「明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術」(著:渡部卓)より
めんどうな相手、噛み合わない相手のツボは、こうして押さえる
職場の人たちとのコミュニケーション、うまく取れていますか?
仕事において一緒に働く人たちとのコミュニケーションも大切ですよね。できることなら上手に上司・同僚・部下とも付き合って、余計な摩擦は生みたくないもの。人間関係はストレスの原因にもなりますから、気を付けたいものです。
とはいえ、人間同士が関わり合う以上、そこには感情というものが働きます。
「この人、めんどうなタイプだな」
「この上司とは、ちっとも嚙み合わない」
「こっちがうまく話題を振っても、全然反応してくれない……」
そんなお悩みを抱えた人も多いはず。
なにしろ現代は、人材の多様化や世代間ギャップにより、かつてのような「阿吽の呼吸」で物事を進めるのは難しい時代になっています。
「空気が読めない、読んでくれない」タイプの人間と関わらなければいけないことも多いでしょう。相手の反応が読めないと、どうしていいかわらかないものですよね。こちらばかりが気をまわして、気疲れしてしまうこともあり、やるせない気持ちにもなります。
ここでは、そうした「空気が読めない、読んでくれない」タイプへの有効なコミュニケーションの取り方について解説します。タイプ別のツボの押さえ方を知っておくだけで、だいぶ楽になりますので、ぜひ覚えておきましょう。
空気が読めない技術者タイプ
まず、管理職が頭を悩ませるタイプの一つに、なかなか話が通じない人がいます。これらの人の特徴を以下にあげてみましょう。
・あいまいな話が通じない
・論理的に考える
・融通が効かない
・まじめで頑固
・興味があることはとことん追求する
このような特徴があります。
こうした特徴を持つ人は、技術者や研究者などに多いようです。この手のタイプは、あいまいな話が苦手で、論理的に考えるのが得意です。「雰囲気でざっくり」とか「行間を読んで理解する」ことを求められるとフリーズしてしまいます。周囲の空気を読むのも苦手なので、失礼な発言をしたり、一人でしゃべり続けたりします。
技術者タイプのツボの押さえ方
技術者タイプの人に対しては、次のようなコミュニケーションの工夫が有効です。
・論理的に話す
・あいまいさをなくして簡潔にストレートに具体的に話す
・口頭ではなく文章や図にまとめて視覚的に見せながら説明する
・順番に話す
・仕事の依頼も一つずつする
・優先順位をつけてあげる
・見本やマニュアルを渡す
この本(「明日に疲れを持ち越さないプロフェッショナルの仕事術」)の筆者、私、渡部は、かつてIT企業の本部長として、高度なレベルの技術者の部下たちと接したことがあります。
文科系だった私は、論理的で阿吽の呼吸が通じない彼らとのコミュニケーションに最初は違和感を感じましたが、伝えたいことを仕様書のように列挙し、納期も併せて伝えると、コミュニケーションがうまくいくようになりました。
仕事自体には優秀な人が多いので、コミュニケーションのスタイルと工夫すればよいことに気がついたのです。
それにより、ずいぶんと気が楽になり、また仕事の進捗具合も以前よりもよくなりました。
周囲を振り回す「社交家タイプ」
次は技術者タイプとは正反対の「社交家タイプ」への対応について、解説しましょう。彼らには、以下のような特徴が挙げられます。
・活動的で社交的
・落ち着きがない
・刺激を求めていろんなことに興味を持つが、飽きっぽい
・優先順位が不明確
・話し好きだが論理性がない
・結論を意識していない
・忘れるなどのうっかりミスが多い
仕事の場面では、人脈を広げるのが得意で、明るくオープンな性格なので、人から好かれます。仕事への積極性も見られるのですが、一つのプロジェクトに腰を据えて取り組むことができません。思いつきで発言したり、内容がコロコロ変わるところがあり、周囲の人を振り回してしまうきらいがあります。本人に悪気がなかったとしても、振り回される側はたまったものではありません。
私は以前、いくつかの企業でマーケティング部門の責任者をやっていましたが、今思い返すと、部下の中には、社交家タイプの人間かかなりの比率で多かったように思います。もちろん彼らもまた、優秀な人材であることは間違いありません。
社交家タイプのツボの押さえ方
社交家タイプへのコミュニケーションの工夫としては、以下のようなことが効果的です。
①適材適所で仕事を任せる
社交家で人と打ち解けるのが上手いので、営業職やサービス部門など、人と接する仕事が向いています。
②チェックシートの活用などミスを減らす工夫をする
忘れっぽい、几帳面さが欠けている短所を補うために、リマインダー機能やチェックシートの活用が不可欠です。
③叱るときには本人にどうすればよかったか具体的に考えさせる
自分自身で仕事を振り返る癖をつけてもらいます。
上記のようなスタイルで彼らには接するよう心がけましょう。それによりコミュニケーションが捗るだけでなく、彼らの能力を最大限に引き出させ、仕事の結果にも結び付きます。
人間関係にお悩みなら
いかがでしたか?。いままでうまくコミュニケーションがとれずに悩んでいた同僚や部下はいませんか?彼らが2タイプのどちらかならば、上記のやり方で接すればいままでよりずっと楽に付き合えるようになると思いますよ。ぜひ役立ててください。
関連書籍のご案内
記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。