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あなたの歩行速度は?寿命にもつながる運動の大切さ

運動する人、しない人

あなたは定期的に運動していますか?
「昔は運動していたけど、社会人になってから運動しなくなってしまった」、あるいは、「忙しくて今はそれどころじゃない、そのうち暇ができたら始めるつもり」、そんな方も多いのではないでしょうか。

しかし年齢を重ねれば重ねるほど、運動の重要性は増してきます。いま、運動をして体を鍛えていなかったことが、十年後、二十年後に響いてくるとしたらどうでしょう?未来の自分のために、運動しておかないとな、という気にはなりませんか?

運動というと敷居が高く感じてしまう方もいるかもしれません。それならば、日常生活の中でのほんの少しの意識変化でもかまいません。

例えば、
「いつもはエレベーターだけど、階段を使うようにする」
「散歩ついでにひと駅前で降りて歩いて帰る」

このようなことからはじめるだけでも、かまいません。運動を多少でもしているか、していないか。それが大きな違いとなってくるのです。
次の項目からは、運動が寿命と重大なかかわりがあることをご紹介しましょう。

 

普段の歩行速度で寿命が決まる

あなたは、いつもどのくらいのスピードで歩いていますか?おそらく、あまり意識したことはないのではないでしょうか。

一般に、平均的な歩行速度は1時間に約4㎞、ちょっと速い人は時速5~6㎞くらいだといわれています。不動産の広告で、よく駅から徒歩5分などと表示がありますが、あれは1分で80m(時速4・8㎞)というすこし速い歩き方が基準になっています。速く歩こうがゆっくり歩こうが、そんなのは個人の自由じゃないかと思う人もいるかもしれません。でも歩く速さによって寿命が変わると聞いたらどうでしょうか?

高齢になって歩く速度が遅い人の寿命は短い。
これを報告したのは、フィンランドの研究チームです。彼らは75歳の高齢者を対象に歩くスピードについて5年間の追跡調査を実施し、次のような事実を突き止めました。

・80歳までの5年間、加齢とともに歩くスピードは男女とも明らかに低下していた
・5年間の調査期間中に死亡した人たちの75歳当時の歩くスピードは、平均値よりもはっきりと遅かった
・そのスピードは、80歳になってから測った人(80歳まで生きた人)の平均値と同じ程度だった

歩くスピードは齢をとるにつれて遅くなるものですが、平均より遅い人はそれだけ寿命が短い傾向にある。この報告が言わんとすることは、つまりそういうことです。

Senior couple mountain biking on a forest trail, low angle

 

歩行スピードと生存率

アメリカでもとても興味深い研究報告がされているので、ご紹介しましょう。こちらは約3万4000人を21年間追いかけるという大掛かりな調査なだけに、余計に説得力があります。具体的には、65歳以上の平均時速3・3㎞(秒速0・92m)に対し、秒速1m以上で歩く人は長生きしたという結果が得られたそうです。これはフィンランドの研究報告と同じです。
要約すればこうなります。

・歩行スピードと生存率には深い関係がある
・歩行スピードが速い人ほど高齢になっても生存率が高い

この結果をしると、普段から歩くスピードを意識して、健康で長生きを目指したいと思うものです。そのためには、将来を見据えて足腰を鍛えておくことが大切です。

Senior man on his mountain bike outdoors in forest on a lovely summer day, staying active

 

高血圧・重大病を撃退!

また重篤となる心臓病、脳卒中、腎臓病などの深刻な病気の引き金となる高血圧。これを改善する処方としても運動は重要です。
研究をいくつかご紹介しましょう。

まず、血圧が境界領域(収縮期血圧:130~159mmHg、拡張期血圧:85~99mmHg)にある閉経後の女性を対象とした研究では、1万歩近く歩いた集団は明らかに血圧が改善したという結果があります。

また、米国のミシガン州で実施された大規模研究「ヘンリー・フォード運動試験」では、脈が普段より少し速くなるくらいの速さで歩く、「少しきつめのウォーキング」を実施、高血圧の発症率が30%減少したことが明らかになりました。この研究では、ウォーキングに加えて、水泳やサイクリング、ウェイトトレーニングなど、さまざまな種類を組み合わせるとより効果的であることも報告されています。

Large group of happy enthusiastic elderly ladies exercising in a gym sitting in chairs doing stretching exercises with rubber bands.

 

日々の生活に運動を取り入れよう

ウォーキング・ランニング適度な有酸素運動には、上で紹介したように、寿命と密接な関係があり、高血圧の改善、血糖や血中脂質の値を改善させる効果があります。

糖尿病は高血糖が持続する疾患で、動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞、最小血管障害による網膜症、腎症、神経障害など、多くの合併症を引き起こします。また、歯周病、アルツハイマー病、認知症、がん、骨粗しょう症、うつ病などの発症頻度を高めることもわかっています。

また、「両足は2人のお医者さん」と言われるように、走ったり歩いたりすることは糖尿病の発症を抑えるためにも重要です。

より、その効果を高めるためには、1回30~60分程度、最低でも週2~3回を継続する必要があります。また、激しい運動は活性酸素や乳酸値を高めてしまう危険性があるので、40~60%程度の運動が適しています。

このように運動が大切であるということを、ぜひみなさんも覚えておいてください。

「走れば脳は強くなる」(著・重森健太)より

 

『走れば脳は強くなる』(重森健太)

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