「デキる人は、ヨガしてる。」(著:石垣英俊、及川彩)より
道徳的な日常生活の「実修」に専念する「カルマ・ヨーガ」は、ポーズや呼吸法、瞑想をしなくても行うことができる生き方のヨガといえます。
デキる人たちと接していると、こういった経典に基づくヨガの哲学を学んだかのように、実に毎日を自然体で過ごしているように見えます。
ここでは、ヨガ哲学が教えてくれる智慧と、「デキる人」たちの思考や習慣を、私たちなりの視点でヨガ的な習慣としてまとめました。
「そういうものだ」と受け入れる
「これでいいのだ」
「天才バカボン」のバカボンパパのように、身に降りかかる全てのモノゴトを受け入れられたら、私たちの世界はどんなに変わることでしょうか。
デキる人は、体力の衰えや加齢を感じさせるような言動をしません。
年齢を重ねることで、不調や不具合を感じることもあるでしょうが、彼らはそういったことに対しても、ネガティブな受け取り方をしないのです。
仕方がない、というよりは、そういうものなのだ、と捉えて、いつでも自然体でいます。
たとえ体が不自由になっても、不幸が降りかかっても、その時々を大切に、丁寧に生きている、そんな印象を受けます。
ネガティブな感情を持つことの影響は大きい
「今」は過去の積み重ねであると同時に、「今」はすでに過去のものでもあります。
あなたには、今何か受け入れられないことがありますか。
突然起こった不慮の事故や、自らの配慮が足らずに起きた仕事上のミス、大切な人との死別、信じていた伴侶に裏切られた経験など、生きていると様々なことが起こるものです。
悲しみや怒り、妬みや羨みといったネガティブな感情を持っていると、心身には大きな負担がかかります。
そしてその影響はあなただけでなく、身の回りの大切な人にも及んでしまいます。
サッカー日本代表・山口蛍選手が大怪我をしたときのこと
サッカー日本代表の山口蛍選手は、ドイツのチームに移籍し、レギュラーを獲得していざこれからという時に、試合中のラフプレーによって顔面を強打し、眼窩底骨折と鼻骨骨折という大怪我を負ってしまいました。
「なんで自分ばかりが、と思いませんでしたか」という質問に対して、「そりゃその時は思いましたよ。でも、意味があると思ったんですよね」、山口選手はそう答えていました。
その後、彼は日本に戻ってプレーする決断をしました。
海外で挑戦して欲しかったという声がある中、彼は自分で選び、決めたのです。
それからしばらくして、ワールドカップの最終予選。
負ければ日本がワールドカップ出場を逃すという大事な一戦で、彼は劇的なゴールを決め、日本チームの救世主となったのです。
丁度その日は、彼の誕生日でした。
「どんな出来事にも意味がある」という考え方
「意味があると思う」
私の尊敬する方々も、よく口にする言葉です。
つい先日も、私たちにとって大切な方に、度重なる試練が訪れました。大切なご家族を亡くした直後、さらに大きな困難に見舞われているのです。
「意味があると思うんです。この状況を受け止めて、今できることを大切にやっていきたい」
涙を流しながら気丈に話す姿に、私たちも涙を流さずにはいられませんでした。どうしてそんなことが起こるのか、自分の事でなくてもすぐには受け入れられませんでした。
未曾有の大災害を引き起こした東日本大震災は、多くの尊い命を奪い、人々に恐怖や不安、悲しみや怒りといった感情を植え付け、仕事や生活に大きな打撃を与えました。
もし、自分が困難な出来事の当事者となった場合、誰しもがその出来事に「意味がある」とは、思えないでしょう。
周りの人が支えながら、「時間薬」というものを経て、改めて意味があることに気づいていけるのかもしません。
辛い出来事は「苦しいけれども成長し、未来に繋がるストレス」にもなる
どんな時でも、どこにいても、目には見えなくても、私たちは自然の一部として全て繋がり合っていることを忘れてはいけません。
損得勘定ではなく、誰かに必要だと思えることを自ら行動することが大切です。慈悲の心を忘れてはいけないのです。
モノゴトの捉え方、受け取り方によって、身に降りかかる出来事は、ただ苦しいだけで心身に負担のかかるストレスにもなれば、苦しいけれども成長し、未来に繋がるストレスにもなります。
つまり私たちの世界は受け取り方一つ、自分次第なのです。
目の前の結果や現実を受け入れることは、時に簡単なことではありません。
それでも私たちは、今のありのままを受け入れていく必要があるのです。
出会いがあれば、別れもあるように、私たちはやはり自然の一部なのです。
自然には絶対というものがなく、常に変化しています。光と影があるように、良いことも悪いことも起こるのが自然といえます。
それをどのように受け取るか、どのように捉えていくかによって、未来は変わっていきます。
自らの意思で何かを受け入れようとしなかったり、受け入れることができなかったりすると、次の変化は起こりません。心も体もエネルギーが滞り、負のスパイラルに陥ってしまいます。それは、不自然な状態といえます。
準備や受け入れる態勢ができた時にはじめて、新しい出会いや試練といった次の変化が表れます。
その変化に気づいた時、為すべきことは、手放すことかもしれませんし、自ら動くことかもしれない。
またはチャレンジし続けることかもしれません。
『デキる人は、ヨガしてる。 (Business Life)』 (クロスメディア・パブリッシング) |