姿勢改善に重要なのは、「下半身」だった——。
デスクワークが続きがちな現代人は逃れられない悩み、それは「猫背」。
悪い姿勢は見栄えが悪いだけでなく、コリ、頭痛、だるさ、疲労感などの体調不良の原因になる。一刻も早く姿勢改善すべく、背中や肩の筋トレに励んでいる方もいるかもしれない。
しかし、「姿勢矯正プログラム」を実施する疲労回復専用ジム・ZERO GYMによると、「姿勢改善は『上半身』より『下半身』から始めるべき」だという。
本記事では、ZERO GYMの著書『エグゼクティブ・コンディショニング』から、正しい姿勢を保つための下半身筋トレをご紹介する。
下半身の筋肉が最重要!
突然ですが、あなたは「つま先立ち」できますか?
そう、あのかかとを浮かせてつま先でピッと立つことです。
もしつま先立ちでぐらぐら揺れたり、お尻が後ろに出たり、かかとがすぐに地面についてしまうようなら、あなたの体は重力に逆らう力が弱まっているかもしれません。
私たちの体には「抗重力筋」という筋肉があります。背中・お腹・お尻・太もも・ふくらはぎなどにある筋肉で、文字通り、地球の重力に抗って姿勢を保持する働きをします。
私たちが立ったり座ったりできるのは、この筋肉があるから。体にとって最重要といえる筋肉です。
もし、つま先立ちができなかったとしたら、この抗重力筋が衰えていると考えられます。とりわけ衰えているのが、下半身の筋肉。なぜ下半身なのか。それは、筋肉が大きいからです。全身の筋肉のうち70%を下半身の筋肉が占めていると言われるほどです。
時間や手間をかけず、より効率的に体へアプローチをかけるには、まず下半身、そして胸、肩、上腕、背中、さらに体幹(腹部、わき腹、腰背)へと進めていくのが王道とされています。 そして、その下半身の筋肉を最も効率よく鍛える方法こそスクワットなのです。
心身ともに自信が増す「グラウンディング」
先に述べたつま先立ち、あなたは 10秒立っていられましたか?
もしふらつく、かかとが浮かない、などであれば、あなたの「土台」は不安定です。それは、体だけでなく心にも影響を与えます。
「グラウンディング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
groundは英語で「接地する」という意味で、 は「地面にしっかりと根づく」という意味です。
このグラウンディングは、ただ単に立っていることを意味するものではありません。
仁王立ちしている男性をイメージしてみてください。彼の足は強く大地に根づき、しっかりと胸を張っています。その彼の心の内を想像してください。ドキドキして不安を抱えている、とは思えないですよね。 体を安定させて、しっかりとグラウンディングすることは、体の強さだけでなく心の強さもつくります。自信のある自分づくりにつながるのです。
最近は、運動不足による下半身の筋力低下により、足腰が弱く、背中が丸まっている方が増えました。それが、体だけでなく精神にも影響を与えているとし たら……。人前で話をしたり、大きな事業を動かす機会の多いエグゼクティブこそ、筋力を強化し、グラウンディングを心がけてほしいと思います。
グラウンディングできると、他にもさまざまなメリットが得られます。
首や肩の位置、腰の角度のゆがみなどが矯正され、肩コリ、腰痛など、さまざまな不調も改善されていくでしょう。きちんとした姿勢が保てるようになるので、体のゆがみによって臓器が妙な圧迫を受けることも減り、胃腸をはじめとした内臓の調子もよくなるはずです。
スクワットを毎日やって筋力を鍛え、グラウンディングできるようになれば、いつでも体の底から力が湧いてくるような状態でいられるのです。
時短&簡単&効果最大! 『5秒スクワット』
スクワットをお勧めする理由は、一つの動きで得られる恩恵がたくさんあるからです。
◉太ももの「大腿四頭筋」という非常に大きな筋肉(抗重力筋の一つ)を使える
◉血流を促すターミナルポイント「股関節」を刺激できる
◉どこでも誰でもできる
◉自重を最大限にかけられる
◉代謝アップ効果が期待できる
◉筋力アップ効果が期待できる
◉体幹が強くなる効果が期待できる
スクワットにはこれだけの恩恵があり、エグゼグティブ・コンディショニングの「要の習慣」にするにはベストなのです。
ZERO GYMでお勧めするのは、1回を5秒かけて行う5秒スクワット。 さっそく、解説をしていきましょう。
5秒スクワットのやり方
①足を腰幅くらいに開きます。つま先と膝は同じ方向に揃えます。
②息を吸いながら「1、2」と2秒でお尻を落とします。このとき、椅子に座るように、後ろに重心がくるようにします。つま先が浮かない範囲で、かかと重心で行います。
③お尻を落として「3」と、約1秒その格好で留まってください。ここを惰性でやってしまわないことで、効果的になるのです。
④「4、5」と2秒で、息を吐きながらゆっくり立ち上がり、①の姿勢に戻ります。
【ポイント】
お尻を落とすとき、膝がつま先よりも前に出ないように。前に出るのと、出ないのとでは、太ももにかかる重力がまったく変わってきます。また、膝を曲げるよりも、足の付け根を先に曲げてお尻を落とす感覚で行いましょう。
勢いをつけずにやること、しっかりお尻を落とすこと、そして呼吸を止めないことが大事なので、意識して取り組んでみてください。
「15回×3セット」を仕事中に
正しいフォームを身につければ、いつでもどこでもスクワットはできるでしょう。電車の待ち時間、会議の前にトイレでちょっとやったり、オフィスの邪魔にならないところで休憩中にやることも可能です。
慣れないうちは、15回×3セットを1日1クールが理想。できれば滞りが起こりやすい仕事中に行うと、血流がよくなるとともに気分転換にもなって、脳がすっきりするのでお勧めです。
慣れてきたら20回×3セット。さらに慣れてきたら、もっと回数やセット数を増やしていきましょう。最終的に30回×3セットを行えたらベストです。そこまでくると、体の中が流れている感覚や、足の筋肉が稼働しやすくなっている感覚を実感しやすくなってきます。
なお、一気に45 回やるよりも、 15回× 3セットに分けたほうが効果的です。というのも、一気にやると足に疲労が溜まり過ぎ、力を入れる場所を無意識に変えてしまうから。インターバル(セット間の小休憩)を入れながら、足への負荷が逃げないようにしましょう。
スクワットは奥が深く、続けるうちに、どんどん自分の体のベストな回数やフォームも理解できるようになっていきます。
最高の仕事パフォーマンスが持続する! 一流が通う疲労回復ジムのメソッド
『エグゼクティブ・コンディショニング』(ACTIVE HEALTH 5)
①安心して眠る
②重力に逆らう
③意識を操る
④食事を革新する
4つのメソッドで、体・心・頭が軽くなり、朝の目覚めがスッキリ爽快に変わる!
なぜエグゼクティブは、日々ハードワークをこなし、結果を出し続けることができるのか? その秘密は、日々の「コンディショニング」にあった。この本では、一流が通う疲労回復専用ジム・ZERO GYMが開発した、「毎日の仕事の準備」として取り入れるべき究極のコンディショニング法を大公開!
この本を読めば、見る見るうちにあなたのコンディションは引き上がり、朝スッキリと目が覚め、最高の一日のスタートを切れることだろう。今、あなたの体は劇的に変わる。
ZERO GYM『エグゼクティブ・コンディショニング』目次(一部抜粋)
【序章】体調:最高のコンディションとは
・爽快な朝の目覚めを基準にする
・キーストン・ハビット(要の習慣)を見つける
・バイオリズムを整える
【1章】睡眠:安心して眠る
・睡眠は寝る直前の仕込みで決まる
・脳の戦闘モードを遮断! 『スクリーン門限
・コリ解消&リラックス効果抜群! 『ウサギのポーズ』
・睡眠に最適な姿勢をつくる! 『胸開き』
コラム 午後のパフォーマンス最大化には「パワーナップ」
【2章】運動:重力に逆らう
・コンディションに重要なのは滞らせないこと
・下半身の筋肉が最重要!
・時短&簡単&効果最大! 『5秒スクワット』
・スクワットのレベルアップ! 『ハイランジ』
コラム 姿勢改善のカギ。あなたはブリッジできますか?
【3章】呼吸:意識を操る
・呼吸こそ、心身を整える最高のルーティン
・呼吸をコントロールするカギ~Doの呼吸とBeの呼吸~
・タクティカルブリージング(戦術的呼吸)
・意識をパノラマ的に広げるトレーニング:木のポーズ
・マインドフルネスで常に呼吸を意識し続ける
コラム ゾーンも呼吸でつくれる? いい集中と悪い集中
【4章】食事:食事を革新する
・血糖値を制するものは食事を制する
・食事アップグレードのカギ『白いものを減らす』
・食事アップグレードのカギ『食物繊維を足す』
・食事アップグレードのカギ『お味噌汁を足す』
コラム 朝食を抜くと生産性が上がる? 朝断食のススメ
【終章】習慣化:よりよい自分に変わっていく
・ヨガ哲学に学ぶ、習慣を変える方法
・修習と離欲
・ポジティブ・アプローチ
・相談できるパートナーを見つける