全体が大きく動き、よくほぐれます。このとき腕の動きも連動させると効果が上がります。
肩こり解消には、全身運動かつ有酸素運動である「水泳」もおすすめです。血行促進、乳酸燃焼などの効果があるだけでなく、インナーマッスルも鍛えられます。何より クロールや背泳は肩周辺の筋肉を無理なく動かせますし、マシンを使った筋トレのよう に負荷がかかりすぎて筋肉を痛めてしまうリスクもありません。
たくましい上半身でスーツを着こなす
また、男性ならがっちりとした腕と胸板は男性らしさの象徴。これがあるかないかで、スーツの着こなしが一味も二味も違ってきます。一流のビジネスパーソンを目指すなら、スキルに加えて見た目のかっこ良さも必要です。スーツの似合う、鍛えられた上半身をつくりましょう。
たくましい上半身が欲しいなら、鍛えるべき部位は次の4つです。
【大胸筋】(だいきょうきん)…胸板を形成している胸部表層の筋肉。
日常生活では、胸の前でモノを抱える、 つり革につかまる、モノを前方に押すときなどに使われます。
【広背筋】(こうはいきん)…背中側からわき腹のあたりに存在している筋肉。
腕を体に引き付けたり、物を引っ張るようなときに強い力を出すために、広背筋の筋力が重要になります。
【上腕二頭筋】(じょうわんにとうきん)…通称「力こぶ」をつくる筋肉。
肩関節とひじ関節をまたぎ、ひじ関節の 中で最も強いとされています。
【上腕三頭筋】(じょうわんさんとうきん)…腕を伸ばした時によく浮き出る筋肉。
上腕二頭筋とともに鍛えることで より太い腕をつくることができます。
「大胸筋」と「広背筋」は、上半身の筋 肉量(全身の25 %)の中で最もボリュームがあるとされています。この2つを優先的 に鍛えることで上半身の最低限の筋力をキープすることができます。
「大胸筋」と「上腕二頭筋」はスーツやTシャツを着たときに最も目立つ部分なので、日頃から鍛えておく必要があるでしょう。
・腕立て伏せ…大胸筋や上腕二頭筋を鍛えられる代表的な筋トレです。
・懸垂…太い腕と逆三角形の背中をつくれます。
お手軽!上半身エクササイズ4選
水泳、腕立て伏せ、懸垂……。体育の授業がよみがえるラインナップですね。
「今さら家で腕立て伏せや懸垂をするのはかったるい」
「水泳ができるような時間なんてない」
そんな声が聞こえてきそうです。そんな方には、立ったまま、あるいは椅子に座ったままできるエクササイズがおすすめ。
次に紹介する4つのエクササイズで、お手軽に筋トレしちゃいましょう!
肩こりに効くエクササイズ
その1
①足を肩幅程度に開いて真っ直ぐに立ちます。
② ゆっくりと息を吸い込みながら、できるだけ高く肩を上げます。
③息を吐きながらちから を抜いて、肩を落とします。
④これを繰り返し てください。
その2
①足を肩幅程度に開いて真っ直ぐに立ちます。
②両手を肩に乗せます。
③腕を前に10回、回していきます。(肩甲骨の動きを意識しながら、肘で円を 描くようなイメージで。)
④回す向きを変えて、同じように10回程度、腕を後ろに回しましょう。
たくましい上半身のためのエクササイズ2選
その1
①両足を肩幅に開いて立ちます。
②胸の前で左右の手のひらを合わせ硬く握ります。
③肩を後ろに引くようにして胸を張りながら、両手を思い切り内側に押します。
呼吸は止めずに、このままの状態で10秒ほど静止してください。
④何度か①〜③までを繰り返したら、今度は胸の前で左右の指を軽くひっかけます。
⑤肩を下げ、手の指を思い切り外に引っ張ります。呼吸は止めずに10秒ほど静止します。
その2
①椅子に軽く腰掛けた状態から、腕を伸ばして体と床が垂直になるようにしてください。お尻は軽く浮かせます。
②肘が90度に曲がるまで身体を真下に沈めて、戻ります。
③これを繰り返します。バランス を崩し転倒をしないよう気をつけてください。
いかがでしたか?これらの筋トレは、場所を選ばず簡単に上半身の筋肉を鍛えることができます。まさに忙しいビジネスパーソンにぴったり! 隙間時間を有効活用して、疲れ知らずのかっこいい上半身を手に入れましょう。
関連書籍のご案内
記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。