「疲れやすい人の食事 いつも元気な人の食事」(著:柴崎真木)
太りにくい身体をつくるには食事への満足感が重要
太りにくい身体をつくるコツの1つは、「食事への満足感があること」です。これは、個カロリー・高脂肪のものを食べることでも、食事を大量にとることでもありません。バランスよく、しっかり食べたという実感が重要なのです。それでは、食事への満足感を得るためにはどのように食べるとよいのでしょうか。満足感を得るための食べ方を2つご紹介します。
満足感を得る食べ方その1:よく噛む
満足感を得るための食べ方の1つは、「よく噛むこと」です。時間をかけてよく噛むことで脳の働きが活発になり、満腹中枢や交感神経が刺激されます。そうすると、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌が促進されると考えられています。よく噛むことで食欲が抑えられ、満足感を得やすくなるというわけです。
また、よく噛むと食べ物の味が唾液の中に溶け出します。すると、舌にある味覚受容器の味蕾(みらい)に届けられて、おいしさを感じます。また、唾液中の成分は味蕾を保護し、再生する役割があるため、唾液が少なくなると味覚を感じにくくなります。
満足感を得る食べ方その2:音を感じながら食べる
咀嚼回数が減ると、満腹感を得にくいことはお伝えしましたが、食事の満足感を得るためには、食べているときの音も重要であることがわかってきました
アメリカの研究で、人が大声で話していたり、音楽が流れている環境と、静かな環境で食べたプレッツェルの量を比較したというものがあります。この研究では、大きな音を聞いていたほうが1.5倍も多くなったという結果が得られました。また、にんじんやサイダーなど他の食品でも調べた結果、サクサク、バリバリと音がする食品ほど、食べる量に大きな違いがあったそうです。
つまり、静かな環境で自分の食べている音を感じながら味わうと、満足感が出やすいということです。ですから、夜中にDVDを見ながらポリポリとスナック菓子を食べるのは、咀嚼回数を意識しにくく食べすぎてしまうのでしょう。
食事はおいしさを感じると満足感を得やすくなるので、「おいしい」と感じることがやせやすい食事のとり方への一歩ともいえます。おいしさとは、塩味、甘味、苦み、酸味、うま味といった味だけではありません。見ため、音、香り、温度、のど越しや噛みごたえなどの食感など、五感をフルに使って感じる複合的なものです。
さらに、その場の雰囲気、そのときの感情や気分、健康状態なども加わるため、同じ食べ物でもいつもおいしさを感じるわけではありません。太っている人は、この満足感や空腹感を感じにくくなっているといいます。
ですから、まずは食事に向き合える環境にしましょう。また、彩りなどの見ためを整え、歯ごたえの異なるものを組み合わせたり、味にもメリハリをつけて、よく噛んで食べるようにします。そうすると、味もよくわかるようになり、おいしさを感じやすくなるでしょう。
大人でもありますが、子どもは特に好き嫌いがあることも多いでしょう。身体への効果を説明して、バランスのよい食事を提供してもなかなか食べてはもらえませんが、調理をする場がみえて、音やにおいを感じる環境で食事をしてもらうと、「このにおいは◯◯のおかずかな?」「お肉を焼くおいしそうな音がする」といって、食事に関心を持ち始めます。盛り付けや野菜の切り方などの見ためを変えることでも食事量が異なります。
また、みんなでわいわい話をしながら時間をかけて食べることもよいようです、10年以上前にこうした食育を受けた子どもたちが大人になり、「あのときのあれがおいしかった」というのも、味だけでなく、環境がいかに大切なのかということを感じさせます。
いい音を奏でる食べ物をとろう!
それでは、音を楽しんで食べることができるメニューをご紹介します。簡単につくることができるメニューなので、参考にしてくださいね。
セロリの浅漬け
セロリは、低エネルギーで食物繊維が多く、シャキシャキとした歯ごたえがあり、よく噛むことができる食品の1つです。いかの燻製を合わせることでより噛みごたえを高めることができます。セロリは香りが強いため、苦手な人も多いのですが、セロリ独特の香りは、精神を落ち着かせる働きがあるといわれ、リラックス効果が期待できます。
【材料…2人分】
- セロリ(茎の部分のみ)…1本
- いかの燻製…20g
- 酢…大さじ1
- オリーブ油…大さじ1/2
- 砂糖…ひとつまみ
- しょうゆ…小さじ1/3
- 粗びきこしょう…少々
【つくり方】
- セロリは筋をとり、ななめ薄切りにする。
- いかの燻製は食べやすい長さに切る。
- チャック付きポリ袋(ジップロックなど)にセロリ、いかの燻製、調味料を入れて軽くもみ、冷蔵庫で1~2時間ねかせたら、仕上げに粗びきこしょうをふる。
- 塩気がたりないようなら、塩かしょうゆで味をととのえる。
いかの燻製の代わりに、するめ、塩昆布でもつくれます。
満足感を得る食事で太りにくい身体に!
いかがでしたか?よく噛んで音を楽しんで食べ、太りにくい身体を手に入れましょう!
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