社内コミュニケーションの質が、企業の活動の質を決める
世界で最も有名なコーチの1人であり、ビル・クリントン、ジョージ・ソロス、レディー・ガガをはじめとするそうそうたる人たちをクライアントに持つ、ライフストラテジストのアンソニー・ロビンズは言いました。
「コミュニケーションの質が人生の質を左右する。(The quality ofyour life is the quality of your communication.)」
「自分を変える習慣力」の著者、三浦将さんは、アメリカ系のグローバル企業に 3 社勤めた経験がありますが、経営課題について従業員へ聞いた社内調査において、いずれの企業においても課題のトップに来たのは、「社内コミュニケーション」だったそうです。
アンソニー・ロビンズ風に言えば、「社内コミュニケーションの質が、企業の活動の質を決める」という感じでしょうか。
著書『イノベーションのジレンマ』で有名な、ハーバード・ビジネス・スクール教授クレイトン・クリステンセンの研究でも、現場社員からその上司を通じて、さらには経営者までの縦関係でのコミュニケーションの豊富さが、革新的な企業に成り得るかどうかのわかれ目になっていることがわかっています。
企業として革新的なものを産み出すためには、現場からの優れたアイデアが、いかにゆがめられずに、意志決定者の元に届くかどうかに懸かっているということです。
コミュニケーションに関する最大の勘違いとは?
コミュニケーションがこれほどまで重要視されている背景の 1 つには、多くの人がコミュニケーションに対する前提について大きな勘違いをしがちなことにあります。
それは、「自分の頭の中にある世界が、相手の頭の中にある世界とほぼ同じだと思ってしまう」ということです。
人にはその人独特の信念や価値観があります。それらは1人ひとり違うので、根本的に、自分と同じように世界をとらえている人はいるはずがないのです。
しかし、自分が相手に伝えたいことや、影響を与えたいことに集中していると、ついついこの前提を忘れがちになってしまうのです。
それゆえ、適切なコミュニケーションが図れず、ミスコミュニケーションが起こり、相互理解が上手くいかず、時には感情がもつれ、人間関係の悪化にもつながります。
逆に言えば、良いコミュニケーションが習慣化されれば、一対一、一対多数に関わらず、相互理解と共感的な豊かな感情が生まれ、協力関係が進み、事がどんどん発展していきます。
悩みの根本は人間関係にあった!
「すべての悩みは対人関係の悩みである」
フロイトやユングらと、時代を共にした心理学者であり、心理療法家であるアルフレッド・アドラーの言葉です。
一見、人間関係に関連しているようには見えない問題でも、その根っこには人間関係を原因とした悩みがあるということです。
実際に、メンタルコーチングのセッションにおいても、例えば、最初にクライアントから出てきた悩みが、「営業成績が伸び悩んでいる」ということに関してであったのが、よくよく話を聞いてみると、根本は上司との人間関係の問題であったなどというケースは、実に数多くあります。
コミュニケーションが適切でないとき、相手への間違った思い込みや懐疑などが生まれます。憶測が憶測を呼び、人間関係がどんどん悪化していきます。このループを、適切なコミュニケーションによってどちらかが断ち切らない限り、やがては収拾困難なレベルまで関係が悪くなってしまいます。
また、会社で人が辞める要因の大部分は、人間関係にあると言われています。人間関係が良ければ、モチベーションの高まる場もできやすく、チームワークや部署間の連携も向上します。
結果、企業活動の質と効率も上がり、おまけに採用や人事異動にかかる大きなコストも軽減することができます。
家庭内の問題や悩みも、夫婦の関係性や子どもの関係性がその原因にあり、逆に、これらの関係が良ければ、物質的問題などは、自ずと解決へ向かいます。
アドラー心理学では、人間の基本的欲求に所属欲求を位置付けています。所属欲求とは、「集団の中で自分の居場所を見出すこと」。家庭でも、学校でも、会社でも、地域社会でも、所属の集団の一員として認められたい、受け入れられたいという欲求は、根源的に非常に強く、この欲求にコミュニケーションというものが、密接に絡んできます。
コミュニケーションが良好に運べば、人との関係性が良くなり、そのまわりにある集団(例えば会社や家庭)への帰属意識も増し、所属欲求も満たされます。帰属意識の高い集団の中にいるとき、人間はモチベーションも上がり、まわりの人々への貢献意識も高まります。
反対に、この所属欲求が適切な形でみたされないとき、その集団に不適合な存在として存在し続けるか、その集団を去る決意に至るのです。
コミュニケーション習慣を身につけましょう
いかがでしたでしょうか?
コミュニケーションが良好にいけば、人間関係はうまくいき、悩むことも少なくなるでしょう。
しかし、中々そううまくはいかないですよね・・・
ですが、コミュニケーションが変われば、ハードルを越え、次のステージへ進めるのです!
適切なコミュニケーションを図り、人生に大きなインパクトを与えてみませんか?
参照 「自分を変える習慣力」(著:三浦将)
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