「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より
空気、読みすぎてませんか?
一時期はやった「KY」という言葉。
「(K)空気 (Y)読めない」という意の略語で、流行語大賞にノミネートされるほど流行しました。
その場の空気を瞬時に読みとり、その都度適切な発言や行動できる能力は、重要です。
集団同調圧力の強い日本社会ではとくに求められる場面も多いことでしょう。
しかし、空気を読むということは、他人の思惑を自分の感情より優先するということ。
空気を読み過ぎると、いつも自分を抑え込むことになるので、その分ストレスもたまります。
なぜ人は空気を読むようになるのでしょうか。
空気の読みすぎはストレスのもと
嫌われないように相手に合わせる。
相手がしゃべっている内容から、その人の考え方を読み取ってそれをもとにその人が好むことを言う。
嫌われるのも、怒らせるのも、議論になるのも怖い。
こうした傾向は「過剰同調性」と呼ばれ、ストレスの多い子供時代を過ごした人にも見られます。
その背景には、虐待やいじめ、高圧的な家族、両親の不仲がいたために家庭内が緊張に包まれていたなど様々です。
過剰同調性を持ったまま大人になった人たちは、心の中に葛藤があり、疲れやすく、自分自身を見失ってしまうことさえあるのです。
無理をして周りに合わせることは、心身ともに疲れ果てさせ、ストレスをため込む結果を招きます。
では、ストレスをためないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。
あえて空気を読まない力
ストレスをためないために必要なのは、ずばり「上手に空気を読まない力」です。
空気を読み周囲に気を遣うこと自体は良いのですが、読み過ぎると自分が苦しくなるばかり。
いくら周りの人が自分に何かを望んでいるとしても、それが道理に合わないもの、感情に反することであればはっきりノーと言えるようになる必要があります。
そのうえで譲歩できる部分を探し他の案を提案していけば、自分と相手との間に明確な境界線を置きつつ、自分の気持ちで行動できるようになるはずです。
大切なのは、上手に空気を読むというより、むしろ上手に空気を読まないこと。
その場の空気を察しながらも上手に言いたいことを言い、したいことをしましょう。
このように同時に他人の立場も尊重し、自由な言動も促す力は、空気を読むことよりもはるかに高い共感能力だと言えるのではないでしょうか。
どうも周りを気遣って疲れてしまうという方は、思い切って「いい人」をやめてみてはいかがでしょう?
ぐっと気持ちが楽になりますよ。
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