「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より
「話を聞いてもらうこと」が一番
ストレスがたまったとき、みなさんはどうしていますか?
買い物や趣味など自分なりのストレス解消法を持っている人も多いでしょう。
しかし、そうでない人は、とりあえず気のおけない友人と食事でもしながら話を聞いてもらってください。
うつ病予防の1つとして、「人と話すこと」「愚痴を言うこと」があるように、自分の話に共感し受け止めてくれる友人がいるというのはそれだけでストレス回避になります。
自分が話すだけでなく、その先輩の経験を聞きながら自分の考えを振り返るクセがつくので、自然とストレス耐性がついてくるはずです。
「メンター」とは?
さり気なく、根気強く話を聞いてくれる。
そしてときには考え方の矛盾や不合理な点をうまく指摘してくれる人のことを「メンター」と言いますが、こうした存在を持っているか否かでストレスとのつき合い方は大きく変わります。
職場の同僚でもかまいませんが、違う業界や職種で、自分とは異なる視点や意見を持っている人の方がおすすめです。
できれば、経験豊富な先輩がいいでしょう。
どうしてもメンター的な存在がいないという場合は、親きょうだいと話をしてみてください。
意外と頼りになるのは、叔父や叔母です。
自分よりは確実に経験値がありますし、腹を割って話すことで新たな発見があるかもしれません。
キャリアの相談は「ウィークタイズ」に
転職や昇進、異動などキャリアのことで悩んでいるときには、「ウィークタイズ」なる存在があなたを助けてくれるでしょう。
アメリカの社会学者グラノヴェッターが1983年に提唱した言葉で、「たまにしか会わないけれど信頼する人との細く長い関係」のことを意味します。
メンターに通じる部分もありますが、自分の職場や職種とは違う世界に身を置く友人、いつも会っているわけではないのに不思議と信頼できる人間との関係は、職務知識や経験にも勝る資産とも言えます。
なぜなら、こうした関係性を広く築くことで、日常のパターン化された思考と偏った行動に埋没していくことを防げます。
そして、悩んだときに相談できるウィーク・タイズを複数持てるかどうかで、特にキャリアに関してのストレスは大きく変化するものだからです。
むしろキャリアそのものを左右するといっても過言ではありません。
SNSを有効利用しよう
悩みやストレスで押しつぶされそうになったら、自分ひとりで抱え込むのではなく、社外のメンターやウィークタイズをどんどん頼りましょう。
最近ではフェイスブックなどSNSが広がっていますので、数年会っていない友人や知人にも声をかけやすくなっているのも事実です。
実際に会えれば理想ですが、彼らとネット上でも、実際に会えれば理想ですが、雑談したり、相談することで、気持ちがスッキリするだけでなく、視野も広がり、凝り固まった考え方や価値観を見直すことができるはずです。
そのためには、普段から様々な業界や職種の人と交流できる場に顔を出し、社外ネットワークを築いておくこと、SNSなどでも適度な距離を保ちながら関係を維持していくこともおすすめです。
特定の決まった仲間同士で頻繁に会い、関係を強化することも大切ですが、アルコールなどの飲食が目的になってしまっていることも意外に多く、断りきれず無理につき合うことで、かえってストレスに繋がる場合もあります。
代わりに、自分にとって見聞や人間関係の多様性をもたらすような飲み会や交流会、セミナーなどを、ネットやSNSなどで探し、参加してみるといいかもしれません。
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